SHINOBU
支伸:・・・
いつもスマホを構いながら道 行く彼は、斐藤支伸。冬は中ラン、夏は赤いTシャツとボンタンを着る、今年17歳になる高校1年生だ。
ガツンッ!
支伸:痛っ
花音:ん?
飢真:おい、支伸
教室の扉より背が高い支伸は、前方不注意で頭をぶつけることがある。
透希:前 見ないと
支伸:くっそー、背が高いと苦労するんだよ
身長186センチ。バスケットボールの時は大体ダンクシュートを決める
飢真:あー、隙間に消しゴムが
花音:ホウキで取ろうとしても届かん
透希:当然 腕も入らないし、届かないし
そんな時 支伸が役にたつ
支伸:・・・ん、取れた
飢真:さすが支伸だなー。枯れ木みたいな細
長い腕、足、体。すげーや
透希:誉め言葉になってなくない?
花音:支伸からしたら、フルボッコされた気分だろうな
身長は必要以上にありすぎ、体重は52キロという、少しもの足りないため、支伸は自分の体をコンプレックスに思っている。
支伸:・・・
スマホで何をやっているかというと、大体ゲームだそうだ。
透希:また麻雀か?
支伸:いや
今日はポーカーをやっている。
昼休み、今日もIVは中庭で弁当
飢真:あれ?支伸は?
花音:自販機
透希:パン買ってる
支伸:・・・
透希:今日はパンか
支伸:弁当 忘れてきたから
カレーパンをかじりながら、スマホ
放課後
飢真:電車は、あと30分後か
透希:また図書室 行くか
図書室へ移動中、3人の男子生徒に道をふさがれた。
透希:通れねぇんだけど
そこにいたのはC組の西上、崎谷、有木。この3人は、同性を愛する男たちだ
透希:うわーっ、おめえは、キモい奴
西上:やっぱり諦めるなんてイヤだもん、内木くーん、僕と一緒になってよ
透希:名前を呼ぶなバカタレがっ。飢真、デンカ、絶対あいつらをオレに近づけないで欲しいのだ
飢真:分かったよ。本当に気持ち悪いなこいつら
花音:叉路芽にはこんな奴らがいたのか
ここで、もう1人の男子生徒が来た。こいつはホモたちを仕切っている2年A組の中里という奴らしい
中里:ニシから聞いたよ、青い髪の男の子に思いを伝えたら暴力を振られたって
透希:いやいやいや。あのですね、僕は男で、彼も男。男同士で付き合って愛を育む気はこっちにはないですので
西上:もう、照れなくてもいいのよ?
透希:ぎっ、てめぇな、人が嫌がることしてんじゃねえぞ。男ならすぐ諦めろっ
西上:僕、男かどうか分からなくて
透希:ぬぬぬ、こいつー、調子に乗るなー
ゴンッ
西上:あぁっ、痛い
崎谷:西上くんっ
有木:ひどいわ、こいつ。ねー、中里先輩
中里:私の大事な後輩を泣かせるやつは許しておけねぇ
飢真:来るかっ?
花音:まとめてでも相手してやるぞ
支伸:・・・
中里:あら?斐藤じゃないの、この子らとつるんでんのか?まぁいい、4人とも負かしてやるわ。そしてニシと内木をカップルにしてやるよ
透希:い、いやだ。支伸、あの先輩どうにかなんないのか?
支伸:倒せばいいさ。たぶんやつは男らしくないキモ男だから、簡単に倒せるんじゃねーか?
中里:てめー、何て言った?私らのこと言ったのかー?斐藤を潰す
崎谷:やっちゃってくださーい
中里が支伸に力強く殴りかかる
ガッ
中里:お?
支伸:・・・
支伸は自分の長身を生かし、長い腕と大きな手のひらでパンチを受け止める。そして
支伸:・・・
中里:ぐあっ
長い脚で相手をキック。その蹴りは長く伸びるように崎谷、有木にも命中
崎谷:うわっ
有木:あぐっ
すぐに飢真たちが馬乗りで殴る
飢真:諦めろっ
花音:まだ歯向かうか?
透希:(もう大丈夫なのか?助かったのか?)
西上が透希の後ろ首をつかんだ
透希:うっ
西上:僕を倒すことができたら諦めるよ。でも君を思う気持ちがあれば、相手が誰であろうと負けないけどね
透希:離せコラッ
ブチッ
何かが切れた
透希:ん?
いつも欠かさず着けてたネックレスがちぎれ壊れた
透希:あぁ、これは、姉ちゃんにもらった大事なネックレス。姉ちゃんがくれた、オレの大事な姉ちゃんからもらったネックレス。
花音:透希くん?
飢真:奮い立ってるぞ
透希:ニシガミーッ、てめぇは絶対に許さねぇ!うらーぁっ
通路に置いてあるベンチを持ち上げ、西上めがけて投げる
ガゴーンッ
西上:おぉっ危なっ
姉からもらったネックレスを壊された怒りと悔しさの涙を流しながら、我を忘れて西上にベンチを叩き付ける
バゴッ、ドンッ、ガンッ
透希:うわっーっ、ふざけやがってーっ
パコンッ
中里:ぐっ。
支伸:ん?
中里が背中でベンチを受け止め、西上を救出。
中里:もう、いいわ。私たちの負けよ、今後あなたたちには付きまとわないから
透希:あったりめぇだ、次はオレの視界に入っただけでお前ら全員 地獄 行きだっ。消えろ
ホモたちは逃げていった
透希:はぁ、ずっ、ぐぅ
飢真:(参ったな、下手に話しかけられないぞ)
花音:(よっぽどショックなんだな)
泣く透希を慰めたいが、できない2人。ここで支伸が
支伸:・・・
透希:んっ
透希の頭に手を置き
支伸:んー、何て言ったらいいか分かんねーけど、泣くなよ
透希:あ、うん。分かった
あっさり泣き止み、落ち着いた
支伸:ちっ、電車 行っちまったよ。5時の電車まで待つか
花音:大丈夫?透希くん
透希:お、おう。
支伸の一言で、何事もなかったかのような気持ちになった。
透希:支伸、あのよ、何つーか、ありがとう?
戸惑いつつも、礼を言う。
透希:ごめん、オレ今日 兄貴の家へ帰るから
飢真:そうか、分かった
花音:じゃあ、心お大事に
支伸:またな
斐藤支伸、不思議な人だ。でもIVにはなくてはならない大切な仲間。