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 静まり返った家庭科室。そこへ僕が昇に依頼した参考人が揃う。

「それでは参考人。名前と職業を……」

 ピコリと昇。それに今回の重要参考人が唇を動かした。

「はい。小宮ナツメ。高校三年生――文芸部部長です」

 スラリと立つ姿。でも、どこか影を背負っている様だ。切り結んだ唇が、微かに湿っている。

「部長。お呼び立てしてすいません」

「別に、いいわよ……」

 部長が優しく笑う。でも、僕の視線は鋭いままだった。それを察してか目線が逸らされる。

 そこでピコリと昇が入った。

「では、もうひとりの参考人。名前と職業を……」

「佐々木忠信。高校三年――パントマイム同好会――唯一にして無二の会員です」

 特徴がないのが特徴。どこかで量産されていそうな形容詞だが、彼を表現するならまさにそれだった。

 そんな彼にも聞きたい事がある。どうも僕の認識と違う調書だったからだ。

 中央で並ぶ参考人のふたりに、僕は視線を泳がせる。

 さて、それじゃあ、役者は揃ったし壁に穴を穿とうか。

 僕はそこで、一度咳払いをし、パントマイムの佐々木さんへ視線を向ける。

「さて、佐々木さん。ひとつ教えてもらいたいのですが、井上さんたちが持っているそのルーズリーフに間違いはありませんか」

「ああ、間違いないよ。僕はいつもあそこで練習してるから、君や、小宮さん――文芸部員は顔を知ってるし、教卓の所でふんぞり返ってる相川も学校では有名だ。間違う事はない。不良に関しては……悪いけど名前まではわからない。もし、写真でも見せてくれれば、指差すくらいならできる」

 胸を張って答えて来た。記憶力には自信があるのだろう。それに一度息を吐く。問題点を整理するためだ。

「なんやぁ、まだ不良を犯人やって言いたいんか?」

 最中に飛んできた関西弁に、僕は首を横へ振る。そして声に出して整理した。

「いいや、そうじゃない。佐々木さんの調書に書いてあった通り、家庭科室の前を通った人物はそれで間違いないと思う。けど、大事なところを聞き忘れていたんだ」

「大事な所?」と、双子が左右対称に首を傾げる。

「そう、佐々木さんが見ていた位置と順番だよ」

 そう、このふたつなのだ。僕の認識だと、部長が席を立ったのは僕がトイレに行って戻ってから――しかし、あの調書の読み方からすれば、僕は部長より後に家庭科室の前を通った事になる。事実との矛盾だ。それに、見ていた位置――調書では“入口付近が見える”となっていたが、どうしてそんな回りくどい言い回しなのかという事。裏を返せば、穴があるからだろう。

「順番かぁ、それは確かに聞いてあらへんなぁ」

 そう言って、双子の視線が昇に向いた。鋭い視線に裁判長がたじろぐ。どうやら、捜査を行ったのは、あの昇だったようだ。昇だったなら……、まあ、仕方がない。

 そこで昇はピコピコ鳴らした。バツが悪くなったから仕切り直しと言った所だろう。それが、僕にとっては好都合だ。

「じゃあ、佐々木さん。今度は見ていた位置も含め順番を教えてくれますか? 誰が、どちらから、どちら方向へ、どんな順番で通ったか……」

「簡単だよ。それなら説明できる」

 そう言いながら佐々木さんは教壇に登り、チョークを持つ。そして、黒板に東棟の見取り図を簡単に引いた。左から図書室・視聴覚準備室・視聴覚室・家庭科室・家庭科準備室・女子トイレ・男子トイレ。その前に長い廊下があって、トイレまでまっすぐ延びている。そして突き当たり、右に曲がる。その先は本館だ。

「僕はあの時間帯、この場所で石像のパントマイムをしていたんだ」

 そう言って佐々木さんは廊下の曲がり角――図書室から見れば、死角になる地点に赤いチョークで丸印を打つ。どうりで、僕がトイレに行った時、佐々木さんに気が付かなかった訳だ。この図を見れば、見通しから言っても家庭科室のトイレ側入り口しか見る事が出来ない。これが、“入り口付近”の真相か。

「そして、順番だけど、最初に通ったのは、君だ」

 佐々木さんが振り返り、僕を指差す。

「図書室方向からトイレ方向へ」

「そうやったん?」

「異議はないよ」

「次に通ったのも君。トイレから、図書室方向へ」

 それも間違いないだろう。そして、僕の認識だと、次は部長のはずだ。

「次は、不良がふたり。本館方向から女子トイレへ」

「ちょっと待った。不良って女生徒だったのか? あ、ですか?」

 語尾を慌てて言い直す僕に、佐々木さんは“気にするな”とジェスチャーで示した後、一呼吸置いて教えてくれた。

「そうだよ、金髪キラキラ。校則違反もいいところだ。煙草片手にキャッキャ言いながら入っていったよ。どうせ、中で吸ってたんだろう」

 そう言って、煙草を吹かす真似をする。その姿に眉をひそめ、僕は頭の中に黒板に書かれている図面を展開させた。そして、立ち位置を上書きしていく。

「次に見たのは、小宮さんだ」

 僕の記憶と照らし合わせれば、部長は当然図書室からトイレ方向だ。

「だけど……」

 予想外の逆接が入る。

「そこで、僕は不覚にも急な尿意に襲われ、トイレに入ったんだ。その時横目で図書室から出てくる小宮さんを見た」

 認識に間違いはない。しかし、双子の眉が吊りあがった。

「なんやて!? あんた現場付近から目ぇ離しとるやないの!」

「仕方ないだろ。生理現象だ」

「パントマイマーやったらそれぐらい我慢しい」

「パントマイマーは人間だって。それは無理」

「あ、あかん。信憑性がガクッと下がるわ」

 揃って肩を落とすふたり。その姿に、佐々木さんは慌てて言葉を吐き出した。

「でも、小さい方だからすぐに戻ったよ。小宮さんが丁度トイレから廊下に出る場面に遭遇したし……もし、外部犯を疑うんだったら、あんたたちの後ろにいる赤堀司に聞けばいい」

「どういうこっちゃ? 司ちゃん。まさか、あれからずっと?」

「赤堀、どういう事だ?」

 僕の問い掛けを合図に、井上姉妹へ舞台を任せてから、すっかり影をひそめていた司に視線が集まる。

「それは……」

 と、司は目を逸らしたが、一度鼻息強く、ツカツカ教壇へ登る。そして、黄色いチョークを手に取ると、“本館へ”と書かれた位置にバツ印を打った。

「ここにいたからだ」

 その場所は、本館と東棟を繋ぐ位置。誰かが通れば、司の前を通る訳か。見通しから言っても女子トイレの入り口は視認できる。つまり、司の中では初めから内部の犯行だと目星が付いていた。

「だから、外部犯を疑おうともしなかった訳か……」

 と、僕は頷き、「佐々木さん」と、続きを促す。それに佐々木さんは笑って答えた。

「OK。最後はこいつだ――相川昇。本館方向から図書室方向へ」

 そう言って昇を指差す。

「図書室方向へ? おい昇。お前図書室に来てないよな?」

「行ったと言えば行ってるが、行っていないと言えば行ってない」

 僕の問いに昇は首を横に振る。それが、どうも胡散臭い。

「はぐらかすな! もしかして、お前が……」

 僕の言葉が新しい被疑者作り上げそうになった時、双子の声がそれを阻む。

「ああ、ちゃうちゃう。昇ちゃんは私たちの依頼で動いてくれとったんよ」

「そうだぜ俊彦。俺を疑うだなんてお門違いだ」

 昇がピコピコうるさい。

「はあ? どんな依頼で動いてたんだ? 返答によっては……」

 と、紡ぎ始めた言葉は佐々木さんに被された。

「ああ、言っておくけど相川昇は無実だよ。その後すぐに、こっちの三人と合流して、家庭科室に入っていったから」

「そう……なのか?」

「もちろん」

 昇が再度ピコリと鳴らした。

 佐々木さんの言葉が本当だとすると、客観的に見ても容疑者はもう僕と部長しかいない。だから、僕の中ではもうそれは確信としか言いようがない物だった。

 佐々木さんの隣で、瞼を閉じる部長。

 そして、この状況を聞いていた部長はもう、言い逃れできないだろう。外堀は埋まった。

「佐々木さん。ありがとうございました。真相に少し近づいた気がします」

「ああ、お役にたてて光栄だよ。それじゃあ、僕はこれで……パントマイムの練習をしないと」

 そう言って、佐々木さんは家庭科室を後にする。見送りをそこそこに、僕は顔を上げる。見つめる先は、重要参考人――小宮ナツメ部長。

「お待たせしました部長」

「ううん。見ていて面白かった。原因は何かわからないけど、犯人探しが目的みたい……ね」

「そうです」

 理解が早いのは、真相を知っているからだろう。でも、それはプリンがどうとかの関係じゃないかもしれない。

 それを聞きだす決定的な証拠が僕の手の中にある。そのプロットノートを持つ手が震えた。迷っている。戸惑っている。今自分がどんな表情をしているかわからないけれど、苦しいのは確かだ。

 だけど、真実へ辿り着くにはこの道を通らなくてはいけない。僕のノートがあった理由。それを解明するために。

「今日、この家庭科室で、ある事がありました。その事で、僕たちは部長に来てもらいました」

「ある事?」

「ええ、ある事です。それが起こったと考えられる時間帯――この教室へ入った人物は、ひとりしかいません」

 息が荒い。心臓が、爆発しそうだ。僕は目を閉じ、一度、呼吸を整えた。

 そして、見開く。

「それは――部長。あなたです」

 息を呑む音に囲まれ、部長がひとり目線を下げた。

 それが沈黙を生む。全員が待っているのだ。彼女の口から真実を話してくれる――その事を。

 集まる視線。注がれる視線。その先で小さく唇が動きを見せる。

「ねえ、浅沼君……」

 か細い声。

「はい」

「もし、私が、家庭科室には入っていないって言えば、どうなるかな」

 僕に向いた部長の双眸。少し潤んでいる。そこへ映り込んだ僕は二度首を横に振った。

「かわりません。……その事は、部長が一番よくわかっているでしょう」

 僕の言葉に無言の部長。その姿が、僕の心を締め付ける。苦しい。部長を責めている自分が嫌だ。もし、あの場所に立っているのが昇だったなら、僕は何も戸惑わないのだろう。

 そういった存在だったのだ。小宮ナツメさんは……。

 僕は奥歯を噛み締め、喉を震わせた。

「部長。このノート――見憶えがありますよね」

 部長へ差し出した僕のノート。それを受け取ることなく、部長の表情が変わった。驚きを見せ、視線を逸らす。反応としては悲しいかな、確信へと至る。

「これが、その時間帯に、家庭科室へ残されていました。いったい誰が置いていったのでしょう? と、聞くのはおかしいですよね。これは部長が、置いたんです。それは、佐々木さんの証言から、簡単な消去法で導き出せます」

 再度沈黙が流れた。井上姉妹もこの事に関しては口を挟まないようだ。昇や司でさえも、固唾をのんで視線を向けるだけ。僕が決着を見せないといけない。

 そんな僕に部長の瞳が向いた。悲しそうな目。今にも泣き出しそうだ。

「僕がここに呼ばれる少し前――その時は気にも止めませんでしたけれど、部長の口から零れ出た、あの言葉が確信に変えてくれました」

 噛んだ唇が痛い。でも、僕は視線を逸らさない。真っ直ぐ部長を見つめ、言葉を待つ。もう、責めたくはない。逃げないでほしい。もし僕の言葉こころが届くなら、部長の口から聞かせて欲しい。

 どうして、家庭科室にノートがあったのか。

「…………い」

 静寂に、声が流れた。それは、部長の弱い声。

「ごめんなさい。浅沼君――覗いちゃいけないと思ったんだけど、どうしても見てみたかったの」

 部長の言葉が流れ出した。それは、関を切ったように僕の瞳へ流れ込む。

「図書室であなたが席を立った時、チラリとそのノートが鞄から見えた。魔が差したって言葉、まさか自分で体現するなんて思っても見なかった……。あなたの大切なプロット――私は、どうしても見てみたかったの。あなたがどんなプロットを書いて、文章に起こしているのか。それが知りたかった……」

 語尾が震え、かすれていく。それに僕は、言葉を重ねた。

「だから、ノートを抜いたんですね。僕のノートを」

「うん」

「そして、僕と入れ違いに図書室を出た。それは、ゆっくりノートを確認するため」

 部長は黙って頷く。

「目撃証言から言って、最初はトイレで……」

 再び頷く。

「しかし、その場所には不良たちがいた。だから、諦めてすぐに外に出たんですね。そこで、佐々木さんとはち合わせ、身近な家庭科室に目を付け中に入った」

「その通り……。誰もいなかったから、そこで……ずっと見てたの。そこにいる双子のが扉を開けるまで……」

「私たちが家庭科室の扉を開けた時、走り去った人物は小宮さんやったんか……」

 姉妹が優しい声で言う。その時だろう、プロットノートを置き去りにしてしまったのは。

「みなさん、ごめんなさい。こんなに問題が大きくなるだなんて、私、思っても見なかった……」

「つまり、小宮さんは白っちゅうこっちゃね」

「え?」

 笑う双子に、部長が声を上げる。彼女の戸惑いが視線を泳がせた。変わる変わりに向けられる視線。それは最後に、僕の方へと向けられた。

「すいません部長。少し思わせぶりでしたね。実は今日、この場所で、プリンが消えました。それを盗んだ犯人じゃないってことですよ」

「プリン?」

 目を丸くする部長。その反応を見れば、間違いない事だとわかる。部長はただ、僕のノートをこの場所で見ていただけなんだ。

「そうです。だから、部長は無実って事です」

「で、でも……」

「ノートの事ですか? 次からは一言僕に言ってください。部長になら、過去のプロットノートぐらい見せられますから……」

 そう言って僕は、部長へノートを手渡した。

「ありがとう……」


 しかし、ここで謎が大きく膨らむ。関係者が全て白である事だ。先にも検討した通り、外部犯も考えられない。見様によっては、不可能犯罪じゃないか。しかし、あり得ない事なんて、あり得ない。必ず真実があるから、この結果が発生してるわけだ。

 何か見落としている事はないか? 矛盾はないか?

「なあ、俊彦ちゃん。ひとつ聞いてええか?」

 不意に聞こえたむず痒いちゃんづけに、思考が止まる。声の主は間違いなくあの井上姉妹。

「僕に、聞きたい事?」

「そうや。私らが作ったプリンて、どんなプリンや思う?」

 ふたりの瞳が僕の瞳をじっと見つめる。

「プリンと言えば、ぷっちんプリンだろう。だから、あんな感じのぷるぷるプリン」

 その回答に、双子は顔を見合わせ、ひとつ頷く。

「あかんわぁ。俊彦ちゃんも白やぁ」

 その言葉で理解した。僕は試されていたのだ。嘘をつくかどうかの確認に目の動きを使うと聞いた事があるけど、それを実践したらしい。その結果、僕は白だそうだ。嬉しいと言うか、悲しいと言うか、自分の推理で証明できなかった事が悔しい。

「実際に私らが作ったんは、カスタードプリン。俊彦ちゃんが言うんは、ケミカルプリンっちゅうやっちゃ」

「何が違うの?」

「何が違うの? って、見た目が全然ちゃうし、材料もちゃうんやで。まだまだ修行が足らんなぁ」

「そんなの知らないよ。僕にとってプリンは食べる物で、作る物じゃない」

 そう言った僕に、姉妹が笑う。

「せやけど、絶望的な状況からここまで持ち込む頭の回転は絶品や。どやろか、私らと共同戦線張らへん? あ、もちろん、小宮さんにもお願いしたいんやけど」

「え? 私も……」

「そうや」

「でも、私……」

 部長が双子から逃げる様に逸らした視線が、僕の方へ向く。もう、ノートの事は終わった事だ。僕は部長に何の拒絶もない。だから、笑う。

「僕からもお願いします」

「浅沼君……いいの、私で」

「何言ってるんですか、部長の発想には僕だって感心させられているんですから」

 そう言うと、部長の顔が少し明るくなった。赤みがさして、目が少し泳ぐ。どうやら、部長のわだかまりも、ここまでだな。

「うん。私……頑張る」

 ほらね。

「よっしゃ、決まりやな。じゃあさっそく……」

 双子の言葉にピコピコと昇が割り込んだ。そこへ司も入り込んでくる。

「おい、俺たちを退け者にするなよ」

「陶子も節子も、話を勝手に進めんな」

「うるさいなぁ、役立たずらは黙っとき」

「や、役立たず……」

 役立たず認定されたふたりの声が重なる。まあ、仕方がない。今回ふたりは何もしていないわけだし。残念だったね。

 さて、それじゃあ、推理を始めましょうか。プリンが消えた行方について……


 と、考えてみたものの、明確な答えが出る訳じゃない。「あ~でもない」「こ~でもない」と口に出しながら、限られた情報を何度も何度も反芻はんすうする。

 そんな中、昇がぼそりと言葉を零した。

「なあ、本当に作ったプリンを冷蔵庫に入れたのか?」

 まさかそんな、根本的な所でひっくり返るはずがないだろう。

「アホ言わんとき、私らのプリンは時間ぎりぎりに出来上がって、その後すぐに冷蔵庫へ入れたんや。それは私らも司ちゃんだって確認しとる。それにや、家庭科の先生だって“間違いなくプリンがあった”て、あんたが聞いてきたんやろが。このドアホ」

「ド、ドアホ……」

 昇の顔が固まった。その顔が面白くて、僕は声を上げて笑ってしまう。司も「ドアホ、ドアホ」と繰り返し同じ様に笑った。

「うるさい。うるさい。俺がドアホなら、司はダアホだ!」

 また始まった。

「ダ、ダアホ!?」

「ダジヅデド。ドの最上は“ダ”だろう。だから司は“ダ”アホなんだ」

 司の顔が真っ赤に染まる。昇に馬鹿にされたのがよっぽど堪えたんだろう。負けじと司も口を動かす。

「そんな作り方の説明なんてどうでもいい。撤回しろドアホ」

「ダアホの頭じゃ負荷がかかり過ぎて理解ができないか? 無理すんなよオーバーヒートするぞ」

「もう、“ド”やろが“ダ”やろがどっちもどっちや」

「あ」

 双子の語尾へ重なるように小さな声が、僕の耳に入った。部長の声だ。人が何か思いついた時に発す声。それは、驚きと戸惑いが半分半分。部長の方へ視線を向ければ、その声が示す表情をした部長がいた。

「部長……もしかして……」

「私、わかっちゃったかも」


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