庭園
おかしくなったのは僕ではなく、時計のほうだとおもう。
医師は正常だと言った。
神様は何も言わない。
5の次は6で指の数が合わない。
マリア、あなたが僕を殺してくれないから、
僕の中に残ったあなたが、勝手に世界を作りはじめている。
終わりという芋虫が床を這う。
ぶちゅりと踏むとあなたに似た声が滲んで、
腕に絡みついたジョウロの口が笑う。
人を殺してはいけない。
異常な整合性。
脳に腐る土壌。咲くのは数字の花。
人生、何年。懲役、何年。
あなたはすでに死んでいます。
蜂のおしりの針は、あなたの処女膜を突き破り、
僕の子供を孕みます。
思考のかたちをした胞子。
僕の頭蓋の内側に、柔らかい森。
あなたの死骸に這う菌糸。
おしりの針は、零時をさし、
先端から、蝋が垂れています。
ケーキはありません。
ろうそくが一本、髪の焼けるにおいに変わります。
あなたの誕生日を呪っていいですか。
爪のかたちをした花に、水をやるのはお仕事で、
歳の数だけ、僕はあなたの指を植えるのです。
僕だけの庭園。
あなたの地獄。
逆さの骨格をした犬がやってきて、
尾を千切って花瓶にさした。
尻尾から芽が出た。僕だった。
骨でできたゆりかごが揺れて、
このまま、目を閉じていていいですか。
砂を食べる歯。
あなたの骨を吸うストロー。
甘い。あまい。
あまいのに、声が割れて、
割れた声のなかで、
ちいさなあなたが笑っている。
悪魔を呼んだのは誰ですか。
犬に餌をあげたのは誰ですか。
さみしがり屋が庭の指を噛んでいます。
そいつをはやく殺してください。
耳の奥で、チク、チク。
もう何回目かわからないけど、
また咲いた。
また咲いた。
また咲いた。
いま何時ですか。




