どきどきバレンタイン
2がーつ
じゅーよっかー
バレンタインデー
15年間 生きてきて、本命チョコをもらった数は?
霊、礼、冷、例、零、ゼロー
透希:人生こんなもんだよな?
毎年もらうのは、姉の義理チョコのみ
透希:彼女いないからね、仕方ないさ
そう思いながら街を歩いていたら、女の子にチョコレートを渡された。
透希:えっ、オレに?
丸山という名札を着けた彼女は、街 行く人々に板チョコを配っていた。
丸山:チョコレートどうぞー、ありがとうございます、バレンタインデーチョコいかがですかー?
透希:す、スゲー嬉しい
あんなカワイイ人からなら、板チョコでも何チョコでも嬉しい。幸せな気分で家へ帰った。
透希:むふふふー
こたつに入ろうとしたら、奥から大きな物音がした
紅麻:あぁーっ
透希:何だ?
慌てて兄の部屋へ
姉が帰宅
小雪:あー、こたつ。うひー、あったか
透希:CD山積みにするからバーンって崩れるんだよ
紅麻:わーかったよ、悪かったよ
透希:まったく、ではチョコをいただこうかな?
人生で初めて、胸がときめいたチョコレートをいただく。はずだった
透希:あれ?チョコどこだ?あ?無いぞ、どこに置いたっけ?
紅麻:また無意識のうちにポンとその辺に置いたんだろ?
透希:そうみたい、どこー?本当に、どこ?
紅麻:確かにこの部屋のどっかに置いたの?
透希:うん
紅麻:だったらあるはずだよ
透希:もう、早く食べたいのに。ちょっと姉ちゃんごめん、立って
小雪:こんなとこにないよ?
透希:ないかー?うー、チョコが逃げたー
紅麻:あぁーっ
透希:うっるせーな、何だ?
衝撃的な物を見た。姉の尻の下にチョコがあった。しかも、ドロドロに溶けて
小雪:わっ、ごめん
透希:何しとんじゃーおめえっ
小雪:気づかなかったのよ、本当ごめん
透希:これはな、オレが人生で初めて他人から、1人の女性からもらった大事なチョコなんだぞ、それをお前は尻で踏みにじりやがって、食えねーじゃねーかっ
小雪:ごめん、本当に本当にチョコがあるなんて感触がなくて
透希:ちっ。どんだけ尻の肉が厚いんだお前は?
小雪:新しいの買って来るから許して
透希:許せないね、あの人から直にもらったチョコじゃなければ意味がないんだよっ。もう小雪キライだ
紅麻:透希っ、言い過ぎだぞっ。お姉ちゃんもわざとやったわけじゃないだろ!
透希:ぐっ
オレは、悔し涙を流さぬよう目を細めながら部屋へ入った
小雪:ずっ、うぅ
姉は泣いていた
紅麻:とーきのやつ、本当に子供だな。
小雪:どうしたらいいかな?
紅麻:あいつの気がすむまでほっとけ。小雪もわざとやったんじゃないから悪くないよ、仕方ないことだから泣かなくていい。また透希が何か言ってきたりしたら、オレがいるから大丈夫。
小雪:うん。でも、やっぱりチョコもらってくるよ、何もしないよりはいいかもしれないし
紅麻:そうか、一緒に行こうか?
小雪:いい。私だけで行くから
紅麻:そうか、分かった
オレは、ショックで落ち込んでいる
透希:・・・あんなにカワイイ人からもらったのに
目を閉じて考えた
透希:(はぁ。人生 初の他人からのチョコ、街 行く人 全員に配ってたから、あれも義理チョコと言えるけど、でも嬉しかったんだよ。はぁ、お姉が、お姉がそのチョコを、オレをときめかせたチョコをダメにしやがって。けど、少し言い過ぎたかな?)
いろいろ考えてたら、姉が来た。
小雪:とーき、お客さん来てるよ
透希:んー?こんな、心がズタズタの中、誰が来たのだ?
丸山:チョコレートどうぞ
透希:あ、あれ?チョコくれた人?何で?
小雪:この子、私の同級生でさ。チョコを配るアルバイトしてたんだって。それで、さっきのこと話したら、わざわざ来てくれたのよ
丸山:はい、どうぞ
オレは、これまでに味わったことの無い嬉しさに涙を流した。こんなに優しく暖かい笑顔の女性から、直に手渡しでチョコをもらえるとは
透希:ありがとうございます。どうしよう、食べるのがもったいないです
丸山:あはは、ゆっくり食べてください
小雪:ありがとね、迷惑かけちゃってごめん
丸山:いいよ、気にしないで
丸山さんは帰って行った。チョコを食べ、幸せな気分になったとこで
透希:姉ちゃん
小雪:ん?
透希:さっきはごめん、言い過ぎた
小雪:いいよ、私の方もごめんね。あっ、私が作ったチョコ食べる?
透希:食べる
今年のバレンタインデーは、すばらしい日になった。
ありがとう姉ちゃん、今年のチョコもおいしいよ