表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エタリップ海賊団と海の神  作者: みーこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/61

第31話 願いを叶えてくれた——?

「なんだか、夢を見ていた気分だねぇ」


 アグリアが消えた後、一旦みんなで昼食を取ることになった。これからどうするのかを話し合うためでもある。今から力をつけておかないと、とココが張り切って作った、肉や野菜が盛りだくさんの料理をみんなで食べる。

 そんな中でピカネートが言った。


「聞いたこともない名前の神様が現れて、明日のことを予言した。これが夢ならまだわかるけど、現実だなんて……」


 未だに信じられないね、と消え入るような声で言うピカネート。確かに会話をしたはずなのに、今では雲をつかんでいたかのような気持ちだ。

 宇海うみも、ピカネートと同じく夢見心地な気分だった。アグリアが現れる前に見た透明なボール。近づいてくる時にわかったが、あれは水でできていた。きっとあれも〝アグリア〟だったんだ。水の神様だから、水にもなれるんだ。宇海はそう感じた。アグリアの姿が消えた時も、もしかしたら目に見えないだけで、空気中の水分となってどこかにいたんじゃないかと思っている。それなら今もこの近くで船のことを見ているかもしれない。そんな予感がした。


(神様は、本当にわたしたちのことを見守ってくれているんだ……)


 宇海は神様の存在を心の底から信じていたわけではない。でも、だからといって信じていないわけでもなかった。日本には八百万の神様がいる、という話を聞いたことがある。その時にたくさん神様がいて面白いな、と思った程度ではあるが、それからなんとなく神様を信じる——と言うよりも、一種のお話として面白がるようになった。まさか(おそらく別の世界とはいえ)本当に神様がいるとは思いもしなかったが、これでまたなんとなく嬉しい気持ちになった。わたしの想いは、神様に届いているんだ。


(もしかしたら、それで……)


 わたしの願いを、叶えてくれたの——?


 本当にそうであれば、どれだけ嬉しいことだろう。しかし宇海も、そこまで素直に信じられるほど〝子供〟ではないと自分で思っていた。だってここは別の国、別の世界だ。日本に住んでいる人の願いを、日本以外の神様が叶えてくれるなんて、ありえるの?

 誰がわたしの願いを叶えてくれたのか? それはわからない。でも、だからこそ、バーハローズという海の神様に会って、真実を確かめたい。会えば何かわかるかもしれない。そう宇海は気持ちを新たにした。


「さて、いつまでもこんな浮ついた気分でいちゃダメだね。これからのことを考えなくちゃ」


 ピカネートもピカネートで、気持ちを切り替えるように大きめの声で言った。


「明日、海軍が来る。ま、いつかは海の上で出会うだろうとは思っていたさ。そしてその〝いつか〟がいつなのか知れただけ、アタシたちは運が良い。入念に準備をすることができるからね」

「でも、準備って言っても具体的には何をするの?」


 ココが質問した。


「そうだねぇ。まずは、いつ鉛玉が飛んできてもいいように、防護魔法を船全体にかける。昨日の嵐と魔物の影響で、魔法の効果が切れている場所もあるだろうからね」

「それなら私に任せて。船のどこに魔法をかければいいのかは、私が一番よく知っているわ」


 とアーレフ。


「ああ、そうだね。これはアンタに任せるよ。次に、万が一アイツらと交戦することになった時のために、武器の手入れ。戦わずに済むのが一番だけど、念には念を入れておかなくちゃね」

「手入れって言うと、剣のサビを落とすとか、そういうのでいいのかい? だったら私がやるよ」


 と今度はゴルタヴィナ。


「ああ。それじゃあこれはヴィーナに任せたよ。それから必要なのは……」


 と、ここでピカネートは言葉を切り、じっと宇海を見つめた。


「うぅぅぅぅん……」

「な、なに、船長……?」


 なんだか険しい顔で見てくるものだから、宇海はおどおどしながらピカネートに話しかけた。


「いいかい、ウミ。一番重要なのは、いかに戦わずに終わらせるか、なんだ」

「う、うん……」

「アタシたちが出会った時にも言ったよね。アンタを交渉の道具に使うって。アイツらに、この船には神様が乗ってて、その神様はこの先に起きることを知っていると思わせるって」

「うん……」


 宇海がピカネートたちと出会った日。確かにそんな会話をしていた。そうやって、戦わないための交渉をしよう、と。


「でも……ああ、気分を悪くさせたらごめんよ、ウミ。この数日間アンタを見てきて、アタシは思ったんだ。とっさにウソはつけなさそうだ、ってね。もちろんそれはいいことだけどね。……だから」


 ピカネートは息を吸って、大真面目にとんでもないことを言った。


「今から、お芝居の練習をしよう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ