『雷剣』と二席
グロ注意です。
ポチャン……
ポチャン……
「……おい、生きてるのか?」
規則的に水の落ちる音のする地下室で、彼は久しぶりに人の声を聞いた。
「何者だ……」
「おお、生きてたか。良かったぜ、二席」
そして、その声と自分の呼び方で、相手が誰であるかを理解した。
そして、自分はその呼び名を受けるにはふさわしくは無いと、そう考えた。
「もう私は二席ではござらん。主を守ることもできない剣士に、将軍の地位など」
「はぁ……お前の主は生きてるぜ。五席と一緒に休養中だ」
「なっ……!!生きておられたのか!?」
彼の脳裏に、記憶が鮮明によみがえる。
おそらく三年ほど前。
彼の主である王女は侵略してきた王国を押し戻すべく、全ての『席』の名を持つ将軍に招集をかけた。
敵と正面に向き合い、布陣した。
一席から五席。それに王女直々に率いる親衛隊は、数の上では互角だったが、勝ち目は十分にあった。
本来、ほぼ同じ数の戦であれば、侵略軍のほうが圧倒的に不利だ。
参謀柄の五席は、そう話した。
相手は補給線が伸びきっている。そこを叩きながら持久戦に持ち込めば、どんな手を打とうが負けないと。そのために相手を、こちらの国深くに来させたのだと。
その自信は、味方全体に強い力を与えていた。
しかし、蓋を開けてみれば。
三席と四席による裏切りにより、あまりにも甚大な被害を受け総崩れとなった。
五席に王女を任せ、一席の軍とともに、計十五万を超える兵力に、数千で立ち向かった。
奮闘しかなりの被害を与えたものの、一席は戦闘の最中に死亡し、自分は捕らえられた。
それからは牢獄に捕らえられ、何もできてはいない。
脱獄も試みたが、全て見つかった。
定期的に自分の居場所を変えられるせいで、地形も分からない。
脱獄はほぼ不可能になった。
そして数ヶ月前、ここの牢屋に移動させられた。
深く掘られた大きい穴の底、牢屋になっている部屋に閉じ込められた時、病で殆ど死にそうになっていた。
どうにか病は回復したが、食事も満足に取れない状況ではどんな人物でも死ぬ。
もう少しで死ぬのかと、一種達観した気持ですらいた。
「私を殺しに来たのか?」
「いいや逆だ。お前を助けに来た」
「我が主の頼みでか?」
「正確には、お前の主と同盟を組んだ俺のお姫さんが、俺にお前を助けるようにと命令したんだ」
「同盟?もしや、あのお『雷剣』がどこかの国に仕えておるのか?」
「少し違うな……。俺はお姫さん自身に使えたんだ。上将軍なんて地位をもらってはいるが、結構好き勝手やってるしな」
少しの空白のあと、彼は話し始めた。
「我が主が望むのならば、生き延びて恥をさらすべきだと、そう考える。頼む、ここから逃がしてくれ」
「了解っと」
軽い返事の次の瞬間、暗闇に明かりが迸る。
彼を閉じ込めていた鉄格子は、ばらばらになって地面に落ちた。
「ここは盗賊の拠点みたいでな、ついでに潰して行こうや」
「ふむ、しばらくぶりで鈍っておったところだ。ちょうどいい」
そして、下っ端相手の一方的な蹂躙が幕を上げた。
「ほいそこ」
「ぐギャッ!」
『雷剣』の一撃が、壁ごと反対側に隠れていた下っ端を切り倒す。
「くそ、何であいつ、隠れたやつも見つけれるんだよ!?」
「泣き言はいいから逃げるぞ!!」
「『空力』!」
慌てて逃げようとする下っ端は、上から降ってきた二席に首を飛ばされる。
「ごっらあぁぁぁぁ!!逃げんじゃねえ!!そんなやつ俺が殺してやる!!」
「へぇ、意外と骨がありそうだな。俺がやってもいいか?」
「いいが、ここの頭の首は譲ってもらうぞ?」
「おお、分かってるって」
「ふっ、ふざけんな!!C級上位の俺様を無視するとは、どういうことだ!!」
「ああ、すまんな。『剛力一斬』」
振り下ろされた斧を剣で受け止めたまま押し返し、斧ごと切り裂く。
「ぐボふっ!」
幹部クラスは、力での押し合いに負け、叩きのめされる。
一方的な戦いが、展開されていた。
それから少しして、やっと盗賊のボスに情報が届いた。
「頭っ!やばいですぜ、牢屋からサムライが出てきやしたっ!!」
「ああん?何であいつが脱出できるんだ?」
「そ、それが、誰かが牢屋の鍵を開けて、助け出したみたいでして……」
「ふっざけんな!!あの侍をとっとと連れ戻せ!!さもないと俺たち全員が殺されるぞ!!」
「お、俺たちじゃどうしようもないですよ!頭にも来てもらわないと!!」
「ああ、分かったから付いて来い!!」
仕方が無いと頭を振り、直ぐに移動を始めた頭はその先で、凄惨な光景を目にする。
「なっ、なんだこれは!?」
本来は幹部たちが作戦会議を行うために作られた、広々とした空間の部屋には、その部屋の持ち主だったモノが散りばめられていた。
血はあちこちに飛び散り、床や天井にまで骨や内臓が、まるで半ば埋まっているかのような状態になっている。
悪趣味な夢を見せられているかのような光景に、さすがの頭も動揺を隠せなかったのか、一瞬の隙ができた。
そして、それを見逃すほど、『雷剣』は甘くない。
中間テスト明日で終わりですので、更新早くなるかも知れません。
艦これの二次作と平行して書いてるので、全体的に文章が迷走気味かもしれません。
後は、感想を……(小声)。




