健全な夜遊びしてみた
料理ギルドを出て、町中を歩きながらMPKについて教わった。
なるほど。MPKっていうのは、他のプレイヤーへ引き連れたモンスターを擦りつけてそのプレイヤーを殺す違反行為のことか。
モンスター、プレイヤー、キルの頭文字を取ってMPKなんだな。
「そのMPKは、町の外に出なければされないんだろ?」
「そうだよ。だから絶対に一人で町の外に出ないでね」
「どうしても出る時は、必ず私達へ伝えること」
「報連相は忘れずにね!」
はいはい、分かったよ。何度同じことを聞かせるんだ。
「私達がしっかり護衛するから、安心して姫プレイしてね」
また分からない単語が出たよ。今度は姫プレイ。
まさかとは思うけど、変な意味じゃないよな? というか男なのに姫プレイってどういうことだ。
えっ? なに? まるで姫のように、自分は何もせず仲間に守ってもらいながら、ゲームを進めるプレイスタイルのこと?
なんか情けないけど、戦う気が無い俺が町を出るなら自然とそうなるだろうな。
「その時はよろしく頼む」
「お任せください。トーマ姫の御身は、この騎士ダルクが守ってみせましょう」
それっぽい動作をしてカッコつけて礼をするダルクだけど、調子に乗るな。
「うふふ。張り切って守ってあげる」
「トーマ君には、指一本触れさせない!」
「やられる前にやれば、問題は解決よ」
閉じた扇を口元に当てて微笑むカグラと、なんかやたら気合が入っているセイリュウはともかく、目をギラつかせたメェナがシャドーをしながら物騒なことを言ってる。やっぱりストレス溜まってるんじゃないか?
「さて、一通り用事も済んだし、そろそろ宿に行って寝る?」
そういえばゲーム内でプレイヤーが生活習慣を乱さないよう、ゲーム内の時間で22時から5時までの間に睡眠を取る必要があるんだっけ。睡眠しないと状態が徹夜になって、能力が半減してHPとMPが自然回復しなくなるとか。
しかも22時から5時までなら6時間で済む睡眠が、徹夜状態になったら24時間必要になってしまう。
今のゲーム内での時間は21時半。宿へ行って部屋を取れば、ちょうど22時ってところかな。
「えー、まだ時間あるからいいじゃん」
またダルクが子供っぽいこと言いだしたよ。
まあ今の時代、日付が変わるまで起きていても不思議じゃないもんな。
「でも、起きてて何するの?」
「それなんだけど、皆で遊楽通りに行かない?」
「遊楽通り?」
そこは歓楽街のような酒や女性や男性を楽しむ目的の店は一切無く、射的とかトランプといった遊びを楽しむ店が集まっている通りのことらしい。
遊ぶものによっては金を賭けられるけど、20歳未満のプレイヤーは賭け事ができないように設定されているし、20歳以上でも賭けをせずに遊べるから、賭け事が嫌いな人でも安心安全の健全な遊びができるそうだ。
「そういえば、β版では結構楽しめたわね」
「仲間内で賑やかに遊ぶのもよし、景品目当てで遊ぶもよしだから、お金を賭けなくても十分に楽しめたわ」
へえ、景品を貰うことができるのか。
だけどこの景品自体は町周辺で手に入る物か、町にある店で手に入る物ばかりで、珍しい物が手に入るということは無いようだ。
でも普通に買うには所持金が足りないプレイヤーや、安い資金でアイテムの補充をしたいと考えるプレイヤーが、案外挑戦しているとか。
尤も、ほとんどがそう上手くはいかならしい。
一種のギャンブルだし、そんなものだろう。
「そこではどういう遊びができるんだ?」
「えっとね。β版であったのは射的でしょ、輪投げでしょ、トランプだとポーカーとかブラックジャックとか色々あって、ボールを投げたり蹴ったりして的を射抜くやつもあったよ」
そういったのなら、老若男女問わずに楽しめそうだ。
ひょっとしたら、単純にそこで遊ぶのを目的にするプレイヤーもいるかもしれない。
「どうかな? ちょっと行ってみない?」
とか言いながら、行く気満々のダルクはソワソワして体を揺らしてる。
これは行かないと言えば、煩く駄々をこねるパターンだ。
それを分かっているからカグラとセイリュウは苦笑いを浮かべてるし、メェナは溜め息を吐いてる。
「いいんじゃないかしら。まだ時間があるのは確かだし」
「あまり遅くならなければ、いいんじゃないかな?」
「はあ……分かったわ。ただし、遊ぶのは日付が変わるまでよ。明日も予定があるんだから」
「はーい!」
なんというか、観光地へ来た一家みたいなやり取りだな。
無論、ダルクの立ち位置は問答無用で自由奔放な末っ子だ。
「というわけで、行くよトーマ」
「はいはい」
俺の立ち位置は……妹に振り回される兄か? 今までの経験からしてそれしか浮かばない。
そんなことを考えつつ、ダルクに腕をグイグイ引っ張られながら遊楽通りへ向かう。
やがて辿り着いたそこは、道の両端に立つ二本の太い柱を繋ぐように掛けられた、弧を描く形状の看板が目立つ通り。
看板にはプレイストリートと書かれていて、通りにズラッと並ぶ多くの建物から漏れた光が、街灯以上に夜道を照らしている。
「名前、遊楽通りじゃないぞ」
「そっちは誰かが呼び出した別名なのよ」
「昼間もやってるけど、夜だとなんとなく歓楽街っぽい雰囲気があるから、そう呼ぶのが主流になっちゃったのよ」
本名よりあだ名や二つ名が有名になったパターンか。西部劇のような風景なのに、名前が遊楽通りだから変だと思ったよ。
うんうんと頷きながら通りに足を踏み入れる。
それぞれの建物の入り口には、ギルドや商店と同じく絵柄と文字の二種類の看板が掲げられていて、あっちこっちから賑やかな声が響き渡る。
それがプレイヤーによるものなのか、それとも雰囲気を出すためにNPCが出しているのかは分からない。
でも、この場の空気に当てられたのか楽しくなってきて、なんだか面白そうな気がしてきた。
「トーマ、どこに行くか決めていいよ」
「俺が決めていいのか?」
「ご飯でお世話になってるからね、少しは楽しんでもらわないと」
ダルクの言い分にカグラもセイリュウもメェナも異論は無いようで、どうぞどうぞどうぞと行き先を決める権利を譲られた。
さて、どこにしようか。
教わったもの以外にもダーツやチェスや宝探しがあるし、中には迷路やネズミレースなんてのもある。
そんな数ある中から、特に理由も無く適当に、ルーレットで遊べる店を選び、ギルドと同じ両開きの扉を開けて入店する。
「いらっしゃいませ」
入ってすぐの所に受付があり、そこにいるNPCの青年から挨拶された。
奥へ進む廊下の先には扉が二枚あって、向かって右側は20歳以上向け、左側は全年齢向けと書かれた札が下がっている。
「初めてご利用する方ですか? よろしければ遊び方を説明しましょうか?」
チラリとダルク達を見る。
頷いたから説明を受けろと取るぞ。
「お願いします」
「承知しました」
青年の説明によると、向かって右側は20歳以上しか入れないゲーム内での金を賭けて遊べる部屋で、左側は金を賭けずに遊べる全年齢向けの部屋。
満16歳の俺達は自動的に左側の部屋で遊ぶことになるから、右側の部屋には入れないそうだ。
ルールは0と00があるアメリカン方式で、入場者には受付で一人一枚渡される札を予想する場所に置いて、当たれば景品が貰えるらしい。
景品はルーレット台で異なり、モンスタードロップ、採取品、回復アイテム、装備品各種と色々あるようだ。
入場料は最初の1時間が300G。その後は10分毎に60Gずつ料金が加算されていくから、所持金には注意しろと言われた。
作業館での作業台の借り方もそうだけど、なんでネットカフェ仕様なんだろう。製作者か運営の趣味か?
そうして注意を聞き終えて札を渡されると、サラマンダーの3とあった。
どうやら書いてある種族は自分の種族と連動しているようで、ダルク達も自分の種族が書かれていた。
番号は、その種族が入場している順番なんじゃないかと思われる。
「では、ごゆっくり」
頭を下げる青年に見送られて左側の部屋へ入ると、十数人ぐらいのプレイヤー達が和気藹々とした雰囲気でルーレットを楽しんでいた。
遊んでいる子供プレイヤー達を見守っている大人プレイヤーがいれば、外しても残念と笑っている若いプレイヤーもいる。
一見するとギャンブルの場だけど、殺伐とした雰囲気は無くて楽しそうだ。
「よし、遊ぶぞー!」
「ちょっと、日付が変わるまでだからね」
「分かってるって!」
メェナの注意に、こっちを向かずに返事をしながら駆けていくダルクに苦笑しつつ、俺達も思い思いの台で遊ぶ。
そうして日付が変わった時まで遊んだ結果は……。
「なんでさ! なんでこんな物が当たるのさ!」
店の外へ出たダルクは膝から崩れ落ち、地面を叩きながらそう叫んだ。
特典で装備品が充実してるダルクは回復アイテムが景品のルーレットで遊んで、いくつか景品も入手できたそうだけど、その内容が散々だったらしい。
一体何が当たったのかと尋ねたら、ダルクが入手した景品を見せてくれた。
水×2
携帯食料×7
HP回復ポーション×1
MP回復ポーション×1
水やポーションはともかく、見た目だけは某栄養補助食品と似ている、実物よりボソボソでパサパサする不味い携帯食料が7つもある。
これは嘆きたくなるのも頷ける。
「確かに満腹度や給水度を回復するアイテムだけどさ! 携帯食料が7つも当たるって何の罰なのさ!」
日頃の行いのせいか、物欲センサーとやらが反応したんじゃないかな。
「私達の方も、ダルクほどじゃなかったけどイマイチだったわね」
「ええ」
「何が貰えるかは、完全にランダムみたいだからね」
装備品が初期状態のカグラとセイリュウとメェナは、装備品狙いでいったようだ。
頭、上、下、足、他、武器でそれぞれルーレット台が違うから手分けして挑戦したそうだけど、ほとんどが自分の職業や、習得しているスキルとは関係が無い物ばかりで使えそうにないらしい。
どうやら貰える装備品は完全にランダムで、当たった人の職業やスキルと関係がある物が貰える、というわけではなかったようだ。
ほとんどの装備品が売るしかない中、数点は使えそうなのが当たったから見せてくれた。
インテリメガネ 装備品・頭
効果:知力+3
耐久:100
装備条件:なし
鉄板仕込みのシューズ 装備品・足
効果:体力+4 俊敏−1
耐久:150
装備条件:体力10以上
幸運のタグ 装備品・他
効果:運+1
耐久:110
装備条件:なし
帯電リング 装備品・他
効果:麻痺耐性(小)
耐久:100
装備条件:なし
自分達が使えそうなのはこれくらいのようだ。
ただ、売るしかないと判断された物の中に武器としても使える釣り竿があったから、これはダルクが予備の釣り竿として受け取った。
「トーマ君はどうだった?」
「こんなもんだ。ちょっと見てくれ」
俺がやったルーレットは、景品がモンスターのドロップアイテムの台と採取素材の台。
戦う気が無いから装備品には興味が無く、回復アイテムも必要無いからこの二つを選び、あわよくばまだ入手してない食材を入手できないかと思ったんだけど、そんな上手い話は無かった。
おまけに景品として貰った物の価値がよく分からないから、ダルク達に見てもらう。
ハーブ【パセリ】×2
タックルラビットの肉【胸】×1
薬草×2
ホーンマウスの角×1
スケルトンボアの骨×6
スライムの核×1
食べられそうなのはパセリとタックルラビットの胸肉くらいで、しかもパセリはアイテムボックスにまだ残ってる。
それ以外を見てもらったところ、他は薬や装備品を作るための素材とのこと。
特に三本セットが二回当たったスケルトンボアの骨は、夜にしか出現しないモンスターのドロップな上に、この周辺でなら結構強めの防具にできるそうだ。
それなら譲ろうかと提案したら、それで作った防具は見た目が悪くて生理的に無理だと拒否され、適当に売っていいと言われて俺がそのまま所持することになった。
代わりに薬草とホーンマウスの角とスライムの核は、薬や装備品を作ってもらえるからと受け取ってくれた。素材持ち込みで作ってもらえれば、いくらか安くなるらしい。
「はぁ~あ、良いの当たらなかったなぁ」
「そうそう当たるわけないだろ」
物欲センサーっていうのは、当たれと願うほど外れるんだよ。
「使わない物は明日、NPCのショップにでも売っておきましょう」
「売値を考えれば、入場料分の回収はできたかしらね?」
「それよりも、早く宿へ行こう」
がっくり落ち込むダルクの背を押して近場の宿へと向かう途中、ふと気づいた。
「ところで、明日の飯はどうすればいい?」
「「「「あっ」」」」
*****
急遽やって来ました作業館。
どうやら睡眠中でも満腹度と給水度は減少するから、起きた後で食べる飯が必要らしい。
失念していたから、今回だけは宿で出される無味の飯か不味い携帯食料で凌ぐ、という選択肢は一切存在しないかのようにここへ来させられた。それはもう、逆らう気持ちなんか微塵も浮かばないほど鬼気迫る表情で。
よって、今から睡眠後の食事を作らなくちゃならない。
なお、飲み物は水で済ますと言っていたからスープを作る必要は無い。
ちなみにダルク達は予定を変更し、武器の耐久値を回復したり、ルーレットで入手した不用品を売ったり、宿を確保したりして時間を潰している。
眠りに就いた時間が違うと、俺が起きるまで何も食べずに過ごさなきゃならないからという理由で。
「さて、何にするか……」
この後で俺も寝なきゃならないから、あまり時間を掛けられない。
今ある材料と調理法で、できるだけ手早く作れるのは……。そうだ、あれにしよう。
バンダナと前掛けを表示させ、材料をアイテムボックスから取り出す。
用意するのは小麦粉と油と塩、これだけ。
まずは水を張った鍋をコンロに掛けて温め、その間に小麦粉と少量の油と塩をボウルに入れておく。
水がぬるま湯くらいに温まったら火を止めて、お玉でぬるま湯を少しずつボウルへ注ぎ入れながら生地をこね、生地が手に付かなくなったらひとまとめの塊にする。この時、粉っぽさが無くなって表面が滑らかなら良し。
これを発酵スキルで発酵させたらぬるま湯は流しへ捨て、別の鍋に油を注いで数センチぐらい溜める。
「おい、あれ――」
「掲示板で――」
「何を――」
時間が遅いこともあって、作業場には片手で数えられる程度のプレイヤーしかいない。
その僅かなプレイヤーのざわめきを聞き流しつつ、ローラーと油切り用の網を乗せたバットを用意して、まな板に打ち粉として小麦粉を薄く降り、発酵させた生地をまな板の上に置いてローラーでガス抜きをしつつ伸ばしていく。
伸ばしたら数回折ってはローラーで伸ばす作業を何度か繰り返し、厚みを残して伸ばした状態にしたら油を溜めた鍋に火を点け、熱している間に包丁を装備して生地を縦長の形に切り分ける。
そして一つまみの小麦粉を油へ撒いて適温なのを確認したら、縦長に切り分けた生地を一本ずつ、捩じりパンのように何回か捩じって油へ投入していく。
トングで上下をひっくり返しながら生地を揚げていき、こんがり揚がったら油から上げ、バットの油切り網の上に乗せて油を切る。
こうして完成したのは、日本で言うところの中国揚げパンだ。
中国揚げパン 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:1 品質:7 完成度:92
効果:満腹度回復11%
HP最大量+10【2時間】 体力+1【2時間】
中国で食べられている揚げパン
パンとあるが主食ではなく、粥やスープに添えられるおかず
日本で言うところの揚げ麩のようなもの
揚げ物なので素朴な味わいながら食べ応えはある
中国では油条と書いてヨウティヤオとかヤウティウって呼ぶけど、地域によっては他の呼び方があるそうだ。
子供の頃に祖父ちゃんがよくおやつに作ってくれたけど、説明にある通り本来はおかず扱いだから甘くないし、単体を食べるんじゃなくてお粥やスープにちぎって入れて食べるものだ。
でも日本ではパン扱いだから、そのまま食べても問題無いだろう。
一応一つ味見を……うん、説明の通り素朴な味わいだけど揚げたから食べ応えがある。明日の朝はこれで勘弁してもらおう。
あとはこれを量産するつもりだけど、これだけだと飽きるだろうから、邪道と言われようとも味に変化を与えるか。
といっても、バットに砂糖や胡椒を用意して、揚げる前にそれぞれを生地の表面に纏わせるだけだけど。
いや待て、ふと別の味付けというか風味付けを思いついた。
急ぎハーブを取り出し乾燥スキルで乾かし、バットの上で手でパラパラに千切ったら塩を加えて混ぜて即席のハーブソルトを作り、これも生地の表面に纏わせて揚げる。
中国揚げパン・砂糖味 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:1 品質:7 完成度:89
効果:満腹度回復13%
HP最大量+10【2時間】 知力+1【2時間】
中国で食べられている揚げパンを甘くアレンジ
おかずが一転、まるで菓子パンのように
現実なら高カロリーなのは気にしないでください
中国揚げパン・胡椒味 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:1 品質:7 完成度:90
効果:満腹度回復12%
HP最大量+10【2時間】 俊敏+1【2時間】
中国で食べられている揚げパンをピリ辛にアレンジ
適度な辛さが食欲を刺激し、しつこさを軽減
本来通り、粥やスープにちぎって入れても合うでしょう
中国揚げパン・ハーブソルト味 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:1 品質:7 完成度:85
効果:満腹度回復11%
HP最大量+10【2時間】 魔力+1【2時間】
中国で食べられている揚げパンを香り高い塩味にアレンジ
ハーブの香りに食欲が誘われ、塩気で後口のしつこさを軽減
本来通り、粥やスープにちぎって入れても合うでしょう
へぇ、ちょっと味付けを変えるだけで満腹度だけでなく、バフ効果とやらも微妙に変化したよ。
味見をしてみると、砂糖の甘さや胡椒の刺激が思った以上に良い。
特にハーブソルトなんて、ほとんど思いつきなのに結構良い。
これならダルク達も納得するだろうと、中国揚げパンのプレーン、砂糖味、胡椒味、ハーブソルト味をそれぞれ量産して、網に乗せて油が切れた物から皿に盛り、ある程度盛れたら皿ごとアイテムボックスへ入れる。
これを繰り返して何皿目かをアイテムボックスへ入れたところで、どうにか睡眠後の食事を作り終えた。
「ふう、終わった。ん? メッセージ?」
調理に夢中で気づかなかったけど、メェナからメッセージが届いてる。
開いてみると、泊まる宿が決まったという文面と、その宿の位置を示すマップのデータが添付されていた。
ここの操作方法、教わっておいてよかった。
「よし、さっさと引き上げよう」
遅くならないうちに宿へ向かうべく、後片付けに取り掛かる。
今後はこういうことがないよう、いくらか作り置きをしておくべきかな。
そう思いつつ、周りでざわめくプレイヤー達を気にせず後片付けを済ませ、宿へ向けて走った。