第103話 侵入者?
「よし、次は別の魔法を教えてくれ」
「いや、残念だがそれどころじゃ無くなったようだ」
なんだよ……これからって時に。だが、彼女の顔が真剣なので先を促す。
「どういうことだ?」
「先程警戒の魔法に反応があった。数は3。ドアの前にいるな」
そういや入る時、壁の前でゴソゴソしてたな。あの時警戒の魔法とやらを使ってたのか。
「ドアの前? でも認識阻害は展開したままだぞ?」
「そうか……だが実際いる訳だしな……あっ!」
「うぉぃ、いきなり大声を出すなよ!」
「そんな事より、思い出したぞ! 昨日認識阻害の検証をしたな?」
「あぁ、したな。あの時は確かにドアの位置がなんとなくしか認識できなかった」
「そうだ。私の場合はドアの位置自体分からなかった。だがドア以外はどうだった?」
「ドア以外?」
「そうだ。特に私が作った壁はどうだった?」
「壁?」
バックドアを呼び出すのに作った壁の事だよな? アレは確か……
「……ちゃんと認識できてたな」
「私もだ……つまりドア自体は認識できなくても、それ以外の部分はちゃんと認識できるわけだ」
「ってことは、外の連中もドアは分からなくても壁は分かるのか」
「そういうことだ」
つまり、外にいる奴らはドア自体を見つけて近付いてきたのではなく、薬草の群生地のド真ん中にポツンと立ってる壁が気になって近付いて来たってことか。
「認識阻害、意味無いじゃん……」
「ま、まぁ元々は本体の為の機能だからな……って、なんで私がフォローしてるのだ?!」
はい、シャーロットさんのツッコミ頂きましたー。これはレアですぞー。
「と、とりあえず、相手を確認しておくか」
「そ、そうだな」
バックドアの前で耳を澄ます。どうやら外の連中はこのドアの正体が分からず、どうするか揉めているようだ。
『ねぇ、止めておこうよ……』
『何言ってるの! こんなところにドアがあるなんて、あからさまに怪しいじゃない! 絶対ダンジョンよ! ダンジョン!』
『……』
確かにダンジョンと言えばダンジョンだな。ダンジョンコアもあるわけだし。あとこの声どっかで聞き覚えがあるな。特に女の子の方のキンキン声。
『でも、ひょっとしたら誰かのお家かもしれないし……ほら、鍵だって掛かってるよ?』
『そんなの、ドアごと壊せばいいのよ! 大体こんな所に一軒家建てるバカなんか、いるわけないでしょ?』
『……』
すいませんねぇ、こんなところに一軒家っぽいの作ってて。あと中に俺以外に誰かが居てもドアは開くことが出来ないようだ。
ただドアノブが触れるようになったのはなぜだ? 俺一人が中にいた時はドアノブすら触れなかったはずだ。
(なぁ、なんでドアノブが触れるようになったんだと思う?)
(私が知るわけないだろう……まぁ、私が外に出られるようにとか?)
(あり得るな……)
シャーロットが内側のドアノブを触れなかったら、下手すりゃ監禁ってことになるしな。
『もしこの先がダンジョンなら、第一発見者で褒賞金とか出るだろうし、入口は安全地帯なんだから野営にもピッタリ。いいこと尽くめじゃない』
『それはそうかもしれないけど……』
『……』
ほう、ダンジョンを見つけると金一封的なのがあるのか。それに入口ならモンスターも居ないと。
『いいわ! アレクは後ろで見てなさい。ベル、やるわよ!』
『……!』
『クレアー!』
ヤバい、ドアが壊されたら俺達どうなるのか分からん。急いで阻止しないと。
慌ててバックドアの扉を外に向かって開けた。うん、カウンター気味にドリル少女の顔にぶち当たったよ。
「クレアー!!」
「……!!」
ピューッとマンガの様に鼻血を吹き出しながら倒れていくクレアちゃん。どこからか「K.O.」の声が聞こえた気がした。




