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Happy Halloween !~お菓子をくれなきゃ?~

ー今日は、ハロウィン。

「と、いうことで‼︎」

リビングに威勢のいい声が響く。紅い瞳は

輝きに満ちていて、子どものように心躍らせているのがわかる。実際、体だけは大きい子どもなんだろうが。

「みんなで仮装しようぜ!ハロウィンパーティ!ハロウィンパーティ!」

その手には、どこから持ってきたんだかいつの間にか明らかにハロウィン用の衣装やら装飾やらがあった。

包帯、ケモミミ、とんがり帽子に……オレンジ色の何かまで様々だった。

「やだよ。」即座に同じ声に否定された。

声だけでなく、顔や髪型、瞳の色や体格がまるで鏡から出てきたかのようにそっくりだ。

「えぇー、なんでだよヒナタぁ」

「やだよ。だいたいなんでそんなこと…」

「ハロウィンだから。」

という在り来たりな回答に、多少困惑しながらも、ヒナタは言い返す。

「…て、いうかそもそも、僕ら、仮装は必要ないんじゃ……」

(1人を除いて)人外が人外の、コスプレともとれることをするのが、果たして意味はあるのだろうか?というヒナタの考えを、「え?別に関係なくねぇ?」と恍惚とした、多少ふにゃけた笑顔をして打ち砕く。もはや、これ以上何を言っても無駄だと、全員が悟った。


全員違うものを用意していたらしく、好きなものを選んでいいということだった。

初めは一番年下のサカキとレディファーストで『彼女』から。

サカキは、ぼーっとしながらただ見ているだけで一向に決まらないので、最終的にはアスカが「サカキとあんたにはこれ!」と半ば強制的に2人同時に決められた。


次は、真ん中の双子。

アスカが「ほい、ヒナはこれ」とまたもや強制的に決めた。正直、残ったものの中で、一番ヒナタのがまともだった。が、アスカが選んだのには、さすがにヒナタは戸惑った。

「アスカ……君、それ…」

「んぁ?どーしたぁ?なんか変?」

そんなヒナタとは裏腹に、一番不思議そうな顔をしたアスカ。

ヒナタは言葉に出せず、ただ見てはいけないものを見たという感じの表情をした。


最後に残ったのはシオンと紗音。

最も、紗音は一応シオンより一つ年上なので、最後の最後になる。だが、シオンは「俺はいい。先に決めてくれ」といい、それに対して紗音も「いや、シオンが先に」と互いが互いに日本独特の譲り合いの精神を発揮してしまったため、結局は全部アスカが決めてしまった。


そして、着替えが終わる。


再びリビングに集まり、それぞれがそれぞれを見る。

まず、『彼女』は『魔女』の衣装に身を包んでいた。髪型も、別段髪を一つにまとめ上に結んでいるわけではない。だが、多少はアレンジをしたのだろう。横髪を三つ編みにし、その付け根付近は、薔薇のようになっていた。アスカは手先が器用で、こういったことが得意だし、むしろ自分から進んでやる。

主な犠牲者ともいえるのは、サカキだ。

サカキは昔から、女装させられ、こういったことをさせられていた。

サカキもサカキで、別に気にも止めず、好きなようにさせていた。自分のことでさえ、興味がなかったんだろう。


そしてそのサカキは、『オオカミ男』……体格的には男というより少年に近い。

髪色と同じケモミミをつけ、ところどころ破れているシャツやズボン。それを全て含めて、愛らしいという印象しか与えられない。


シオンは、『包帯男』。それ用の服もあったが、シオンは「これでいい」と普段着に包帯を緩く体に巻きつけていた。実際、これはこれでアリだと思ったんだろう。途中から、アスカも何も言わなくなった。


ヒナタは『死神』。もっとも、ただ黒いフード付きコートを着て、顔左を覆う仮面をつけただけなので、どちらかというとオペラ座の怪人ファントムのようにも見える。


紗音は『ゴースト』。顔を描かれた白いシーツを頭から被っただけの簡単なものだったが、本人は割と気に入っているようで若干嬉しそうではあった。


一番度肝を抜かれたのは、アスカだった。

完全に本物のカボチャで作ったであろう被り物に、なんだかよくわからないような服を着ていた。そこにいた全員、絶句してその不思議な不思議な阿呆をただ呆然と凝視していた。



ーーさあ、六条家のしっちゃかめっちゃかなHalloweenの始まり始まり。


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