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掌編小説集

庭園

掲載日:2026/02/02

 

 おかしくなったのは僕ではなく、時計のほうだとおもう。

 医師は正常だと言った。

 神様は何も言わない。

 5の次は6で指の数が合わない。


 マリア、あなたが僕を殺してくれないから、

 僕の中に残ったあなたが、勝手に世界を作りはじめている。


 終わりという芋虫が床を這う。

 ぶちゅりと踏むとあなたに似た声が滲んで、

 腕に絡みついたジョウロの口が笑う。


 人を殺してはいけない。

 異常な整合性。


 脳に腐る土壌。咲くのは数字の花。

 人生、何年。懲役、何年。

 あなたはすでに死んでいます。


 蜂のおしりの針は、あなたの処女膜を突き破り、

 僕の子供を孕みます。


 思考のかたちをした胞子。

 僕の頭蓋の内側に、柔らかい森。

 あなたの死骸に這う菌糸。


 おしりの針は、零時をさし、

 先端から、蝋が垂れています。


 ケーキはありません。

 ろうそくが一本、髪の焼けるにおいに変わります。

 あなたの誕生日を呪っていいですか。

 爪のかたちをした花に、水をやるのはお仕事で、

 歳の数だけ、僕はあなたの指を植えるのです。


 僕だけの庭園。

 あなたの地獄。


 逆さの骨格をした犬がやってきて、

 尾を千切って花瓶にさした。

 尻尾から芽が出た。僕だった。


 骨でできたゆりかごが揺れて、

 このまま、目を閉じていていいですか。


 砂を食べる歯。

 あなたの骨を吸うストロー。

 甘い。あまい。

 あまいのに、声が割れて、

 割れた声のなかで、

 ちいさなあなたが笑っている。


 悪魔を呼んだのは誰ですか。

 犬に餌をあげたのは誰ですか。


 さみしがり屋が庭の指を噛んでいます。

 そいつをはやく殺してください。


 耳の奥で、チク、チク。

 もう何回目かわからないけど、

 また咲いた。


 また咲いた。


 また咲いた。


 いま何時ですか。


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