洞窟と危険人物
更新します。
ソフィアは、洞窟の入口で止まった。
フギン、ムニンからの報告でこの洞窟の中に入ったことまでは分かったのだが、何故か洞窟の入り口から洞窟の中に魔法が飛ばせないようだ。
そのせいで、ここまで追ってきたのちにすぐに報告に来たようだ。
ユキがここに居れば、説明してくれたかもしれないと思いながら、洞窟の中に入っていく。
「『ライト』」
ユキから習った初歩的な魔法のうちの一つであり、周囲の光を集め、溜めることで、周りを照らし出すことのできる魔法である。
ソフィアの『神話召喚』で、蛇などの熱感知の瞳を使ってもよかったのだが、魔力を温存したかったためにやめておいた。
先ほどの『神話召喚』の連射は、まるで自分がしていることではないかのように、体が勝手に動いた。
何かに乗っ取られて体を動かされているかのような感覚に、ソフィアは恐怖を抱いた。
しかし、敵がユキを連れ去り、フギン、ムニンに後を追わせたときには、その感覚は半分ほど解けていて、移動中に完全に消えた。
首をかしげたが、それよりも大きいの違和感にソフィアは気付いた。
妙なことに、意識が何かと融合しているような感覚がするのだ。
最初からあった自分と、違和感のある自分が混ざり合っているような、奇矯な感覚に、ソフィアは自分に対して『神話召喚』から『聖者の祝福』を使った。
自分の回復のためなら、多少の魔力の消費は問題ないだろうと思ったからである。
聖者の祝福は往々にして、人々に癒しと幸福をもたらす。
古今東西様々な聖者がいるし、日本で言えば高位の僧がそれにあたるだろう。
有名な話で言えば、少ない食料を分け与えてくれた農家の人々のために、水がこんこんと湧き出る泉を作った人物が日本にいた。
おかげで、破城鎚の木片で負ったかすり傷が、まるでなかったかのように治り、治りきっていなかった亡者の攻撃も回復できた。
しかし、その奇妙な感覚は消えなかった。
苦しいという訳ではなかったので無視しているが、この戦いが終わった後、ユキに詳しい話を聞いてみようかと考えている。
ソフィアはそのあまりにも甘い見通しが、強者の傲慢からくるものであるとは気付かなかった。
洞窟の中に入ってすぐに、(もちろん『感覚強化』の力で、辺りをできる限り伺いながら歩いていた)自分の隣に薄い光の筋のようなものに気づいた。
『ライト』を消し、その光に近づいた。
トラップだった場合に備えてすぐに飛びのけるようにしながら、それに触ると、手の中に吸い込まれていった。
驚いて手のひらを見つめると、これまで気付かなかったが、わずかに光のようなものが漏れている。
周りを見回すと、『ライト』を消したところに球体の薄い光があるのに気が付いたソフィアは、それが魔力であることに気付いた。
『感覚強化』の力で、魔力の痕跡もたどれることを知ったソフィアは、魔力の跡をたどって、『ライト』を使わないままでかなりの速度で移動し始めた。
しかし、その途中で、魔力が激しく乱れているところを見つけた。
不審に思い、『ライト』を一瞬照らしたソフィアは、恐怖した。
「ひっ……!」
あたりに血が飛び散り、人体を構成していたのであろうものが粉々になっているところを見つけたからだ。
吐きそうになりながらも、ユキを探すために前進する。
ユキも、同じ目にあわせるわけにはいかないのだ。
しかし、その途中で魔力が、二つに分かれていた。
片方は山を抜ける形で通っており、もう片方はもっと山の下へ潜る道になっているように感じられた。
この山が山賊の根城であることを知らないソフィアは、山を抜けるであろうルートを選択し、移動を開始した。
しばらくしてから、魔力の流れが急に濃くなっていることに気づき、それでユキと敵が近づいてきていることが分かった。
そして次の瞬間、雷が飛んできた。
咄嗟に飛びのき、そのまま走り続ける。
気づかれたのであれば、何か罠を作られたりする前に近づきたいからである。
そして、洞窟から出たソフィアは、数日ぶりの謎の人物を見つけた。
隣には、着物らしきものを着た武士を連れている。
「おいおい、ニセ勇者かよ」
ソフィアには、彼らが今し方攻撃してきた人物、というふうにしか見えなかった。
「ら、『雷剣』!?ユキをどこにやった!」
即ち、敵。
ユキを連れ去った危険人物達。
「いや、知らんぞ。そもそもユキが誰だかも知らん」
しかし、ソフィアは即決で攻撃を仕掛けなかった。
「……、それなら、辺りに散らばっていた血肉は、誰がやった?」
それはソフィアのスキルのおかげか。
「俺達だが?」
しかし、その悪寒を突っ切って、ソフィアは攻撃を仕掛ける。
「それなら、問答無用!」
仕掛けて、しまった。
これから二週間ほど、更新できないです。
すみません。必ず帰ってきますので、しばらくの間お待ちください。
復活しました。
更新は少し待ってください。




