We are alive in this world.
はじめまして、西瓜と申すものです。
この度、小説を書こうと思い立ち、投稿させてもらっています。
スマホで編集しているので、見づらい点があったら申し訳有りません。
良ければ、楽しんで見ていただければ
幸いです。
更新ペースはまばらになりますが、
どうぞよろしくお願いします。
第一話 Human society is ...
2016年 12月25日 16:27分
この日人類は、アフリカ大陸、サハラ砂漠において、とある遺跡を発掘。ひとつの花を持ち帰ってきた。白い花弁に紅い茎。見たことも無いその美しい花に人々は心奪われ、そして驚嘆した。
その花は、汚染を浄化し、万病を治し、文字通りに世界を救った。
人々に「神々の祝福」とまで言わしめた
その花は多くの土地で育てられ、平和の象徴とされた。
発見者はこの花を「Hope」と名付けた。
なんのひねりもなく、子供が即興で考えつくようなその名前を誰も馬鹿にはしなかった、その通り、その花こそ希望の証だったのだから。
誰もが平和を謳い、誰もが幸せを感じ、誰もが笑顔だった。
子供達は夢を描き、大人たちは夢を創造し、夢は現実となっていった。
誰もがこの幸せは続くのだと思っていた。
誰もがとある研究者の声に耳を貸さなかった。
誰もその花の正体を確かめなかった。
そしてー
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目を覚ます。
現在時刻は、2032年12月10日 8:30
カプセルのような寝具から身を起こし、
私は現状を再確認する。
「現在時刻は、2042年12月10日 8:31分
私、製造番号06が製造されてから16年と2ヶ月が経過。」
自らのことを番号で表した幼き少女は、しっかりとした足取りで窓へと近づく。
そして、メモリーからとある景色を思い浮かべる。
2020年の何事も無いある日の景色。
車の音。世間話をする人々。通勤、通学を行う大人、子供。生活音が響き、コンクリートと青空と緑が広がる。日常的な風景。
それを思い浮かべつつ、彼女は窓を開ける。
ーそして、現実を見る。
2020年に起きた出来事が、解決していないという現実を。
道路から、紅いものが飛び出て、車を突き刺している。人々は、全身を植物的な赤で染め、虚ろな目で歩き回っている。通うべき学校、出て行くべき社会は崩壊し、人類の存在を確認することはできない。生活音がしているべき住宅からは、ラフレシアを彷彿とさせる巨大な花が咲いている。
これが、2042年12月10日現在の日本。
かつての面影はなく。目に映るのは破壊の痕跡と「希望」と呼ばれた花により蹂躙され尽くした人類達。
ーそう、今まさにこの世は地獄と化している。
「現状を確認。使命を続行。」
そう言い放ち、窓を閉め、彼女は部屋を出て行った。
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「ふぁ〜あ。あー....」
金髪碧眼の、いかにも軽そうな少年は、
廊下を歩きつつ、軽く伸びをする。
「朝起きて急に呼び出しってどうなのさ?昨日も夜まで会議したじゃん...」
金髪の少年は、並んで歩いている、
ニット帽をかぶった茶髪の少年に問いかける。
「まぁ、そう言うなってタクヤ。
俺らはヒーローなんだから、多忙でいいのさ」
と、誇らしげに親指を自身に向けている少年をみて、タクヤと呼ばれた彼はうんざりとする。
「ヒーローだって人なんだからもうちょっと労ってくれてもいいじゃんか〜。
あぁ〜怠い。眠い。ヒロ、俺の代わりに全部やってきて。」
「お前...前もそれでカレンあたりにボコされたんじゃなかった?」
「嗚呼!そこのベンチで横になり、瞼を閉じるだけで!私は救われるというのに!」
と、演劇のように大仰な動きをし、深い悲しみを表現する彼は目的の場所に着き、足を止めた。
ノックをし「別動隊員会議室」と書かれた
ドアを開け、二人が中に入ると、
「遅い。」と、微に怒気を孕んだ声と。
「あははは...まぁまぁ、その辺で。おはよう、ヒロとタクヤ。」と
それをたしなめるような声が聞こえた。
「「おはようアツシ兄。」」
と、二人揃って挨拶をしたのち、
「そしておはようカレン。今日も怒ってるの?カルシウム足りてる?そんなにしかめ面してたらあっという間にバアさんになっちゃうぜ?」
と、タクヤが無駄なことを言った。
それを聞いた途端。
「....ほう?ほうほう。そうかそうか。」
と、カレンと言われた軍人のような服を着た赤髪短髪の少女は。
満面の笑みを浮かべ、近寄ってきた。
ー軽い殺気を放ちながら。
やっべ。と思ったが遅かった。
「タクヤ。」「ハイッ!」
思わず声が裏返った。
「私がなぜ怒っているのか分からないのか?」
「ちょっと、遅れちゃったから、です、かね。」
汗が滝のように流れていく。
「お前の頭では30分の遅刻をちょっと遅れたと言うのか。そうかそうか。...これで何回めになるか、覚えているか?」
「...4回めくらいカナー?」
「そうだ。ついでに、仏の顔も3度まで。という言葉の意味は分かるか?」
「いやぁ。でも、麗しきカレン様なら4度までくらいあるんじゃないです?」
「そうかそうか。あははははは。」
肩に手を乗せられる。
「あは、ははははは。」
「「あはははははははははは!」」
しばらく笑いあい、そしてー
「破ッ!」
「あがっふうっ!」
...見事な正拳突きが、タクヤの腹に突き刺った。
「お前はなッ!何回ッ!やればッ!直すんだッ!」とカレンは激昂している。
一方、タクヤはダンゴムシを突いたように
丸まって、痛みに悶えている。
そんなやりとりを見つつ、アツシと呼ばれた黒髪の青年はコーヒーを飲みつつ苦笑いを浮かべ、ヒロはタクヤの背中をさすっていた。
そんな時、ドアが再び開かれ、そこから
「申し訳ない。想定外のことが起き、出席が遅れた。」と、機械的な声が聞こえた。
そこには、白髪青眼の少女が、澄んでいて、しかし生気が感じられない目をして立っていた。
「おはよう。リッカ、珍しいね。
いつも一番なのに。」
「あぁ。それについて今弁明をー」
言い切る前に。
「つっかまえたッ♪」
という声とともに、黒髪長髪の少女がセーラー服のような服をなびかせ、弾丸のように飛び込んできて、リッカと呼ばれた少女に抱きついた。
「あぁ〜ひんやりしてて気持ちいいなー」
「お、おはようレイナ。今日も朝から元気そうで何より...ゲッホ!」
腹を抑えつつ、タクヤが挨拶をする。
「おはよう!って、なんで這いつくばってるの?」
レイナと呼ばれた少女は首をかしげる。
「あぁ....まぁ...いつものだ」
「あぁ....そう....ま、ガンバ?」
「助けてはくれないのねー...」
という話をしていると
「会話が途切れましたが、改めて弁明を」
「あ、いいよ。なんとなくわかった。」
「了解しました。まだ、会議を提案した本人はこないようなので、朝食を済ませてしまいましょう。」
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朝食をし、数分が経つ。...まだ腹が痛い。
たわいのない話をしていると、突然ドアが勢いよく開き、皆がそっちを見る。すると、
「おはよう!愛する子供たちよ!」
と、バカ全開の声がした。
そこには、見慣れた白衣を着て、無精髭を生やした、冴えない中年がいた。
「おはよう。あと、うるせぇ。」
「ヒドイ!反抗期か?反抗期なのか!?」
「いや、反抗期過ぎても嫌になるだろう。こんな父親だったなら。」
「カレン、追い打ちかけてどうするの....」
「だが事実だろう。」
「ヒドイ!ヒドイよみんな!父さん泣くよ!?」
と、悲しそうな目をする父に。
「中年男性の嘆きに誰も関心はないので、
素早く本題に移ることを推奨します。おとうさん。」
無機質な声が、とどめを刺した。
ー数分後ー
しばらくいじけていた父をレイナとアツシ兄が励まし、本題に入ることになった。
結局、予定より1時間程度遅れてしまった。
「おほん。今回集まってもらったのは、今日の探索に研究員が数人同行することとなったことにより、少し作戦に修正が必要になったからだ。」と少し気取った声で父は言った。
「了解。今日の探索メンバーの増員を推奨します。私とタツヤの他に、カレンの同行を要請します。」
「わかった。なら、私も同行しよう。」
.............
「....え?こんだけ?」
思わず口に出してしまった。
なんということだ、あんな痛い思いをしてまで来たというのに.....
「まー、どちらかというと確認とるだけだったしね。あ、それとアツシ。今日も手伝ってくれるか?」と父が言った。
「あぁ、例の物の件ですね?わかりました。お父さん。」
「例の物!?何それなんかカッコいい!」
と、ヒロが言った。言ってしまった。
「フフフ、それは秘密だ!なんせ俺に任された超重要なものなのでな!このpcに厳重なロックをしてい」
カチカチッ
「ほーい解除解除〜中身はなんじゃらほい」
レイナがあっけなくロックを解除していた。
「えええ!なんで!?」
戸惑う父の方に手を置き。
「おとうさんが使用するパスワードは重要なものほど<family>という短絡的かつ安直な設定になっているからかと思われます。」
と、リッカが遠慮なしにいった。
「うえぃ!?あー、いや!そんなことはな」
「追記。何かを誤魔化す、嘘をつくなどの時は100パーセント、あー、という言葉を口にする癖を持っています。」
「......」
年端もいかぬ幼女に論破される青年の図。
「と、とにかく!閲覧禁止!」
「ほーい。わかってますよとーさーん。」
どうやら、本当に秘匿しなければ
いけないほどの機密らしい。あんなに焦っているのが証拠だ。
「報告。そろそろ作戦時間です。」
リッカがいう。
嫌な時間が始まる。
「はぁー、行きたくねぇ。いってきまーす...」
「行ってくる。防衛の方は頼むぞ」
「「「「いってらっしゃい!」」」」
そう言い残し、出口へ向かう。
さぁ、お外で遊ぶ時間だー
第1話 完