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第110話 アレク……君?

 飛空艇の妙な機能で寝汗をかいた俺は、風呂場へと向かっている。先にアレク君が入ってる様だけど、男同士なら大丈夫だろ。

 それにヤツがちゃんとはいれてるかも心配だしな。


 脱衣所のカゴにはアレク君の脱いだ服がキレイに畳んで入っている。入っているのはアレク君で間違いなさそうだ。

 隣のカゴに自分の服を入れると、タオルを手に大浴場に入る。あぁ暖簾探さないとなぁ。入るたびに思い出すんだけど、出ると忘れるんだよな。


「おーい、アレク君やー。のぼせてないかー?」

「えっ? ショータさん? なんで?」


 丁度アレク君は体を洗ってた所だったらしい。うん、関心関心。シャーロットも見習ってほしいもんだ。


「ちょっと寝汗をかいたんでな」

「そ、そうなんですか」

「アレク君こそこんな時間に入るんだな」

「えーっと、て、手入れをしてたらこんな時間になってしまって」

「そうか、三人分だから大変だな」

「いえ、それはもう慣れましたから」


 そのままアレク君の横で身体を洗う。一回洗ってるから、ざっと洗う程度だけどね。アレク君は全身アワアワだ。

 あれ? さっきはもうちょっと泡少なかったような。あまりのアワアワに、アレク君自身までアワアワしている。


 アレク君は随分念入りに洗ってるようで、俺の方が先に洗い終わってしまう。洗い終わったらサッサと湯船に浸かる。

 アレク君はまだ洗ってる様だ。湯船から彼の後姿を見る。言っておくが俺に変な趣味は無い。ただ彼の細さが気になっただけだ。


 泡まみれで体形は分かりにくいが、シャーロットといいアレク君といい、この世界の人達はみんな線が細い気がする。

 俺の体形と見比べると、ちゃんと食べてるか心配になるレベルだ。決して俺が太ってる訳では無いはず。


 湯船に浸かり頭にタオルをのせる。これこそ正しい入浴スタイルだ。例によって縁に背を預け、外を眺めている。相変わらず朝焼けの景色が美しい。

 景色を眺めていると、「失礼します」と横にアレク君がおずおず入ってくる。バスタオルを巻いているのはまぁ目をつぶっておこう。そこまで俺もうるさくはない。


 でも何でバスタオル? タオルでよくない? あぁクレア達女性に教わったからバスタオルを巻くようになったのか。これは教えてやっておいた方がいいのか?

 ……まぁやめておくか。よく考えてみれば、俺はこの世界の風習を分かっていない。もしかしたら、他人に肌を晒すのがNGかもしれないしな。


「ふぅー、お風呂って初めて入りましたけど、これは気持ちいですねぇ」

「そうだろう。そうだろう」

「なんだか癖になりそうですー」


 そういってアレク君はブクブクと沈み込んでいく。


「そういや、アレク君はどうして冒険者になったんだ?」

「うーん、大した理由じゃないんですよねぇ。クレア達が冒険者になるっていうから、じゃあボクもって感じです」

「もっと別なことをしてみたかったとかなかったのか?」

「どうなんでしょうね。結局は同じようなことになってたと思いますよ」


 なんか訳アリっぽいなぁ。華奢だもんなぁ。何となく気にしないようにしてたけど、そういうことなんだろうなぁ。


「そっかー、アレクも大変だったんだなぁ」


 そういってアレクの頭をワシワシする。


「なんですかーいきなりー」


 アレクも口では嫌がってる様だが、されるがままだ。調子に乗ってグリグリまでしてみる。


「ちょっ、ショータさん。さすがにそれは痛いです」


 そういって俺の手を跳ね除けようとする。タイミングが悪かったんだろう。跳ね除けられた俺の手が、丁度アレクのバスタオルにかかってしまう。

 ラブコメじゃよくあるパターンだよな。尤も俺が体験するとは思ってもみなかったけど。


 まぁほぼ(・・)予想通りの光景だった。一つ誤算があったとしたら、アレクには両方(・・)付いてたって事かな。

ってことで、アレク君はアレクちゃんでもありました。

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