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魅力的な誘い


 背中から落ちかけている、イクトと同じ子を背負い直した女性プレイヤーと目が合い、つい会釈すると向こうも会釈してきた。


「お待ちしていましたわ、くみみさん。トーマさん、こちらはくみみさんです」

「初めましてー。人族でテイマーのくみみですー。それと背中で寝ているこの子がー、私のインセクトヒューマンのころろ君ですー」


 自己紹介をして背中のころろを紹介すると、膝の上にいるイクトの表情が明るくなった。


「いくととおなじこだ!」

「そうですよー。イクト君と同じ、インセクトヒューマンですよー」

「それだけじゃない! かみさまのしと!」


 ああ、そういえばそうだった。

 普段の言動が言動だから、土地神の使徒だってことをすっかり忘れていた。

 向こうのころろも、寝ているだけの子供にしか見えない。

 おっと、こっちも自己紹介しないとな。


「座ったままですまない。膝の上にいるイクトの主のトーマだ。向かいにいるのが仲間のセイリュウで、その膝の上にいるのがバンシーのミコトだ」


 自己紹介に続いてセイリュウとミコトを紹介すると、二人は軽く会釈した。


「はいー、知っていますよー。トーマさんのお噂はかねがねー」


 どんな噂なんだろうかと思っていたら、くみみの背中にいるころろの目が開いた。


「んう?」

「あらー、起きたのー?」

「ふあぁぁ……うん」


 大きく欠伸をしてくみみに答えたころろがこっちを向き、イクトと目が合った。

 同じ子とはいうものの、髪はイクトに比べて跳ねていて、ぼんやりとした雰囲気で眠そうなタレ目をしている。


「こんにちは! いくとはいくと!」

「……ころろ」


 右手を上げたイクトが元気よく挨拶をすると、やや間を開けてゆったりと返事をした。

 元気が有り余っている感じのイクトに比べて、随分と緩い感じの子だな。


「……降ろして」

「あらー、面倒くさがりで自分で歩こうともしないころろがー、自分から降りたいなんて珍しいわねー」


 面倒くさがりなのはともかく、自分で歩こうともしないのはどうなんだろう。

 背中からころろが降ろされると、イクトは膝の上から降りてころろへ駆け寄る。


「よろしくねー!」

「……ん」


 嬉しそうに両手でころろの両手を握って上下にブンブン揺らし、触覚とレッサーパンダ耳もブンブン揺れる。

 そんなに揺らして大丈夫かと思ったけど、ころろに気にした様子は無く、ぼんやりした表情で返事をした。

 反応が薄い子だな。性格がイクトとは大違いだ。

 ああいや、触覚が嬉しそうに動いている。

 表情や言動に表れていないだけで、同種族と会えて嬉しいんだな。


「見てあれ、すごく眼福」

「癒されるし妄想が滾るわ」

「漲る。色々と漲ってくる」


 周囲がざわめいている。

 珍しい種族が二人もいるからかな。


「あらー。噂に聞いた通りー、イクト君はころろ君や他の子達と違ってー、本当に明るい子なんですねー」


 うん? その口ぶりだと、他の子達にも会ったことがあるのか?


「他の子達にも会ったことがあるの?」

「はいー。今回イクト君と会ってー、インセクトヒューマンとの遭遇はコンプリートですよー」


 同じことが気になったセイリュウからの質問に、ブイサインをしながら答えてくれた。

 やっぱりか。俺もいつか会ってみたいな。


「トーマさんー。もしよろしければー、明日の集まりに参加しませんかー?」

「集まり?」

「はいー。ころろ君やー、イクト君とー、同じ子達を連れたプレイヤーで集まる予定なんですー」


 なにそれ楽しそう。というか渡りに船だ。

 是非参加したい旨を伝え、時間と集合場所を教わる。

 時間はゲーム内での明日の午前十時頃で、場所はファーストタウンにあるくみみの牧場。

 なんでもテイマーは従魔ギルドでの貢献度を上げれば、牧場や厩舎を入手できるようになり、テイムしたモンスター達はそこに滞在させられるらしい。


「よかったなイクト、ころろ以外の同じ子達と会えるぞ」

「うん! はやくあいたい!」


 抑えきれない嬉しさから、ぴょんぴょん飛び跳ねるイクトが弟可愛い。

 その姿にセイリュウとミミミとエリザべリーチェが頬を緩め、くみみは元気がいいわねーとニコニコしている。

 でも待てよ。確か前にミミミと玄十郎から聞いた他の子達の性格って、面倒くさがりだっていうころろを除けば、生意気とツンデレとわがままとやさぐれだった気がする。

 どれも一癖ありそうだから、そこだけはちょっと不安だ。


「落ち着くんだよ、イクト」

「……イクト、賑やか」


 はしゃぐイクトを諌めるのはセイリュウの膝の上にいるミコトと、ボーッと突っ立っているころろ。

 プレイヤーよりもテイムモンスター達の方が落ち着いている。

 ひとまず椅子をもう二つ用意して、くみみところろにも座ってもらって話をすることにした。

 イクトは俺の膝の上に戻り、触覚とレッサーパンダ耳をピクピク動かしながら、ぐでーっと作業台にもたれるころろに笑顔で話しかけている。

 対するころろは、ぐでーっとしたまま力無く相槌を打ったり、短い返事をしたりする。

 その様子に苦笑しつつ、こっちはこっちでくみみと話す。


「へぇ、くみみは献上の試練で踊りを認められて、卵を入手したのか」

「はいー。私こう見えてー、神社の娘なので神楽舞ができるんですよー」


 神楽舞って、神に捧げる踊りだったよな。

 確かにそれなら、土地神に捧げるに相応しいか。


「その場にいたけど、見事な踊りだったわ」


 ということは、ミミミとくみみは公式イベントで同じサーバーだったのか。


「うふふー。面倒くさがりだけどー、思った以上に可愛い子だから嬉しかったわー。お陰で私の目標に近づけたしねー」


 目標ってなんだ?


「あの、目標ってなんですか?」


 小さく手を挙げたセイリュウが問いかけると、くみみは立ち上がって両手を掲げる。


「私の目標はですねー、可愛いモンスターをたーくさん集めてー、ふれあい広場みたいな場所を作ることなんですー」


 な、なんだってー!?

 ということはくみみの目標が叶えば、いつも寝る前にその日の疲れを癒すため動画サイトで見ている、激カワ動物的な光景が見れるかもしれないのか?

 モフモフであろうがなかろうが、大きかろうが小さかろうが、触れ合おうが触れ合わなかろうが、ゲーム内かつモンスターであろうが関係無い。

 とにかく激カワ動物的な光景を直に見られるのなら、毎日でも通うぞ!


「くみみさん、相変わらずですわね」

「いいじゃないですかー。可愛いモンスター達と触れ合ってー、一緒に遊んでー、可愛い仕草を見れば癒されますよー」


 分かる、凄くよく分かる。

 激カワ動画を見て凄く癒されている人がここにいるぞ。


「それに私ー、現実では動物系のアレルギーがあるのでー、触れ合いたくとも触れ合えないんですよー。だからそういう場所に憧れているんですー」


 食べ物もそうだけど、ゲーム内ならアレルギーとか関係無いからな。

 アレルギーがあろうが何でも食べられるし、何とでも触れ合える。


「明日はー、テイムモンスターとの触れ合いの時間もあるのでー、トーマさん達も楽しんでくださいねー」

「ああ、楽しみにさせてもらうよ」

「いくともたのしみ!」


 激カワ動画みたいな光景が見られることを期待する。


「今はどんなモンスターがいるんですか?」

「気になるんだよ」


 気になるのは、身を乗り出すセイリュウとミコトも同じか。

 尋ねられたくみみの返答によると、ころろ以外はカワウソやハリネズミや猫やリスやモグラや羊と、色々いるらしい。

 ちなみに今欲しいのは子犬みたいなモンスターとのこと。


「そのこたちとも、あしたあえる?」

「はいー、会えますよー」


 よっぽど会いたいのか、触覚とレッサーパンダ耳を激しくパタパタ動かして、目をキラキラさせている。

 これは明日が楽しみだな。


「それでトーマさんー、これまでにイクト君がどう過ごしてきたか教えてくれませんかー? ころろ君のこともー、教えてあげますからー」

「構わないぞ」


 要望に応えてイクトところろの事を話し合っていると、いつの間にか夢中になっていて色々なことに気づかなかった。

 気づけば随分と時間が経っていて外が暗くなっているし、膝の上に座っているのがイクトからミコトに交代しているし、エリザべリーチェとミミミはいなくなっていたし、イクトとミコトは船を漕いでいてころろは思いっきり寝てるし、ジト目のセイリュウからは弟か息子を自慢し合っているみたいだと言われてしまった。


「そんな風に喋っていたか?」

「うん」


 コクリコクリと船を漕ぐイクトを膝に乗せたセイリュウからの指摘に思い返し、互いに喋っていた内容を自覚して、くみみと一緒に恥ずかしくなってセイリュウへ謝罪した。


「で、ではー、今日はこれで失礼しますねー」

「ああ、今日はありがとう」


 互いに頭を下げあって連絡用にフレンド登録を交わすと、くみみは寝ているころろをおぶって去って行った。


「さてと、俺達も晩飯を食べたら宿を取るか」

「そうだね」

「ごはん!」

「ごはん?」


 晩飯の一言で、膝の上で船を漕いでいたイクトとミコトが起きた。

 そしてイクトは期待の眼差しを、ミコトは無表情でも興味津々な眼差しを向けてくる。

 はいはい、すぐに作りますよ。

 ミコトに膝の上から降りてもらい、アイテムボックスの中の食材を確認して使う食材を決める。

 よし、今回はミヤギの所で買ってそのままだった、イノシシかシカの肉を使おう。

 両方を作業台の上に出して食材目利きで見ると、シカがバラ肉でイノシシがロースだ。

 シカもイノシシも使ったことが無いから検索して注意点を調べたら、イノシシのロース肉は明日の朝飯に回して、シカのバラ肉で夕食作りに取り掛かる。

 バラ肉は薄切りに切って、洗ったニンジンとピーマンは細切りに、皮を剥いたタマネギはくし切りに、そして前にポッコロとゆーららんから購入したニンニクの芽を一口大の長さに切り分ける。

 あとは緑豆もやしをザルで洗ってよく水を切ったら、フライパンを温めて油を少量敷く。

 油が温まったら一人分の肉を焼く。

 シカ肉はちゃんと火を通した方がいいから、両面をしっかり焼いたら一枚を味見。

 おっ、思っていたよりもクセが少ないし、脂もしつこくなくて食べやすい。

 これならもう少し肉が多くても良かったなと思いつつ、焼いた肉を一旦皿へ移し、冷めないようにアイテムボックスへ入れる。

 次はフライパンに残ったシカのバラ肉から出た脂で野菜を炒める。

 火が通りにくい順に野菜を加え、火が通ってきたら一度焼いた肉を加え、軽く炒めて材料同士を馴染ませる。

 最後に塩と胡椒、風味付けに粉ビリンを一つまみだけ加えたら完成。




 シカ肉野菜炒め 調理者:プレイヤー・トーマ

 レア度:2 品質:7 完成度:91

 効果:満腹度回復14%

    HP最大量+20【2時間】 体力+2【2時間】

 シカのバラ肉を使った肉野菜炒め

 肉だけでなく、脂を纏ったシャキシャキ食感の野菜も美味

 僅かに加えた粉ビリンの風味と刺激が食欲をそそる




 豚ほどではないとはいえ、脂が多いバラ肉だからそれを味わうためシンプルに仕上げた。

 味は……うん、いいね。

 肉自体も美味いけど、あっさりめの脂を纏った野菜も美味いし、微かなクセも粉ビリンの風味で気にならない。

 量を入れてないから痺れも無いし、これならイクトとミコトも食べられるだろう。

 その予想を確信へ変えるため、餌を求めるひな鳥のように口を開けて味見待機しているイクトとミコトに、少しだけ食べさせてやった。


「おいしー!」

「これは本当に美味しいんだよ。噛み応えのあるお肉、食感の良い野菜、そして美味しくてしつこくないお肉の脂が組み合わさって最高なんだよ」


 おぉっと、ミコトは意外としっかりしたコメントをするんだな。

 満面の笑みで触覚とレッサーパンダ耳を動かすイクトが弟可愛く、微かに表情を変化させて喜ぶミコトが妹可愛い。

 気に入ってもらえたようだし、今試食したのは俺の分にして残り三人分も作ろう。


「さすが料理長、相変わらず良い手際だな」

「おい、交代に来たぞ。……どうした?」

「料理長が料理するの見てたら、腹減ったんだよ。ちょっとログアウトしてくる」

「料理している時の見守りが、一番キツイんだよな」


 作業場の一部が騒がしいのは無視して調理を進め、人数分のシカ肉野菜炒めが完成。

 メインはこれでいいとして、主食はパスタマシンを試して麺に余裕があるから麺を使う。

 一緒に使うのはシカのバラ肉の切れ端と、野菜炒めに使った野菜の残り。

 まずは油を敷いたフライパンで麺を焼く。炒めるんじゃなく、焼く。

 少ししたら麺を広げて焼き続け、途中でひっくり返して両面を焼いてパリパリにする。

 焼くんじゃなくて揚げてもいいけど、そこは作る人の好みでいい。

 パリパリに焼けた麺は皿に乗せてアイテムボックスへ入れ、同じ要領で人数分を仕込む。

 仕込みが終わってフライパンを片付けたら、さっき作ったレギオンマッドザリガニの出汁を小さい鍋へ少し移し、コンロで弱火に掛ける。

 続いてネンの実の皮を剥き、すり鉢の上でおろし金ですりおろしておく。

 これらの準備ができたら肉と野菜を一口大に切って炒め、途中で出汁を加えて軽く煮込み、塩で味を調整したらすりろしたネンの実を加えてとろみをつける。

 さじで掬って味見をして、問題無いのを確認したらアイテムボックスからパリパリに焼いた麺を全部出し、肉と野菜入りの餡をかけてかた焼きそばの完成。





 かた焼きそば 調理者:プレイヤー・トーマ

 レア度:2 品質:8 完成度:93

 効果:満腹度回復23%

    HP自然回復量+2%【2時間】 腕力+2【2時間】

 パリパリになるまで焼いた麺に肉と野菜入りの餡をかけた熱々の一皿

 パリパリに焼いた麺は、揚げたもののとは一風違う食感と味わい

 そこへ掛けられた熱々な餡のとろみとの対比もお楽しみください




 自分の分で味見を……うん、美味い。

 熱々な餡はレギオンマッドザリガニの出汁と肉と野菜が上手く調和してるし、それをかけた麺のパリパリ食感もいい。

 さて、口の端から涎を垂らしてこっちをガン見しているイクトとミコト、それと涎は垂らしていないけどガン見はしているセイリュウにも食わせてやろう。

 冷めないようにアイテムボックスへ入れていた野菜炒めも出し、作業台の上に並べる。

 食器は俺とセイリュウが箸、イクトとミコトはフォークにしておく。


「はいよ、できたぞ。熱いから、気をつけて食べろよ」

「はーい!」

「美味しそうなんだよ」

「いただきます」


 食べ始める三人を見ながら、無限水瓶の水をコップに注いでいると、イクトがフォークで持ち上げた麺に思いっきりかぶりついた。


「あっちっ!」


 だから言ったのにと思いつつ水を置くと、フォークを置いて一気に飲み干した。


「ましゅたー、あちゅい!」

「熱いって言っただろう」


 舌を出して熱いと訴えるイクトの手からコップを取り、おかわりを注いで渡すと、再びゴクゴクと飲んでいく。


「その通りなんだよ。マスターはちゃんと注意してるんだよ。ふー、ふー」


 理解してくれていたミコトは、息を吹きかけながらゆっくり食べている。


「イクト君、大丈夫?」

「あちゅかった」


 二杯目の水も飲みほしたイクトが、舌をベーッと出してる。

 あーあー、舌が真っ赤じゃないか。

 念のためにステータス画面からイクトの状態を確認。

 うん、特に変な状態にはなっていないようだな。


「あぁっ、イクト君、イクト君が」

「落ち着け、大事には至ってないぞ」

「ベーしてるイクト君、何気に可愛い」


 周囲がなんかざわついている間に、改めてイクトに注意を促しておく。

 再度の注意に頷いたイクトはしっかり反省して学習したようで、息を吹きかけて冷ましながら食べだした。

 それを確認したら後片付けをしながら味を尋ねる。


「で、どうだ? 味の方は」

「美味しいよ。パリッとした麺にとろりとした餡がよく合うし、餡自体も凄く美味しくて香りもいいね。しかもあの出汁、肉とも野菜とも合ってるよ」


 それはなによりだ。

 調理中と味見した時に俺も感じたけど、泥臭さなんて欠片も無い、炒りレギオンマッドザリガニの出汁の香ばしさは餡にしても消えず、強い旨味は肉に負けてない。

 だからといって肉の味わいと喧嘩しているわけでもなく、肩を組んで上手くやっている感じだった。

 野菜はその旨味をまとって、より一層美味く感じたしな。

 

「私としては、パリッとした麺ととろりとした餡の組み合わせよりも、餡を吸った麺が少し緩くなったぐらいが好みなんだよ。食べやすいし麺が餡を吸ったことで、餡の旨味をよりよく感じられるんだよ」


 ほうほう、ミコトは固麺より軟麺派か。

 そしてやっぱり感想のコメントがしっかりしている。

 よし、後片付け完了。俺も食おう。


「あついけどおいしーっ!」


 イクトの感想には具体性の欠片も無い。

 でも気遣いの欠片も無い、心の底からの美味しい発言もまた良し。

 思わず頭を撫でてやったら、嬉しそうに触覚とレッサーパンダ耳をピコピコ動かした。

 だけど口の周りは餡でベトベトだ。

 食べ終わったらちゃんと拭けよ。


「ねえトーマ君。ログアウトの予定は明日の集まりが終わってから?」

「そのつもりだ」


 肉野菜炒めを食べながらセイリュウの質問に答える。

 当初は作りたいものを作ったらログアウトするつもりだったけど、せっかくの魅力的な誘いを断るつもりは無い。

 建前はイクトを同族と合わせたい。

 本音はくみみのテイムモンスター達による、激カワ動物的な光景が見られないかなという、ちょっとした下心。


「だったらそれを少し伸ばしてくれない? 下見したいものがあるの」

「別に構わないけど、何を下見するんだ?」

「トーマ君に買ってあげる、新しい装備品。ある程度下見して、明日学校で早紀ちゃん達と相談するの」


 ああ、それがあったな。

 着せ替え人形的なことをしたり、わざと変なのを装備させようとしたりしたら、当面の間は飯が塩味の茹でもやしだけになるって釘を刺した件か。

 下見するのはそれ対策かな。


「分かった。ただし例の件、覚えてるか?」

「勿論。塩味の茹でもやしだけは嫌」


 覚えているのならよろしい。

 さっ、飯を食ったら明日に備えて宿を探すぞ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 完成度90度越えが続くのは熱い…!
[一言] かた焼きそばはパリパリが好き。 でも猫舌だから餡をちょっと冷まさないといけないのがね……ヤケドでもだえ苦しむがいい……ッ!!
感想一覧
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