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マーキュリー女神化法案可決

9月30日。ナミキリ公国でマーキュリー女神化法案が可決した。これで魔法戦士とマルスの訓練相手が共に女神化することが確定。マルスがマーキュリーにかしずき、魔法戦士がマルスにかしずく流れを作るための地ならしと位置づけられた。ただマーキュリーは確かに美人揃いだが、ごくふつうの女の子に過ぎない。彼女たちはマルスと同じく格闘経験は皆無。ましてや職業軍人でも戦闘のプロでもない。なので女神化をどう推し進めるのかは未知数だが、魔王さまはビデオ教育に自信を見せる。異世界の情報がリアルで入りにくいからこそマーキュリーの女神化がしやすいと判断した。魔法戦士との対戦が決まるまでマルスは訓練に入れない。なのでマルスの訓練相手も女神化する時間が充分に取れるはず。魔王さまは魔法戦士の訓練相手の女神化を優先すべきだと考えた。マルスの訓練相手が必ずしも女神である必要はないが、魔法戦士の訓練相手が女神である方が何かと好都合だからだ。なので魔王さまは魔法戦士の訓練相手の女神化をプランA。マルスの訓練相手の女神化をプランBと分けた。彼女たちの女神化はプランAを優先するが、あくまでも擬似的なものにとどめる。女神化といっても神格化するわけではない。所作の美しさや気品に磨きをかける。マーキュリーに科せられたのは[詩の朗読]。毎日パステルナークやリルケの詩を朗読する。中原中也でもいい。立原道造でもいい。声の美しさを磨くのだ。もちろんゲーテでもシラーでも構わないが、なぜかゲーテは異世界で不人気。どうやら晩年にもなって10代の女の子を口説いたことが不人気の理由らしい。意外なほど人気があるのが中原中也。小林秀雄は詩人ではないが長谷川泰子を寝取ったせいで異世界では忌み嫌われた。寺山修司は中也と泰子の関係をあたかも中也が手玉に取られたかのように書いているが、実際はそう単純ではない。中也が死んで真っ先に駆けつけたのが泰子なのだから。寺山修司はあまりにもいい加減なことを書き散らしたせいか異世界では小林秀雄以上に低評価。異世界では作品世界よりもどう生きたか?が問われた。司馬遼太郎の評価が伸びないのは司馬史観への評価が低いからだ。やはり史実を曲げて書いているのが異世界には受けないのだろう。エリスを見捨てた森鴎外の評価が低いのは仕方がないが、森茉莉の評価は高い。川端康成は不人気だが彼を可愛がった横光利一は偉いとなる。このあたり異世界はよく人を見ていた。中也と袂を分かった大岡昇平の評価は高い。確かに中也から「不幸になれ」と言われれば私ならば殴りつける。ナミキリ公国は地味ながら名古屋で唯一営業中。だがまだまだ情勢は不透明。アマゾネスはくたばらないしムッチョンだってまだ死亡が確認されていないのだ。ナミキリ公国の魔王さまは本能寺の変直後の明智光秀みたいな心境にあった。天下を取る絶好のチャンスだが、先が全く読めない。リタイヤ中の魔法戦士を取り込もうにも彼女たちのリストがない。このあたりが新参者特有の弱み。リタイヤ中の魔法戦士も困っていた。エージェントとして名古屋で活動できないし異世界のイベントにも参加できない。ニュース映画の撮影現場でブランクを埋めることもできない。かと言っていきなりナミキリ公国へ参戦するのもリスクがある。ドロシーのリテラシーだって急に上がりはしない。アマゾネスの跳梁跋扈が異世界に暗雲を漂わせていた。ムッチョンに恐れをなして逃げ出す国も相次いだ。デボン紀名古屋はまさに戦国時代の京みたいな様相を呈していた。今さらこんな異界の未開地に参入したがる国はない。年内にはほぼ全ての国が撤収を完了する。態度を保留中の国はカルーン公国だけ。あとはドロロン公国があるが、この国はそもそも名古屋を拠点にしていない。幽体離脱方式を採用し少数精鋭主義を貫く。ターゲットを満10歳児に絞りシスター制度を採用。満12歳まで恥じらいを育てていく。その後は別の人に訓練してもらい幼き魔法戦士はシスターと矛を交える。ドロロン公国は逆指名なので幼き魔法戦士に逆指名されたシスターは対戦を拒めない仕組み。幽体離脱方式は年に1人か2人しか魔法戦士に選ばれない狭き門。コンビを組む子はたいがい学校も自治会も塾も習いごとも違う。だが他に組む子がいないので折り合いをつけるしかない。満14歳で女の子は結婚できるし同性婚も認められている。男の子同士以外の同性婚が認められているため幼き魔法戦士はシスターと一緒になれるのだ。訓練相手が対戦相手を兼ねるのは異世界ではシスターだけ。恥じらいを育てるのは仕込みとみなされる。仕込みなら対戦のための訓練とはみなされない。兼任がダメなのは対戦のための訓練を施してくれる人であり仕込みの訓練はこれに該当しない。だからシスターは対戦相手になれる。となれば最長で4年近くコンビを続けることになるから仲違いが許されないのだ。

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