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第125話 飯を炊く

 ふっ、勝ったな。毎日10kgの米と一リットルの醤油が手に入る事が分かった以上、俺の異世界食生活は勝ったも同然と言えよう。

 毎日10kgも食べきれないから、一部はガロンさんに売ってもいい位だ。金運上昇中とはこの事だったか。


 ……って、おい。よく考えろよ俺。売っちゃダメだろ。確実に「何処で手に入れたんだ?」って聞かれるだろうし、そもそも夕食会の時、米があるか聞いてただろうが。普通、自分で持ってるのに「どこにありますか?」と尋ねるバカは居ないだろう。


 いや、待てよ? あの時、米があるかは聞いたけど、その前にごはんパックを出してたな。ってことは米を売る前に市場調査するのは、さほど不自然な感じはしないよな? 大量に出回ってるなら、安く買い叩かれるだろうし、逆に珍しければ高値になるはずだろうし。

 そう考えると、売る選択肢もアリなのか?


 あぁ、でもずっと売るのも不自然になるよなぁ。入手ルートが飛空艇だとバレたら面倒だろうし。いっそガロンさんやアレク君達にもばらしちゃうか?


 って、考えがおかしくなってきてるな。なぜ米の事からスキルをバラす話になるんだ? 落ち着け俺。米を手に入れて浮かれてるのかもしれない。

 一旦、別の事でも考えよう。そうだな……とりあえずご飯を炊くか。お米を研いでると無心になれるしな。じゃあ早速炊飯器はっと…………あれ? 炊飯器はどこだ?

 ぐるっと厨房を見渡すが、それらしいものは無い。だが棚を見れば土鍋がある。まさか土鍋で炊けと?

 いやいや、やったことないし。土鍋で炊いたご飯は美味いとか聞くけど、拘りの無かった俺は炊飯器で十分だったしな。現在炊飯器が無いってことは、機能解放が必要なパターンかな?


『MP1を消費し「機能:炊飯器」を開放しますか? MP6/50』


 どうやら機能解放で合ってたようだ。しかしYESを押したけど厨房に変化はない。

 あれ? ここはポンッと音がして炊飯器が出現する場面だよね? MPだけ持ってかれた?

 まさかね……近所の自販機じゃあるまいし……俺が気が付かないだけさ。ひょっとしたら食堂に出現したかもだし。

 一応食堂もミニキッチンも確認したけど、やっぱりなかった。あれぇ? 今までこんな事無かったのになぁ。とか考えてたら、ウィンドウが出てきた。


『右を見ろ』


 右? 右に何かあるのか? とりあえず見てみるけど、見たら『ざまぁみろ』とか無いよね? あったら泣くよ? 人間不信どころかスキル不信になるよ?


『右を見ろ』


 変化なしか。いや、心なしかウィンドウから、出来の悪い生徒を指導する教官オーラが漂っている気がする。

 うん、気のせいだね。ウィンドウがそんなオーラ出すはずないし。でも何となく怖いので右をみる。


 ……何もないな。さっきのMPといい、どっか調子悪いのか?


『↓』


 ウィンドウは出たままだ。いや、内容が変わったか。下の矢印? どういうこと? とりあえず矢印に従って目線を下げる。

 ん? なんかパネルのランプが光ってるな。しゃがんでパネルを眺めれば、光ってるランプの下には『炊飯』ボタンがあった。


 まさかと思い、パネル横の取っ手を引くとオーブンの様に下へと開いたではないか。中を覗けば、大き目の鍋とフタが入っている。なんだこれ?

 これが炊飯器? 炊飯器ってもっとこう、俺がアパートで使ってたようなのとか、あるいはどっかの大魔王が封印されてたような形だよな? やっぱ調子悪いの? 病院行く? 誰が? 俺? 俺が病院に行ったら、スキルの調子が良くなるのか?


 なんか余計混乱してきた。そうだ米を研ごう。米を研げば全ては解決するはずだ。オーブン型炊飯器から鍋を取り出し、米一袋分(2kg)を研ぎ始める。ちなみに精米済だった。


――シャリシャリシャリ


 米を研ぐ音だけが響く。あぁ落ち着くなぁ。そういや、水はどれぐらいいるんだ? 家じゃ手の平が浸かる位入れてたけど、これだけデカい鍋だと加減が分からん。


――シャリシャリシャリ


 まぁいいや、目分量だ。初めて使うんだし、失敗前提でやればいいや。


――シャリシャリシャリ


 この量だと研ぐのも大変だ。そういや米2kgって何合分だ? 一合が150gだったかな。いつもは計量カップでザーッと入れるだけだったから、よく覚えてないや。


――シャリシャリシャリ


 まぁ一合150gとして、2kgだと約11合。ご飯茶碗で22杯分か……あれ? 炊きすぎか?


――シャリシャリシャリ


 いや、八人分なら、そうでもないな。シャーロット達もいるし、余れば醤油を垂らして焼きおにぎりにすればいい。惜しむらくは海苔がないことだな。なまじっか米が手に入った分、日本食への欲望が出て来てしまう。


――シャリシャリシャリ


 ま、追々だな。焦っても碌なことが起きないだろうし。成るように成るさ。




 よし、米研ぎ完了。水はいつも通り手の平が浸かる程度でいいや。硬かったり柔らかかったら、次に活かせばいいしな。


 付属のフタをしてオーブン型炊飯器に鍋を押し込む。これでいいんだよな? 扉を閉じると『炊飯』ボタンが点滅する。押せばいいのかな?

 ぽちっとしてみた。するとボタン横にデジタル数字が現れ、カウントダウンが始まる。炊きあがりまでの時間って事かな?

 炊きあがりまでそこそこ時間があるし、ガロンさんの様子でも見てくるか。

この炊飯器は縦型炊飯器をイメージしています。

ビルドイン型ではありませんが、そこはご都合主義ってことで。

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