新月の螺旋に忘れじの影
戦乱の続くエレンデール王国。伯爵令嬢であるセレイアは王命による結婚を余儀なくされる。彼女の夫となるのは、ロベルト・アシュフォード第二騎士団副団長。しかし結婚翌日に彼は戦場へ赴き、二人の新生活は始まりすらしなかった。セレイアはアシュフォード侯爵家の別邸で夫の帰りを待ち続けるが、ロベルトからの手紙は一通も届かないまま噂だけが広がる。ロベルトには恋人がいたこと、そして彼女を戦地へ連れて行ったこと。和平条約が結ばれ、帰還するロベルトから届いた初めての手紙にセレイアは心を揺さぶられる。自分の愛は報われず夫と過ごす未来も失われてしまった……。セレイアは自らの運命と向き合いながら、新たな生き方を見つけようと歩み出す。