涼しさを損ねる
虫の鳴き声が響く、涼しい夜。透希は布団の上にいる
透希:やっぱ夏は、上半身 裸が気持ちいい。女には絶対できないだろう
風通しを良くするため、部屋のふすまは開けっぱなし。だから通路を歩くたびに、みんな透希の部屋を見てくる。ようすを見ては何か言ってく
容伽:半裸おとこー
透希:何だよ?
紅麻:夏風邪ひくなよー
透希:オレはバカだから大丈夫
小雪:蚊にさされるぞ
透希:いーや、さされない
不思議なことに透希は蚊にさされないのだ。汗をかかないからか?
小雪:とーき、ちょっと聞いて
透希:あー?
小雪:とーきは女の子を好きになったことないの?
透希:んー、無いな。恋愛のことはお兄ちゃんに話せ
小雪:お兄ちゃんたちは高校生じゃないもん
透希:はいはい、オレでよければ話し聞くよ
小雪の恋話しを聞くことに
小雪:2年生の先輩でカッコイイ人がいてさ、家門先輩っていうんだけどさ
透希:カモン?
小雪:背が高いの、笑顔もステキで、すごいカッコイイから、心の中でキャーって騒いじゃって、興奮するしどうしたらいいか分かんないのー
透希:オレにもどうしたらいいか分かんないよ
小雪:もう一人、大端先輩って人もクールでさ
透希:うんうん
小雪:自販機の前で先輩 見かけた時にはイヤーってなって胸がドキドキしてヤバかったんだって。話しかけられたらどうしたらいいか、いろいろ考えちゃうし
それからも長い時間 小雪の話しを聞かされた
透希:やっと出てったか。疲れたー、だから女はイヤなんだ
容伽:とーき、この前 由子とさー
透希:今度はよーが兄かよっ
容伽にも恋愛について聞かされた
容伽:だから由子は、すごいカワイイとこあるんだよー、次のデートが楽しみだ
容伽の話し終了
透希:はぁ、やっと終わった、もう疲れた。これで恋愛話しするやつはいなくなったな
と思ったが
紅麻:とーき、オレってモテないかな?彼女できないかな?どう思う?
透希:ぐーっ
紅麻:弟の方が先に彼女 作ってさ、オレどうしたらいいか
透希は、紅麻に怒られる覚悟で言った
透希:うるせーな、出てけっ
紅麻:悪かった
あっさり出ていった
透希:涼しいのが熱くなっちまうよ