王都ギルトマスター ゲイン
続きます。
更新遅くなって済みません!
「それは今だぜ、お嬢ちゃんたち」
ソフィアは、その声が終わる前には短刀の柄に手をやっていて、ユキもローブの下から小さな杖を取り出していた。
すぐに戦闘態勢に入った二人を見て、男はいかつい声を上げる。
「まあまあ、そんなに警戒すんなって。いかつい顔をしている奴が全員悪人とは限らねえぜ」
男は、彼の発した言葉の通り、でかく、いかつかった。
鍛冶屋や大剣が似合いそうな筋骨隆々の人物。
それがソフィアとユキの、彼に対する第一印象だった。
「俺がこの支部の長、ゲインだ。よろしくな!」
差し出されたごつい手をユキが握ろうとした瞬間
――――ソフィアは、殺気を感じ取った。
「フィアちゃん!前へ!」
ゲインがユキに、巨大な大剣を振り下ろそうとしているのを見て、ソフィアはユキの前に出ようと走った。
それと同時に、ユキはゲインに向かって魔法を飛ばす。
ゲインとユキの間に走りこむと、ちょうどソフィアが魔法にあたるタイミングだった。
しかし、ソフィアは何の迷いもなく、ユキの言葉を信じ、彼女の前に立つ。
短刀を腕二本で支えて頭上に掲げた瞬間、ユキの魔法が背中に当たった。
しかしその魔法は、ダメージも衝撃もなくソフィアの体を包み込んだ。
(付与魔術!)
そして、ゲインの大剣がソフィアの短刀に叩きこまれたが、彼女は耐えきった。
それと同時に、魔術師とは思えない俊敏さでソフィアを回り込んだユキが、ゲインの首に杖を突きつける。
「動かないでください!」
緊迫した一瞬が過ぎ、ゲインが大剣を消した。
「いや、参った。俺の負けだ降参だ!」
両手を上げて降参のポーズをするゲインだが、ソフィアもユキも警戒を解かなかった。
「いや、たまにいるんだよな。スキルとかステータスとかを偽造するやつとかが。パッと見て本物だとわかったが、試さずにはいられなくてな」
あまり反省していないように見えるゲインに、女性職員が話しかける。
「支部長……。それをやってはいけないと一体何度言えばいいんですか?おかげで既に、この支部の職員が七人も辞めてるんですよ?」
「あー、すまんすまん。以後気を付ける」
ゲインたちの会話を聞いて、もう戦闘続行はなさそうだと判断したソフィアは、短刀を下した。
「つっ……!」
「あ、大丈夫!?」
「うん、腕が痛いだけだから。多分少ししたら治る」
「もう、無理したら駄目だよ。『ヒール、腕を癒せ』」
ユキの魔法で、腕の痛みが引いていった。
「へえ、便利だね」
「ううん、やっぱり難しいよ?基礎の陣を使わずに魔法を発動しようとしたら魔術語を使わなきゃいけないし、集中と魔力を結構消費するからね」
(魔法語……?単なる言葉にしか聞こえなかったけど……。い、いや、まさかっ!!全言語理解のスキルってこんなところでも役に立つの!?)
驚愕の事実(多分)におののくソフィアだったが、その間に話は進んでいたようで、ユキから、発行したてのギルド証を受け取った。
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