『雷剣』と強化術式
お久しぶりです、やっと更新できました!!
「おい、お兄ちゃん。いいもん持ってんじゃねえか!」
「おお、ほんとだな。その剣、いや着てる服も、なかなかのもんだなぁ」
「そんな体で剣を振れるのか?なんなら俺たちが使ってやるよ!」
「はっはっはっはっは!!」
「そんな笑っちゃぁ、お子様のプライドが傷ついっちまうぜ!?っくく!!」
「ぬははっ、いやおい、おめえ、こんなとこに来ちまったのが運の尽きだぜ?」
そのころ、ソフィアに対して『雷剣』と名乗った人物は、十人近い盗賊に囲まれていた。
場所は山奥、人もめったに来ないであろう場所。
外見も十五歳かそこら、明らかになよなよした姿の『雷剣』は、盗賊にはいいカモにしか見えていないようだ。
「……。全く、馬鹿もここまで来ると、いっそ清清しいな」
微妙に驚いた顔をしていたことで、余計に盗賊たちにからかわれていたが、『雷剣』がそうつぶやくと、彼らはいっせいに怒り出した。
当然だろう、単なるガキが、大人の、しかも筋骨隆々な奴や、明らかにこれまで十人以上は殺していますといった風の人物たちを、まとめて馬鹿呼ばわりしたのだ。
はたから一般人が見ていたら、子供を助けようと考えるかもしれない。
しかし、(物語的に考えれば当然のことではあるが)このとき、本当に危険な状況にあったのは、盗賊たちだった。
先頭の男が剣を突き出した。そして、『雷剣』の腕を狙って、勢い良く振り下ろす。
「ちょっと物の道理ってもんを教え――――」
腕に手ごたえを感じ、
あれ?
どうして俺の腕がないんだ? 地面に落ちてるのは何だ?
俺の腕か?
血が
血血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が
血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が血が
「あがあっ!?」
男は、吹き飛んだ自分の腕を拾うために、急いで走り出す。
が、一歩目を踏み出すより前に、首が落ちた。
「おいっ!?」
ここにきて、他の盗賊たちもやっと異変に気がついたようだ。
『雷剣』を相手に何かをするには、あまりにも遅すぎたが。
嘆願逃走戦闘。それらをさせることもなく、暴虐が吹き荒れる。
ほんの数秒後、そこに残っていたのは、『雷剣』と、生き残った盗賊が一人。
それだけだった。
生き残った盗賊も、自分が強いから生き残ったというわけではないと、いつでも殺せるのだということが分からないほど馬鹿ではない。
強者たちは、人が生きてきた軌跡を、いとも簡単に破壊する。
何のためらいもなく、ただ必要だから。
ただそれだけのこと。
「おい、お前らのアジト。場所さえ教えるのなら、生かしといてやる」
「ひゅっ、ひゅっ、い、いいい言いますよだから殺さないでください!!」
『雷剣』は眉をひそめる。
「いいから、早く言え。命乞いは聞かん」
「は、はいぃ。こここ、ここから北に少し行ったら、て、てっぺんが赤い木の山があるんです。その山の中腹ですほんとです!!」
そこまで一気に言い切った盗賊を見、『雷剣』はため息をついた。
「へ、へへぇっ。い、命だけはぁあア!?あぐっァアアアア!?」
安心した盗賊の姿が、少しずつ変わる。
メキメキという音を立てて、体そのものが膨らんでいく。
「分かってはいたが、さすがに命蔑ろにしすぎじゃないのか?」
『雷剣』はこの魔法に心当たりがあった。
強化術式、改造系。
起動のタイミングは任意型、しかし一種の契約系魔術でもあり、任意の行為を実行したと脳が判断した瞬間に発動させることも可能。
全身に薄く刻まれた魔法陣で、刻んだ人物の望むタイミングで発動でき、対象を人外の怪物へと変える。
しかし魔力は強化対象から吸い取るため、一般人ならもって数分だが、変貌する先は全身を筋肉の鎧に守られた四足歩行の魔物であるため、対象が漏らした秘密を消し去るには十分だろう。
その強化そのものは強力だが、きちんと対応できる体制が整っていれば死人は出ない。
市民が相手でも逃げ切られてしまう可能性すらもある、一種の欠陥魔術である。
「グがぁ、ヴュララララァァ!!」
「Cの下位ってところか。確かに、並の騎士とかなら五、六人は殺せるな」
のっそりと動き出す獣相手に、全く動じた様子も無く力を見極める。
そして、
「ギュァァッ!!」
バグンッ
という音を立て、『雷剣』のいた場所を獣の腕が叩いた。
しかし、一瞬速く飛んだ『雷剣』は、既に獣の首の真上に、
「死ね」
そして何のためらいも無く振り下ろされた剣は、獣の首を叩き落した。
噴きあがる血を器用に避け、倒れる獣に何の反応も向けずその場を去った。
これからも更新する予定ですが、一週間に一回かそれ以上かかる恐れがあります。
少しお待ちください。




