4話
鍛冶場を飛び出すと、町はすでに騒ぎになっとった。
「魔物や!!」
「門の外に出たぞ!!」
人が右往左往しとる。
ワイは短い足でドタドタ走る。
「ちょ、ちょい待てや……」
ドワーフ体型、走るのはあんまり得意やない。
それでも門の近くまで来ると、外から怒号が聞こえてきた。
「うおおおお!!」
さっきの剣士の声や。
ワイは門の隙間から外を覗いた。
そこにおったのは――
でかい魔物。
三メートルはありそうな黒い体。
角が生えとる。
兵士が何人も倒れとった。
「ありゃ強そうやな……」
ワイが呟いた瞬間。
ギィン!!
剣がぶつかる音が響いた。
さっきの剣士や。
ワイが打った剣を握って、魔物と斬り合っとる。
魔物が腕を振り下ろす。
ドンッ!!
地面が揺れる。
普通なら潰されとる。
せやけど剣士はその一撃を――
剣で受け止めた。
「……お?」
ワイは目を細める。
普通の剣なら折れとる。
せやけど。
ギシ……ギシ……
剣は曲がらん。
魔物が怒って突進する。
剣士は一歩踏み込んだ。
そして――
ザンッ!!
一閃。
魔物の腕が飛ぶ。
「おお」
思わず声が出た。
剣士も驚いた顔をしとる。
「……すげぇ切れ味だ」
魔物が咆哮する。
残った腕で殴りかかる。
剣士はそれを避けて――
もう一度振る。
ザシュッ!!
今度は首や。
巨大な魔物の体がドサッと倒れた。
しばらく沈黙。
そして――
「倒したぞ!!」
兵士たちが歓声を上げた。
剣士は剣を見つめる。
それから町の門を見る。
ワイと目が合った。
剣士は笑う。
「……あんたの剣、最高だ」
ワイは腕を組んだ。
「そらそうや」
そのとき後ろから声がした。
「お前が作ったんか」
振り向く。
そこには鎧を着た女がおった。
エルフや。
長い耳。
鋭い目。
どう見てもただの冒険者やない。
「ワイやけど」
エルフは魔物の死体と剣士を見る。
そしてワイに視線を戻す。
「その腕……借りたい」
ワイは眉を上げる。
「何の話や」
エルフは静かに言った。
「私たちは魔王を倒す旅をしている」
風が吹く。
町の外には、まだ魔物の死体。
エルフは続ける。
「その武器があれば……魔王軍と戦える」
ワイは自分の丸太みたいな腕を見る。
そしてハンマーを見る。
「……なるほどな」
少し考える。
それからニヤッと笑った。
「ええで」
エルフが少し驚く。
「本当か?」
ワイは肩を回す。
「ただし条件や」
ハンマーを持ち上げる。
「ワイの作った武器、ちゃんと使いこなせよ」
エルフは静かに笑った。
「任せろ、鍛冶師」
こうしてワイは――
魔王討伐の旅に同行することになった。




