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ようこそ『湯醒の宿』へ ”役立たずと言われたレアスキルで温泉宿を経営する”  作者: 堺久遠


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01話 温泉主追放される

「もう疲れた……。」


パーティーを追放されたレンは森の奥深くを一人さまようように歩いていた。


思い出されるのは数週間前……


() () () ()() () () () ()()


「おい、レン!」


依頼達成の打ち上げの最中、パーティーリーダーの戦士ガルドが唐突に俺に話しかけた。


「なんだ?」


「なんだじゃないだろ!お前は今日でこのパーティーから抜けてもらう!」


「へ?いきなり何の冗談だよ。」


「こんなこと冗談で言うかよ。お前、今日【スキル】に目覚めただろ?どんなスキルかもう一度


 俺に教えてくれよ。」


この世界には、前触れもなく【スキル】に目覚める者がいる。


この俺も、その目覚めた者の一人だ。


しかし……。


「……【源泉掌握】。」


レンがそう答えた瞬間、場の空気がわずかに歪んだ。


「はぁ……やっぱりな。」


ガルドは露骨にため息をつき、額を押さえた。


「なんだよ、その反応。」


「分かってねぇのか?【源泉掌握】なんてスキル、戦闘じゃ役に立たねぇ“外れ”だ。」


「外れ……?」


レンの眉がぴくりと動く。


「そうだ。お前のそのスキル、“魔力の流れを感じて、調整できる”だけだろ?回復でも攻撃でもない、中途半端な補助。今の俺たちにはいらねぇんだよ。」


「……それだけじゃない。使い方次第で――」


「言い訳はいい。」


ガルドはレンの言葉を遮る。


「俺たちはもっと上を目指してる。次のダンジョンは命がけになる。足手まといは連れていけねぇ。」


仲間だったはずの連中も、誰一人としてレンの方を見ようとしなかった。


「……そうかよ。」


短く吐き出したその一言に、わずかな震えが混じる。


「今まで世話になった。」


誰も返事をしなかった。


その日、レンはパーティーを追放された。


() () () ()() () () () ()()


「……外れ、か。」


森の中でぽつりと呟く。


湿った土の匂い、遠くで鳴く魔獣の声。夜が近い。


腹も減っているし、まともな装備もない。普通なら、とっくに心が折れていてもおかしくなかった。


だが。


「本当にそうか?」


レンは手をかざす。


意識を集中すると、空気の中に“流れ”が見えた。


淡く揺れる光の筋——魔力の流れ。


「……感じる。前よりずっと、はっきり。」


彼はゆっくりとその流れに触れる。


すると、周囲の草木がざわりと揺れた。


「おいおい……」


ほんの少し“整えただけ”で、自然の魔力が活性化する。


地面の下、水脈の流れすら感じ取れる。


「これ……もしかして。」


レンは足元に手を当てる。


意識を深く沈める。


すると——


ゴボッ、と音を立てて地面が割れ、小さな泉が湧き出した。


「……は?」


自分でやっておいて、レンが一番驚いていた。


透き通る水。しかも、ただの水じゃない。


触れた瞬間、体の疲労がじわりと抜けていく。


「回復効果……?」


ごくりと水を飲む。


その瞬間、身体の奥に溜まっていた疲労が一気に消えた。


「なんだこれ……ヤバいだろ。」


レンの心臓が高鳴る。


【源泉掌握】——それは単なる“流れを感じる”スキルじゃない。


自然のエネルギーそのものを“引き出し、形にする”力。


つまり。


「俺……資源そのものを操作出来るってことか?」


水だけじゃない。


魔力、鉱脈、もしかしたら——


「……やべぇな、これ。」


さっきまでの絶望が、じわじわと別の感情に変わっていく。


「外れスキル、ねぇ。」


レンは小さく笑った。


こうしてレンは森の奥で、新たな一歩を踏み出す。



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