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1話
――熱い。
顔に当たる熱気でワイは目を覚ました。
「……なんやここ」
視界に入ったのは石の壁。
そして目の前には真っ赤に燃える炉。
ゴォォォォ……と火が唸っとる。
どう見ても鍛冶場や。
ワイは体を起こそうとして――止まった。
「……なんやこの腕」
太い。
いや、太いどころの話やない。
丸太や。
腹も出とる。
足は短い。
嫌な予感がして、近くの金属板を覗き込む。
そこに映っていたのは――
完璧なドワーフ。
「……ワイ、ドワーフになっとるやん」
そのとき、後ろから声がした。
「おう、起きたかワイ」
振り向くと、白ヒゲのドワーフのジジイが立っとる。
「今日からお前は鍛冶師見習いや」
ワイは自分の丸太みたいな腕を見る。
ハンマーを握る。
不思議としっくりくる。
「……まぁええか」
ワイは前世で社畜やった。
人生ろくでもなかった。
せやけど――
この体。
この腕。
この鍛冶場。
ワイはニヤリと笑った。
「ワイの人生、ここからやな」
その頃、世界では――
魔王が人類を滅ぼしかけていた。




