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前章

私は、人生を変えたかった。

それを少し止めた、彼女の、短い冒険談。

いつからか変わってしまった日々。

今日、私は親と喧嘩をしたのだ。つまんない話だ、何をどう考えても私が悪い。ただ反抗してしまう。

そんな私が嫌いで、憎くて、辛くて、苦しくて、奇怪で、吐き気がする。私に憎悪しか湧かない。


そこから私は、逃避行に走った。この不条理な世界と私自身から離れるために。

私から逃げれないのに、逃げてみた。この体から逃げる。

私という存在すら怖い。親も、先生も、上司も、後輩も、友人も、人間という人間が怖い。

いつもそうだ。また怖いといい逃げる。何度も同じ過ちを繰り返す。何も学ばない馬鹿でしかない。


何も考えずに走る。

家から離れる。

ずっと

ずっと

ずぅーーーーーっと


走る。






公園で一休みしていた。公園の時計はもう23時を超えていた。蛾が群がりながら針を邪魔する。

だだっ広い草原を背にして前に月を見た。

遠い。ただただ遠い。あんなに走ったのに。

願わくば、あの月より遠く、向こうの世界を見たい。

空に願う。あぁ、救ってくれと。こんな子供みたいな私を許してくれ、私に世界というものを見せてくれと。

「救ってくれ…」

これが心からの願いだった。



願いでよかった。願いなら、叶わない。そんなの自分自身が知っている。



「こんな時間に来客なんだ。珍しい…」


後ろにいる。恐怖を感じた。怖い。誰もいないはずの公園で声が聞こえた。背筋が凍る。後ろを向きたくても向けない。いや、向くことが不可能。鎖で縛られているような感覚であった。


「急に話しかけられると怖いよね、ごめん!」


いつの間にか目の前にいた。あまりにも後ろの、背中の感覚に神経を使っていた。そこまで集中することなんて久しぶりなのだ、私自身がもっと嫌いになった。


「あぁ、そんな怖い?心外だなぁ、私は仲良くなりたいだけなのにさ」


いや、こんな真夜中に話しかけて仲良くなりたいは犯罪者の匂いしかしない。…いや、寧ろ殺しに来ているのであれば、ここで話して殺される方がまだマシなのだろうか。


「…あ…あの、何が…したい…のですか、?」


最近人見知りになって、声が出ないのだ。掠れている声で伝わっているといいのだけれど。


「いやぁ、君こそ何をしているの?こんな夜遅くに若い子が公園にいちゃやばいでしょう?」


声は幼稚な声をしてる。幼稚というか、元気というか。その明るさすら今は辛い。何と言うか、中学生っぽい。じゃあこの人の方が家に帰った方がいいのでは?私なんかと関わらずに家で寝るか勉強しないのか?


「少なくとも…大人…です…」

「あら!大人なの?!じゃあ私年下だ、失敬失敬…」


やっぱりこいつ中学生じゃないか?まぁ中学生なら反抗期で家出が確実だろう。私もか。


「あの…なんで…ここ…に?」

「それは一番貴方が分かっているよ。何しにここに来たんだい?」


ドキっとした。私がやろうとしていることがバレたのではないかと、いや、心でも読んだか。どちらかは分からないが、今から私がする行動を知っているような言い方だ。まさか、


「まさか…本気で、救う…のですか…?」

「ふふ、秘密。ただ話し相手がほしいだけだよ」


何かを含んでいるような言い方だ。全てを見通しているような感じだ。そんな彼女と一緒にいて、一緒に話して、少しだけ気が楽になった。

彼女の容姿は本当に中学生みたいな顔立ちだ。目は綺麗な、緑柱石のような透き通った目をしている。髪は日本人のような焦茶。服は緑と水色を中心として使ったラフな服を着ていた。まるで、自然界を具現化した存在であった。

そんな彼女の姿を見て、少し知りたくなったのだ。


「…あの…可能な…範囲で…過去を…教えてくれます…か?」


彼女は驚いていた。すごく、顕著に、顔に現れていた。そして、口を開いた。



「いいよ、少し長いからちょっとずつ教えるね」

世界はまだ、回っていた

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