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第132話 シャル

 シャーロットに手を引かれるまま、ドアをくぐり脱衣所、風呂場へと連行される。シャーロットが風呂に入りたがるのはこの際どうでもいい。

 うっかりとはいえ、約束してしまった以上は好きに使わせてやってもいい。だが、なんで俺まで一緒に入る必要があるんだ?


 いや、別に嫌じゃないよ? 金髪褐色美女と一緒の風呂に入れるんだからな。「混浴」いい言葉じゃないか。暖簾にしておきたいぐらいだ。

 でもな……この状況は違うと思うんだ。確かに同じ湯には浸かってるよ? でもこれは混浴とは言わないんじゃね? 少なくとも俺はこの状況を混浴とは認めない。


「仕方ないだろう……この壁が無いとショータが強制退去されるんだからな」

「それもおかしいだろ。なんで自分のスキルに強制退去されなきゃならんのだ?」

「そんなこと私が知るわけないだろう」

「ぐぬぬ……」


 唸るぐらいなら『侵入者警告』と『侵入者排除』の機能をOFFにして置けばいいんだろうけど、混浴の為にOFFにするのも何というかね……「必死だな」って笑われそうでな。

 そもそも一緒に入ってるから変な気持ちになるのであって、別々に入ればこんな気持ちにならない筈だ……でも次回からな。




「なぁ……ショータはアレク達をどう思う?」


 などと、あるかどうか怪しい未来について決意を固めていると、壁越しにシャーロットが問いかけてきた。そうか、これが目的で一緒の風呂に誘ったのか。

 って、聞きたいことがあるんだったら、別に風呂じゃなくても良かったんじゃね? まぁ別にいいけど。


「なんだ突然……まぁ悪くはないと思うよ。でなきゃ一緒に飯を食おうなんて思わないだろうし」

「そうか……なら私とのパーティーは解散して、向こうのパーティーに入るか?」

「はぁ? なんでそうなるんだ?」

「私の見たところ、ショータとアレク達は似たような実力に思える。それに今日の戦いでも、なかなかの連携だったからな。もしショータが望むなら行ってもいいぞ」

「何をどう考えたらそうなったのか、小一時間どころかお前がのぼせる迄問い詰めたいんだが……」


 作った翌日に解散とか、ワケワカンナイヨ。新手の嫌がらせ? 誰への? ギルド?


「そのだな……ショータは私の都合で誘ったわけだからな……もしショータが本当に組みたいパーティーがあったなら、遠慮なく言ってくれるとだな……」

「……分かった。ならアレク君達のパーティーに入る――」

「……!」


 お湯の壁越しでもシャーロットが強張ったのが分かる。そんな風になるんだったら言わなきゃいいのに。


「――事はないな。大体このパーティーのリーダーは俺だぞ? 抜けるんならメンバーであるシャーロットが抜けるべきだろ」


 今度はあからさまにホッとした雰囲気。逆に何かの罠かと思えるほどだ。多分素でやってるんだろうけど。


「……む、だが私が抜けたら一人でパーティー組んでる可哀想なヤツになるがいいのか?」

「あーそうなるのか? まぁ、確かに一人パーティーのリーダーなんて寂しすぎるからな……その、なんだ……ずっと一緒にいてくれるとありがたいかな」

「……し、しかたないな。寂しがり屋のショーちゃんの為に渋々だが組んでいてやろう」

「だからショーちゃんはやめろって。あんまり言うようなら、俺だって――」


 シャーロットの愛称ってなんになるんだ? まぁ響きが似てるからシャルとでも呼ぶか。


「――シャルって呼ぶぞ?」

「……! そ、それは……」


 お、この反応……ひょっとしてコイツの昔の呼び名だったのか? だが気にすることは無いな。シャーロットの方から言い出したんだし。

 「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ」とは誰の言葉だったか。「言っていいのは、言われる覚悟のある奴だけだ」は俺の言葉としておこう。


「どうした、シャル? 返事ないぞ、シャル? なんならシャルちゃんのほうがいいか?」

「……わ……私を……」

「お、なんだ? シャルと呼ぶなとでも言いたいのか? 残念だったな! 言っていいのは、言われる覚悟のある奴だけなんだよ!

 お前は俺をショーちゃんと昔の呼び名で呼んだんだ。だったら俺もお前をシャルと呼んでもいいはずだ!」

「ちがう、シャルは昔の呼び名じゃない……シャルは私の……」


 ん? なんかマジそうな雰囲気だぞ? なんか地雷踏んだ?


「私の夫になる男だけが呼んでいい名前だ!」


 ……地雷どころか核ミサイルのボタンを押しっちゃった?

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