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名も無き世界 異世界編  作者: 有加田 慧条
そして物語が始まる
7/26

パーティー編成

更新します!

「これに触ればいいんだっけ。えーっと……」


ここにきて、ソフィアはかなりまずい状況にあることに気が付いた。

自分が触れば、おそらくチートなスキルやスタータスがパネルに表示される事になる。

それを見たユキがどんな反応をするだろうか。


「触らないの?私が先にやっていい?」


これ幸いと、ユキに先に触らせて、その隙にどうするかを考えることにした。


「うん、先にやってて。私は後でやるから」


その言葉を聞いたユキは、水晶玉に触れた。すると、パネルが光り、ユキのスキルやステータスが表示された。


「え、ええーー!?」


しまったと、自分の額を叩くソフィア。

よく考えたら、ユキも自分に勝るとも劣らないチートスペックなのだ。


「フィアちゃん、これってもしかして、私って……強い?」


その言葉を聞いて、ソフィアははっとする。

そうだ。ユキは自分にスキルを見せてくれたではないか。

この世界でどれほどあてになるのかは知らないが、それでもかなり重要な情報だろう。それを見せてくれたユキを疑うのは失礼という物ではないか。


ソフィアは、この異世界で、ユキを信用することにした。

ユキが自分のことをフィアちゃんと呼んでいることにも気づかずに。


「うーん、十分にチートだね」

「う、うん。大丈夫なのかな」


不安そうに呻くユキ。

声が外に漏れないか確認した後、その肩をたたきながら、ソフィアはこう言った。


「大丈夫、私も似たり寄ったりだから」

「へ?」


ソフィアが水晶に触れると、彼女のチートがパネルに表示された。


「    」(絶句)

「どう?」

「……。こんな人が普通なのかな?」

「いやいや、さすがにそれはない」


苦笑するソフィアに、呆然とするユキ。

ちなみに、彼女たちはまだ知らないが、この世界にはこれくらいのチートは一世代約五十年(約一億人ほど)に五人はいるのだ。

しかも、そういった人物たちの寿命はなぜかやたら長いため、結構な人数がこの大陸や傍の島国で生きている。


「あ、自己申告制だから全部は書かなくてもいいと思うよ。多少注目されるくらいでいいと思う」

「そ、そうだね」


それぞれの用紙に書き込みを始める二人。

ソフィアは、ステータスは下手にいじらないようにして、特殊スキルと才能スキルの知覚強化と超回復を書かずに終えた。

通常スキルでも暗殺術を書かなかった。

下手に切り札になりそうなものは、隠しておくべきだと思ったからだった。


「終わったよ。ユキ、そっちはまだ?」

「ううん、今ちょうど書き終わったよ」

「ちょっと見せて?私のも見せるから、不自然なところがあったら言ってね」


普通、不自然なチートが不自然なチートにいう言葉ではない。


「うん、いいよ」


ソフィアは、ユキがある程度チートスペックを隠していることを確認した。

ステータスはいくらか減っていて、魔力超回復も書いていなかった。


「よし、それぞれ切り札とかステータスはちゃんと隠したね」

「うーん、フィアちゃん、ステータスをもうちょっと隠しといた方がいいと思うよ」


ソフィアは、ユキからフィアちゃんと呼ばれた事は置いておいて、自分のステータスを確認する。


「全体的に減らしておいた方がいいと思うよ?」

「そうだね、上限を五十ずつくらい減らしておこうかな」

「それくらいでいいよ」


紙に書いてあるステータスを下げたソフィアは、もう一度軽くユキのステータスを確認し、そこで驚くべきものを見つけた。


ユキ  職業:冒険者  年齢:十四


「と、年上だったんだ……」

「そうだよ?フィアちゃんは十歳だからね」


ソフィアは、年齢の欄は外見から十歳にしてある。

中身の年齢は大体十五歳だが、なぜか大半の思考機能が体に引っ張られているため、諦めて十歳と書いた。

それまで異性の体に対してほとんど興味を持たなかったため、外見から判断するしかなかったのだった。


「よしよし」


意外なところでダメージを受けたソフィアは、ユキに頭をなでられた、


「……ちっぱい」


が、それはソフィアの余計な一言によって強烈なアイアンクローへと進化した。


「あがががが……!いふぁい!いふぁいほ!!」


ぺしぺしとユキの腕を叩くが、筋力は上のはずのソフィアの全力でもユキの腕は小揺るぎもしなかった。

ちなみに、ソフィアは痛い!痛いよ!!と言っているのだが、口や頬を歪められているためまともに発音できない状況だ。


「ね、世の中には言ってはいけないことがあるんだよ……」

「…………!!(こくこく)」


ユキのやけに平坦な声が聞こえたため、必死にうなずくソフィアだった。

ユキのアイアンクローから解放されたソフィアは、ふと自分の胸に視線を落とす。

そこには、ユキよりも小さい絶壁があった。


(なんで、元は男のはずなのに……!なんなのよこの敗北感はっ!!)


ユキは、打ちひしがれているソフィアを横から眺めていた。


(……同志だね。)


そう考えながらも、さっき自分の胸の大きさを言われたばかりだったので、一切のフォローをしなかった。


「はい、これでギルド証の発行は終わりです。お二人でパーティー編成をしますか?」

「はい!お願いします!」


微妙に落ち込んでいるソフィアの代わりに雪が応答する。


「もとは男のはずなのにぃっ……くやしぃ……うぅっ……」

「フィアちゃん、大丈夫?」


「はい、これがギルド証です。無くしたら最寄りのギルドに通達してください」

「はい」

「はい!」


しかし、唐突に告げられた次の言葉に、二人は思わず疑問形で返した。


「あなたたちのステータスを試すので、この支部の長と会ってください」

「はい?」

「は……え?」


「ギルド支部長と会うって、もしかして戦えってことですか?」


ソフィアの質問に、職員は曖昧な答え方をする。


「もしかしたらそうなるかもしれません。何しろ、王都のギルド支部を任されるほどの人ですので、我々でも思考は読み切れないのです」

「……」

「あなたたちのような方が現れた時には、ギルド支部長か副長の確認が必要なのです。ここでは支部長がお二人と似たような方なので、一応確認するそうです」

「ちなみに、それはいつになるの?」


ソフィアの質問の直後、ユキとソフィアの後ろから男の声がした。


「それは今だぜ、お嬢ちゃんたち」



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