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第一夜(2)

天気は快晴。 夏の蒸し暑さが空気を染める。庭の雑草に群がる蟻に花につく蝶。反対に、悪夢を見ているような顔で寝ている子がいる。

隣の小学生達が、いってきまーーーす!!と、玄関に声を投げ捨てる。

ピピピ ピピピ

目覚まし時計も、それに応えるように鳴く。


「ん、うるさいなあ…」


目覚まし時計のアラームを切って起きる。ボサボサな頭に半目で時間を見る。寝相どうなってんだって髪になっている。

カーテンを開けて日光を浴びる。今日もいい天気だ。窓を開けてみると、友達と仲良く話してる小学生がいるではないか。虫取り網を持って昆虫採取にでもいくのだろう。それを羨ましく思う。


「朝ごはん出来たから降りてきて~?」

「んん、分かったあー!」


自室を出て階段を降りる。リビングにはトーストの焼けるいい匂いがする。その匂いに釣られるように椅子に座る。今日の朝ごはんは目玉焼きとトーストとサラダ。とりあえずバターを塗って食パンを食べる。やはり、いつもの母の味。日常が素晴らしいと教えてくれる平凡な味がする。


「今日、九州は夜雨なので傘を持って出かけましょう。」


お天気お姉さんが元気よく話す声がする。いつもテレビをつけて朝食を食べているが、やはりこのお姉さんはいつ見ても可愛い。あぁ、いつも通りだ。


「続いてのニュースです。今日午前0時頃から特定の人らに特殊能力が発見されました。緊急研究部隊はこの現象を調べています。政府は今先ほど不要不急の外出を控えるように呼び掛けました。」


何かが、いつもの物語のはずがおかしい。何か重要なことを忘れている気がする。このニュースを見て、聞いて、何ともなかった人生の歯車が、動く感覚がした。


「ふーん、…しぜか?あんまり外出ないでよ?夏休みの宿題もあるんだし。」

「じゃあ昼はどうしたらいい?昨日まで外で買ってきてたんだけど…」

「自分で作りなさい。高校生なんだしそれくらい出来るでしょう?あ、もう出かける時間…行ってくるね」

「い、いってらっしゃい!!」


玄関の扉が閉まる音がした。親はどちらも仕事、家には私だけ。勝ったな。

誰が家から出るなですか、私は遊ぶに決まってるでしょ〜!!料理なんて私が出来ないことなんて知ってるでしょう。この前焦がしたじゃん。

そういえば、最近ここら辺にある商店街にパン屋さんができたよね。昼頃は混むだろうし今から行こうかな。

別に、今のところ特殊能力が発見されて事件も起こってないし…大丈夫でしょう。

朝風呂に入る。ボサボサな髪は大人しくなった。お風呂から上がり、髪のセットをする。髪はいつものボブである。最近伸ばしていたが、失恋をして思い切って切ったのだ。まだ慣れないが、ぎこちない笑顔を鏡に見せた。いつもの服を取り出す。青色のTシャツに緑色の上着。水色のズボンを履く。桃色の靴下をつけ、見慣れた姿へと変えていく。


「よし、完璧。」


鏡にそう呟き、私はお金を持って家を後にした。

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