第一夜(1)
…教えようとは思った。だが、この話は現実味がないのだ。それをどう伝えるのかが肝だ。
過去を一から話すのも癪だろう、私の旅の話でもネタにしていこうか。
彼女だけでなく、今、ここで聞いている誰かよ、どうか、人生を歩む上での参考になってくれると嬉しい。
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「おーい、起きてんの?」
ーーどこからか、声がする。
目を開けて確認する。白色の世界に白色に輝く髪と目を持っている男性。体格はすらっとしており、髪飾りが特徴的だ。一目見て、最初に思い浮かんだ言葉が
…美しい
だがその意思とは裏腹に、不機嫌な声色で吐く。
「…誰?」
今思うと初対面のやつに失礼だった。起きてんの?とはタメ口で言われたが、流石に「誰ですか?」ぐらいはできた。
「僕?僕はヴァリット。えーと、君はこれから『陲ォ鬨楢?』になるんだ。君は交通事故に遭って可哀想だなーって思って助けたんだ。ほら、現に今ここにいるだろ?」
正直、今聞いても何言ってんのか分かんない。『何とか』になるってなに?交通事故って?前提もクソもないから、不思議でしかなかった。ってか、交通事故に遭わない為に助けるもんだろ。前後関係どうなってんだ、こいつ。
「なんでこれから?もう交通事故遭ってんのにそっから助けたって何?」
これは夢だと信じていた。現実味がない世界、現代人ではない人、謎の話。
「簡単に言うと転生するんだ。だってほら、転生なんて他の人は出来ないし、ここに来れることすら救済って捉えられるもんだし…。普通、天国か地獄か〜って決めるところに行くんだ。そこから助けたんだよ。」
あぁ…そういう、ってなる訳ないだろ?!
「まぁまぁ、僕がその転生後の世界を創ってあげたんだから感謝してほしいね」
「…まぁ、有り難くその枠をいただくよ。」
「じゃ、そこのドアから転生できるよ〜!ち な み に!今回僕が作った世界は…!」
「もうそのドアくぐって早くその君の創った世界行っていい?」
正直、胡散臭かった。交通事故に遭った覚えもない、そもそもこの空間自体夢だと思っているのだ。明晰夢のような感じだ。もう抜け出したいのだ。明日、学校だしね。
「そんなに転生したいのか?」
「いや、この空間から抜け出したいだけ。…まぁ、転生はすごい楽しそうだと思うよ?で、早く行っていい?」
「仕方ないなあ…説明はいらないね、そんなに早く行きたいなら行けば?」
でも、どうしても考えてしまうんだ。これが本当であれば、私は私自身では無くなる。怖い。転生をすることを目の前にして、夢にせよ、急に怖くなった。わくわくしている頭の中とは裏腹に、体が、特に足。がくがく震えている。
「…行かないの?君の言い分だと、ここは夢なんだろう?なら行って大丈夫だろう?」
「…分かった。行ってくる。」
「そうだ、転生したらここにいた記憶は消えるからね!あ、でも、思い出したりする事例あったからなあ…」
「記憶が消えるならいいよね、よし、転生後も頑張ろー(棒)」
どうせ、目が覚める。夢から出て来れる。また、いつもと同じ日々を過ごすのだ。
ただこれが、人生の選択であるとするならば…
自分を勇気づけ、ドアの目の前に行った。
「ありがとうね、ヴァリット。」
しぜかは後ろを振り向いて一礼。その後、ドアをくぐっていった。
「じゃ、頑張ってくれよ。お前はどんな結果をもたらすかな。」
占いツクールのやつパクってきました。
多分歳取って解釈結構変わった