第10話 食糧難
塩の平原に見とれていた俺は日没までその場に佇んでいた。
日中の青と白のコントラストもいいが、夕日が沈もうとする瞬間もまたよかった。
つい、どこかの芸人よろしく夕日に向かって「悲しいときー」と叫んでしまったのも、致し方ないといえよう。
さて、このまま夜の星を眺めるのもいいが、さすがに寒くなってきた。
飛空艇内に戻り、呆けている間に回復したMPを使い、区画の解放を行う。
『MP1を消費し「区画:上層への階段」を解放しますか? MP6/10』YES
『MP1を消費し「区画:下層への階段」を解放しますか? MP5/10』YES
『MP2を消費し「区画:厨房」を解放しますか? MP4/10』YES
これで残りMPは2。
MP0は避けたいが消費2の区画の解放もやっておきたい。
とりあえず保留にして、先に厨房内の探索を行う。
何か食糧があればいいが……
「うーん、調味料すらないか……」
TVでしかみたことないようなプロ用の厨房。
コンロも5口もあるし、そのうちの一つは中華鍋が座っている。
棚には寸胴鍋やらフライパン、蒸籠もある。
食器はそこそこある。
質も良さそうだし、持ち出して売るのもアリか?
いや補充されるとは限らないし、慎重にいかないとか。
据え付けの機具も確認すると、オーブンやら石窯まであるようだ。
あれってサラマンダーとか言ったっけ?
芸能人が奢りを掛けて戦うバラエティー番組で見た覚えがある。
でも、あんなの使うとき有るのか?
勿論というべきか、包丁も各種そろっていた。
それはありがたいのだが、柳葉包丁なんて使えねぇよ。
あぁ、出刃包丁なら護身用の武器になるか。
持ち出せるかは分からんが、ダメ元でと鞘に納めて懐にしまう。
シンクは広く、食器洗い機っぽいのまである。
まさに至れり尽くせりってヤツだな。
そして冷蔵庫は上下2面が2台。
更に、冷凍庫は1台+製氷機……うん、どう見ても業務用ですね。
何か食べるものが入っていないかと、全部開けてみたがものの見事に空だった。
念のためにと、冷凍庫を開けても見る。
製氷機の中に氷だけはできてるので、ボリボリとかじる。
当然、腹の足しにもならない。
(まいったな、当てが外れたぞ……)
もしかしたらMP消費で食材が召喚されるかもと「唐揚げが食べたい!!」と叫んだが、空しく声が響いただけだった。
食料は自分で調達しろってことなのか?
とりあえず明日の朝、塩を確保しておこう。
失意のまま厨房をでる。
MPは変化なく残り2のままだ。
ここはひとまず晩飯は諦め、寝床を確保しよう。
18/01/05
諸々修正。




