5話
次の日の朝。
ワイは鍛冶場の前に立っとった。
背中には大きな袋。
中にはハンマーと道具がぎっしり入っとる。
「ほんまに行くんか」
ジジイが腕を組んで言う。
ワイは肩をすくめた。
「まぁな」
昨日のエルフたちは町の外で待っとる。
魔王を倒す旅やて。
ワイは空を見上げた。
「まさかワイが冒険するとはなぁ」
ジジイが鼻で笑う。
「お前は戦士ちゃうやろ」
「せやな」
ワイは腹をポンと叩く。
「見ての通りや」
どう見ても前に出て戦う体型やない。
足も短いし、動きも速くない。
でも――
ワイはハンマーを握る。
「武器は作れる」
ジジイはしばらく黙っとった。
それから鍛冶場の奥に入る。
ゴソゴソ音がする。
しばらくして戻ってきた。
手には一本の斧。
ドワーフサイズの小さめの戦斧や。
「持ってけ」
ワイは受け取る。
ずっしり重い。
「ええんか?」
「鍛冶師でも身を守るもんはいる」
ジジイはそっぽを向く。
「死ぬなよ」
ワイは少し笑った。
「簡単には死なんやろ」
鍛冶場を振り返る。
炉の火はまだ燃えとる。
ワイは小さく頭を下げた。
「世話になったな」
それから町の外へ向かう。
門の前には昨日の三人。
剣士。
エルフ。
それと――
小柄な獣人。
耳と尻尾がついとる。
そいつはワイを見るなり笑った。
「うわ、ほんまに横に広い!」
ワイは眉をひそめる。
「誰が横に広いねん」
獣人はケラケラ笑う。
「ワイドドワーフや!」
剣士が苦笑する。
「こいつは斥候のミーナだ」
エルフが腕を組む。
「準備はいいか、鍛冶師」
ワイはハンマーを担ぐ。
「いつでもええで」
剣士が剣を腰に差す。
「じゃあ行くか」
門の外には広い道。
遠くには山。
そして、その向こうには――
魔王の城がある。
ミーナが尻尾を振る。
「冒険やー!」
ワイは歩き出す。
短い足でドスドスと。
「まぁ、ぼちぼち行こか」
こうしてワイの冒険が始まった。




