6/6
Good night, and have a nice dream. ~日常~
鬼ごっこをしていた。僕が、今は鬼。
でも皆どこかに隠れてしまった。
シオンはたぶん、台所でお菓子を作っている。
アスカはきっと、また木にでも登っているんだろう。
サカキは、その辺で寝ているのかな？
ヒナタはところどころ場所を変えて、一箇所に留まらず逃げているんだろう。
彼女は………。
わからないや。どこにいるんだろう。
屋敷の中を探して。
庭を探して。
どこにもいない。
そう思うと、不安になった。
大切な人を、失ってしまうことが
大事な家族を、失ってしまうことが
辛い、苦しい、悲しい、
ーーーー怖い
あと、探していないのは………あそこだ。
あの場所。
僕の、お気に入りの場所。
門から屋敷へと続く道に、薔薇が乱れ咲いている。
その茂みに、細い道があった。
その道を、ただひたすら真っ直ぐに歩く。
不安と、微かな希望を抱いて。
歩き続けた果てに、海が見える。
空は暗く、浮かぶ星たちは自ら輝き、存在を示している。
その夜空を、夜の海は写す。水面の鏡は、とても広く、そして大きかった。
太陽に照らされ輝く月は、君を照らしていた。
君は、『あの頃』のように、美しかった。
『あの時』も、君は神様に祈りを捧げていた。
僕は神様を信じないけれど。
神様に祈る君の姿は、美しかった。
君はこっちに気づいて、手を振ってくれた。
それを見て、僕は笑う。
なんでもないような、この瞬間が、愛おしい。
さっきまでの恐怖は消え、穏やかな時間が流れる。
帰ったら、皆でパーティの続きだよ。
アスカとヒナタを探して、サカキを起こして。
皆でシオンが作ってくれたものを、食べよう。
そしてまたーーーーーー
『 』
ーーGood night, and have a nice dream.
