論理魔法論
その世界には魔法があり、人々はその魔法を使い生活をしていた。
「私たちが使っている魔法とは何なのか…。」
詠唱魔法、それは、世界のあらゆる場面で活躍する魔法の代名詞である。詠唱魔法以外にも、魔法研究家は古代の魔法道具を使うと聞いたことがある。それは詠唱魔法とは違う、強大な力を持つものだとか…。
人類は魔法探求を続けている。近年、詠唱魔法は日常生活に浸透し、誰もが使えるものとなった。
バイナリ魔術、低レベル魔術、高レベル魔法。それは現代の私たちにはしれ得ない「魔法」技術。
詠唱魔法とは?上っ面をなぞるだけの研究の成果…。あなたはこの、「論理魔法論」でその真実を知る。
コンピューターでいう1と0の組み合わせ、これが魔法の基礎となります。
例えば色の違う砂粒を2色、これを交互に一列に並べてみます。この砂粒の並び方が意味を持ち、回路として機能します。空間にあるマナや、動物が持つマナが砂粒に流れたとき、マナの流れた回路は、世界に魔術として認識され魔術が具現化します。これが魔法の始まりでした。
砂粒以外でも、1と0のような2種類さえ表現できれば魔術を具現化できます。言葉や文字、それこそコンピューターでも可能かもしれません…。これが「超低レベル魔術」です。その世界で、「バイナリ魔術」と呼ばれるものです。また、その世界で魔術の具現化は、人々によって魔法の「発動」と表現されるようになりました。
しかし、その世界で人々が扱うのは、このバイナリ魔術ではありませんでした。人類が見つけた魔法は、「詠唱魔法」でした。
人類が、このバイナリ魔術について知ることはありません。そのはずでした…。
古代、その世界には不思議な人がいたものです。そう、彼こそが、このバイナリ魔術を発見し、さらに魔法として体系化した者なのです。
彼はまず、自らにバイナリ魔術で力を与えました。その力とは、「低レベル魔術」という魔術でした。彼はバイナリ魔術で世界をプログラムし、新しい力を得たのです。このとき、初めて人によって、魔術という新しい法則が世界に創られました。
低レベル魔術とは、バイナリ魔術をある程度まとまりのある「命令セット」として抽象化したものです。つまり、バイナリ魔術を簡単化し、扱いやすくしたものなのです。
低レベル魔術、これは確かに彼にとって扱いやすいものでした。しかし、彼以外の人々にとって、それは扱いずらいものでした。
高レベル魔法
これはあの、伝説の勇者が扱ったとされる魔法です。魔術ではなく、魔法なのです…。
現在世界で扱えるものもいると言います。しかし、それが本当なのか、私は知りません。
さて、「高レベル魔法」とは、低レベル魔術を複数組み合わせてより複雑で特定の目的を持った魔法として構築されたものです。複数の高レベル魔術や、低レベル魔術が特定の詠唱句と結びつけられ、複雑な手順を記憶することなく発動できるように最適化された魔法です。
これが勇者の扱った魔法です。
しかし、現代を生きる人々は、この魔法を扱えませんでした。そう、詠唱魔法を扱うのです。
詠唱魔法とは、特定のフレーズを唱え魔法を想像することで発動できる魔法です。詠唱さえ記憶していれば、誰でもある程度発動できるものです。この魔法は、日常生活から戦闘まで、幅広い状況で活用されます。
以上、魔法の歴史でした。
(↓以下、真相と魔法技術の仕組み)
古代の彼は異世界の住人でした。彼はプログラムの知識を持ち、それを世界に再現したのです。低レベルから詠唱魔法まで、すべて彼が作りました。
そして、高レベル魔法を扱った勇者は、彼の弟子でした。そもそも、高レベル魔法というものは、低レベル魔術の知識がなければ扱えないものなのです。よってそれは、現代の人々のにとってロストテクノロジーとなっているのです。
一見、勇者はただ低レベル魔法を受け継ぎ、後世に伝えなかった無能のように思えますが、彼には役割がありました。それは、詠唱魔法の改善です。
日常生活から戦闘まで、あらゆるものに今対応できているのは彼のおかげなのです。彼がいなければ、詠唱魔法はここまで普及しませんでした。
マナについて…
マナは世界に情報を伝える架け橋です。マナはどこにでも存在し、宇宙全体で循環しています。マナが1と0の2つで構成された回路に流れると、その情報がマナによって世界に受け渡され、バイナリ魔術の発動が可能となるのです。
さて、話は少し変わりますが、バイナリ魔術と詠唱魔法、その他の魔術や魔法の、マナのコストの違いについて説明します。早速結論です。一番マナのコストが安いのはバイナリ魔術です。
なぜそうなるのか。それは、バイナリ魔術以外の術や魔法は、バイナリ魔術を基準に動いています。つまり、詠唱魔法も結局は、バイナリ魔術に変換され動いているものなのです。
歴史の中で、バイナリ魔術→低レベル魔術と、簡単化されていったと表現しましたが、これは簡単化されたことでマナのコストが安くなったことを表すわけではありません。この簡単化とは、人が扱いやすくなったという意味です。つまり、バイナリ魔術より無駄な部分、詠唱からバイナリ魔術への変換や、魔法を完全なものにするために別の魔法の関数を呼び出して補う…そんなイメージでマナのコストが無駄にかかっているのです。(あくまでイメージ)例えば、詠唱魔法ともなると無駄なマナのロスがとんでもないことになります。バイナリ魔術だと消費量が10程度のものが10倍になり、100になることもあるのです。(数値はテキトウです。)
バイナリ魔術、低レベル魔術、高レベル魔法は現代人にとってロストテクノロジーです。
もし、現代の人が高レベル魔法を扱えるようになるとすれば、もう一度バイナリ魔術から魔法の本質を捉える必要があるかもしれません。ロストテクノロジーの復活は、詠唱魔法の根付いた文化のある彼らには到底叶わないものでしょう。
(※詠唱魔法は扱いやすい反面、バイナリ魔術の万能性は持ち合わせていない。)
ちなみに…
1.古代の人は勇者にしか本当の魔法を教えていません。人々に伝わったのは完成された魔法、つまり、詠唱魔法でした。
2.勇者は勇者というだけあって魔王と戦っています。
3.古代の人、つまり異世界から来た彼は魔王と戦っていません。
ロストテクノロジーということは…
古代の彼は世界をプログラムし、詠唱魔法を完成させました。これは、1と0の回路がなくても、言葉にマナを与えることで彼が作ったプログラムがそれを翻訳し、バイナリ魔術として発動されるということです。現代の人々は、古代に生み出された魔法道具を使ってバイナリ魔術を発動することはあっても、自ら1と0の回路(魔法道具)を作ることはできません。つまり現代人が魔法の仕組みに直接関与し、魔法を自動化をすることはほとんど不可能なのです。
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【バイナリ魔術が伝わらなかった理由】
バイナリ魔術は危険すぎた。地球、いやこの世界を破壊するほどのものであった。実際、古代の彼は世界に新しい法則をいくつも追加した。逆に、彼はすでにある世界の法則をいつくか破壊した。
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魔法というものは、一見するとそれ自体が動作しているように見える。しかし、実際はバイナリ魔術というものが裏で動いている。何も理解せず、魔法という勇者により最適化された上っ面だけを探求する現代人は、実に滑稽なのである。そして、ロストテクノロジーによって、そもそも現代人は何も理解できない状況なのです。
【詠唱魔法の面白い使い方】(具体的に魔法はどんなものなのかについて。)
さて、ここでは著者が考える面白い詠唱魔法の使い方の紹介をします!
詠唱魔法は古代の彼がプログラムしたバイナリ魔術のプログラムです。現代人にはバイナリ魔術のような低レベルな魔法は使えないと散々言いましたが、物理的に低レベルという意味ではそれっぽいことができるかもしれません!
というわけで、やってみましょう!!!
さて、皆さんは振動というものを知っているはずです。物が振動すると、その振動は空気を伝って聴こえてきます。魔法でも巧妙に振動を操ることができます。というわけで魔法で高音質を再現してみましょう。まずそこで考えなければならないのは、高音質とは何かという問いです。私が思うに、高音質とは倍音を再現することにあります。人間の可聴域は20kHz程度。CDは44.1kHz程度でしょう。ナイキストのサンプリング定理によれば、人が音を聴くとき、周波数は可聴域の周波数の倍必要です。CDでも人間に聞こえるものは網羅できています。
ところで、楽器の倍音は人間の可聴域を超えるのは知っていますか。これを再現できるオーディオ製品こそが、高音質を再現できる製品であると私は思います。本物の音を再現するには高い周波数が必要なのです。それは、人の声、楽器の音、音の重なり…これを再現できることを意味します!
さて、魔法の話に戻ります。詠唱魔法には、メモリのような機能があります。これを使って、魔法を組み合わせて同時に発動することができます。例えば、雷と水といったように攻撃力を高めることができます。オリジナル魔法が作れるわけですね!このメモリに96kHzの音を記述しましょう。とは言えそんなことは人間にはできません。そこで、既存の魔法、マイク魔法を使います。…メモリに音は記録できましたか?ではさっそく魔法を使ってみましょう。きっと、本物に近い音が再現できたはずです!おめでとうございます!そして、ここまで読んでいただきありがとうございました!
この度は、拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます。
初めての小説執筆ということもあり、至らぬ点も多々あったかと思いますが、皆様に楽しんでいただけたなら幸いです。
もしよろしければ、作品へのご意見、ご感想など、お気軽にコメントいただけると嬉しいです。今後の作品作りの参考にさせていただきます。
これからも、より良い作品をお届けできるよう精進してまいりますので、今後とも応援よろしくお願いいたします。
「アニサンiii」