タウンクエスト終了
魔法陣が地上へ到着して消えると、待ち構えていたプレイヤー達に囲まれた。
ほとんどがお助けキャラを呼んでくれて助かったとか、ありがとうとか感謝の言葉で、それ以外だと発生条件はとか途中で何かあったかと尋ねられる。
戦闘に参加していなかったプレイヤー達もいつの間にか来ていて、セツナにはよくやったよと背中をバンバン叩かれた。
にゃーミーと奏の方もそんな感じで、イクトは褒められまくって照れる姿に黄色い声が上がり、バンシーにも注目が集まっている。
「何この子、可愛い!」
「無表情ロリ巨乳……だと……」
「プレイヤーじゃないなら、触れてもセーフか? セーフだよな?」
触れてもセーフとか言った奴、その考えがアウトだよ。
それを察したバンシーが、何故か俺の影に隠れた。
ハルトの下にはリュウが挨拶に行っていて、頭を下げながら話しているのをプレイヤー達が遠巻きに見ている。
距離を取ってるのは、リュウが引き連れているアンデッド達が原因か?
スカルウルトロス以外にも、あんなに召喚したのか。
「トーマー!」
あっ、ダルク達も来た。
「トーマー! お助けキャラ呼んできてくれてありがとー!」
「どういたしまして」
駆け寄ってきて手を差し出すダルクの意図を察し、タッチを交わしていい音が響く。
「ありがとう、トーマ君!」
「うふふ。助かったわ」
「ええ。このタウンクエスト、お助けキャラがいないとヤバかったから本当に感謝よ」
遅れてきたカグラ達も無事だったか。
えっ? なに? 二回死に戻った?
リュウが来なければ、三回目になるところだった?
前言撤回、無事とは言い難かったか。
「君、師匠を連れてきてくれてありがとう。助かったよ」
今度は六体のアンデッドを引き連れたリュウがやって来た。その後ろにはハルトも続いてる。
「夕方から夜にかけてはアンデッド達が活発になる時間だからな。念のために呼んでもらって正解だったよ」
うん? じゃあすっかり日が落ちた今は、アンデッドにとってゴールデンタイムなのか?
「アンデッドは夜になればなるほど強いし、あいつの契約による復活は早まって強化もより強くなる。夕方に攻めてきたのはそのためだろう」
「えっ? じゃあもしも、もっと早い時間に攻めてくるか、夜が明けたら?」
「あいつが召喚できるアンデッドの戦力じゃ、大きく弱体化するな。トゥルーアンデッドで召喚した俺の仲間達や、ノーライフキングの師匠は別だけど」
つまりタウンクエストの発生した時間がもっと早ければ、弱体化した状態のアンデッド軍団との戦闘だったわけか。
仮に日が暮れるまで攻めてこないとしても、開始までの時間が長くなるから、その間により多くのプレイヤーが集まって戦闘が有利になるかもしれない。
ということは、夜明け近くにタウンクエストが発生していれば、弱体化していたアンデッド軍団との戦闘だったかもしれないのか。
かなりの数に加えて無限復活の軍団だから、それぐらいの措置があってもおかしくない。
そういう意味で今回のタウンクエストは、発生のタイミングが悪かったとも言える。
それを知ったプレイヤー達からはマジかとか、それならお助けキャラ無しでも勝てたかもとか、他のタウンクエストでも同じ事があるかもと話してる。
中には、誰だあのタイミングで発生させた奴はと叫んでいるのもいる。
なんというかまあ、お疲れ様?
「皆の者、ご苦労であった!」
今度はNPC達を連れたローエン達が来たか。
「皆のお陰でサードタウンジュピターを守ることができた。叔父上の蛮行を止めてくれた件も含め、深く感謝する。そのお礼に、報酬は存分に支払うのじゃ!」
報酬の言葉は出たけど、表示は何もされない。
まだ何かあるのかと様子を見ていたら、ローエンがリュウとハルトの下へ歩み寄る。
「そしてリュウよ、七年前にあのようなことがあったのに助けに来てくれて、本当にありがとう」
「気にしなくていいですよ。やろうとしたことをできなかった、俺に責任がありますから」
「……お主が叔父上と同じでなくて良かったのじゃ」
「それを言うなら私も同じだ。貴殿の叔父を更生させられなくて、申し訳ない」
「いやいや、頭を上げてほしいのじゃ。叔父上のあれは、死なねば直らない類じゃったからの」
ハルトが頭を下げるとローエンはそう言うけど、それはちょっと酷くないか?
「むしろ貴殿にはリュウの面倒を見てもらったばかりか、町まで救って貰ったことに対して、どれだけ礼を言えばいいことか」
「気にするな。かつての自分の至らなさの尻拭いをするのと、己の故郷を守るためだ」
「……はっ?」
呆気に取られるローエンをよそにハルトは語り出す。
自身はサードタウンジュピターがまだ町でなかった頃から知っていて、その行く末を見守るために自身をアンデッド化して、この町を密かに見守り続けているのだと。
だからこそバナードやリュウ達に気づき、気に掛けて手を貸していたらしい。
尤も、バナードには通じなかったけど。
「ま、まさか貴殿はサードタウンジュピターの開拓者、代々町長の家系に言い伝えられているハルト様なのではっ⁉」
えっ? サードタウンジュピターの開拓者?
「そう大したものじゃない。何も無かった頃のこの地を気に入って住みたいと思い、住めるようにしていたらいつの間にか人が集まってきて、気づけば長のようなことをしていただけだ」
そういうのを世間では開拓者っていうんだよ。
「ご先祖様とは知らずに、大変失礼しましたなのじゃー!」
おぉっ、なんて見事な土下座だ。
「お名前をお聞きした時、同じだなとは思いましたがご本人とは知らず、平にご容赦をー!」
「まあまあそうかしこまるな。私は自分の思うがまま、好き勝手にやっていたらこうなっていただけなのだ」
それでそこまでやれるのも逆に凄いよ。
「どうしても申し訳ないと思うのなら、正しい死霊魔法を世に伝えてくれ。死霊魔法は死者を冒涜する使い方もできるが、その本質は死者と心を通わせて理解しあい、手を取り合うためのものなのだとな」
「承知しましたなのじゃ!」
『全てのプレイヤーへお報せします』
顔を上げたローエンがハルトの要求を承知すると、ワールドアナウンスが流れだした。
『サードタウンジュピターにて行われていたタウンクエスト、【復讐の死霊使い】をクリアしました。隠しスキル【死霊魔法】と隠し職業【ネクロマンサー】が解放されました。参加者には貢献度に応じ、賞金が与えられます。なお、クリアに伴い各地へ正しい死霊魔法が伝わり、死霊魔法に対する忌避感が無くなり、NPCの死霊魔法使いが現れるようになりました』
アナウンスが流れるとプレイヤー達から歓声が沸き、報酬額に一喜一憂する。
俺の額は……50万⁉ これは緊急クエストを二つもクリアしたからか?
なんにせよ、これだけあれば星座チェーンの店を全部寄ったりファーストタウンへ戻ってポッコロとゆーららんの畑へ寄ったりできそうだから、存分に使わせてもらおう。
「ねえ、お兄さん。一つお願いがあるんだよ」
表示を消していたら、まだ近くにいたバンシーが声を掛けてきた。
お願いってなんだ?
「そこの子はお兄さんがテイムしているんだよね?」
バンシーの視線の先には、俺にしがみついて満面の笑みで頬ずりするイクトがいる。
「イクトのことか? そうだけど、それがどうした?」
「私もその子のように、テイムして連れて行ってほしいんだよ」
「はっ?」
えっ、これどういうことだ?
思わずダルク達の方を見るけど、分からないとばかりに首や手を横に振り、他のプレイヤー達を見ても同じような反応をする。
訳が分からずにいると、バンシーが話を続ける。
なんでも彼女はリュウの集落があった山で半年前に誕生し、それを察知したハルトに発見された。
妖精は金目的で狙われやすいからとそのまま保護され、以来ハルトやリュウ達の世話になりながら山の中で生活してきた。
だけど外の世界を見に行きたい気持ちは強くなる一方。
そんなところへイクトを連れた俺と遭遇し、ハルトの下へ向かうまでとはいえ一緒に行動をして、この人なら信用できると思ったらしい。
「信用って、少ししか一緒に行動してないだろ?」
「大丈夫なんだよ。お兄さんは勇んで飛び出して黒い狐に食べられたおじさんと違って、これをガン見していないから信用できるんだよ」
そう言って幼い見た目に不相応な存在感を放つ胸を、服の上からペシペシ叩く。
確かに彫りゴンは、にゃーミーと奏から冷たい視線を受けていてもガン見してたっけ。
というか、ドワーフだから髭はあったけどおじさん扱いなのか。
「さっすがトーマ。真面目、紳士、ジェントルマーン!」
うるさいダルク、背中をバシバシ叩くな。
「うふふふふ。トーマ君らしいわね」
どうしてそこで胸元に手を置いて、意味深に笑うんだカグラ。
「そうだよね! トーマ君はそこの大きさなんか気にしないよね!」
その通りだけど、なんでセイリュウはやたら熱意が籠った反応をするんだ?
「確かにそれは信用できる一端にはなるかしら? 少なくともそれに注目している、周りの連中よりは信用できるわね」
メェナがそう言いながら周囲を睨むと、多くの男性プレイヤーが目を逸らした。
おいおい、なにやってんだよ。
「ちなみにこれは、下心を見抜くために自分へかけた幻術なんだよ」
そう言って指を鳴らすと一瞬で胸元が年相応に薄くなって、懲りない男性プレイヤー達が驚いたり文句を言ったり嘆いたりして、周囲の女性プレイヤー達に睨まれている。
というかこのバンシー、幻術が使えるのか。
「改めてお願いするんだよ。一緒に連れて行ってほしいんだよ」
無表情のままとはいえ、強い決意が込められた口調と目を向けて再度お願いされたら、また何かが表示された。
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≪特殊条件を達成しました≫
・タウンクエスト【復讐の死霊使い】に参加しクリアする
・≪緊急クエスト・死霊魔法使いリュウの下へ向かえ≫をクリア
・≪緊急クエスト2・リュウの師匠の下へ向かえ≫をクリア
・テイムスキルを所持
・バンシーからの友好度が0でない
以上の条件を満たしたため、プレイヤー・トーマはバンシーをテイム可能です
テイムするなら了承し、テイムを使用してください
テイムしないなら、バンシーに断りを入れてください
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そんな特殊条件有りかい!
むしろなんで俺が達成しちゃってるの、この特殊条件を!
クエスト達成は他のプレイヤー達の協力があればいいとして、緊急クエストを発生させるためには料理ギルドでドゥームの依頼を受けなくちゃならないから、調理スキルは必須。それでいてテイムスキルも必要で、バンシーからの友好度が0でないってなに!
ていうかバンシーからの友好度の低下は、幻術で騙してた胸のガン見で決まるのか?
いや、さすがにそれはないだろうから、バンシーの案内でハルトの下へ向かう時、自分勝手に動かず彫りゴン達と助けあって進んだからか?
ハルトの下へ向かうまでの間、みたいないことも言っていたし。
なんにしても、本当になんで俺が達成しちゃっているんだよ!
「ますたぁ、だいじょーぶ?」
頭を抱えて唸っていたらイクトに気を遣われ、大丈夫と返してバンシーを見る。
さっきと変わらず無表情だけど、眼差しだけは真剣なままこっちを見続けている。
「ねえトーマ! 一緒に連れて行ってほしいって、この子をテイムできるってこと!?」
「なんで? なんでそんなことできるの?」
「うふふふふ。こういう可愛い子は大歓迎よ」
返答が追いつかないから、ダルクもセイリュウもカグラも矢継ぎ早に話しかけるな。
「テイムするならしてもいいわよ。魔法で攻撃できるなら、後衛の火力強化に繋がるもの」
サムズアップするメェナよ。お前はそれよりも、常識枠としてダルク達を止めてくれ。
ひとまず色々尋ねてくるダルク達を落ち着かせ、表示された特殊条件の内容を伝えたらダルクだけでなく、他のプレイヤー達からもなんじゃそりゃって声が上がった。
続けてハルトやリュウにバンシーの処遇について尋ねると、バンシーの意思を尊重するから君に任せるとの返答を貰った。
深い溜め息を吐きたい気分を堪え、周囲の注目が辛いのと早くログアウトしたい気持ちから決断する。
「分かった、一緒に行こう」
断ったら周りから非難されそうな雰囲気だし、モンスターとはいえ女の子のお願いを無碍にするのも悪いから、という結論に至って承諾する。
さすがに無茶苦茶なお願いなら断るけど、連れて行くぐらいなら問題無いだろう。
「うん。ありがとうなんだよ」
「それじゃ、テイム」
バンシーへ手を向けてテイムスキルを使ったらあっさり成功。
名前を求められたから死を告げる妖精、つまり命に敏感な存在ってことでミコトと名付けた。
そして周囲がざわつく中、ダルク達にねだられてステータス画面から情報を表示させる。
*****
名前:ミコト
種族:バンシー
職業:なし
性別:女
レベル:18
HP:46/46
MP:82/82
体力:19
魔力:84
腕力:12
俊敏:15
器用:31
知力:79
運:23
種族スキル
絶命探知
スキル
浮遊LV12 闇魔法LV10 幻術LV10
夜目LV7 調合LV3
装備品
頭:なし
上:フェアリーロングワンピース
下:フェアリードロワーズ
足:フェアリーブーツ
他:フェアリーマント
武器:なし
*テイムモンスター
主:プレイヤー・トーマ
友好度:17
満腹度:60% 給水度:59%
*****
「ふんふん。能力はMPと魔力と知力が高いから、セイリュウと同じ後衛の魔法使いタイプだね」
「トーマ君、この種族スキルはどういうものなの?」
はいはい、表示させるからちょっと待ってろ。
絶命探知:主人とそのパーティーメンバーに命の危機が迫るのを察知する
【対象となる危機】
・レベル差がありすぎるモンスターに接近
・即死攻撃を持つモンスターに接近
・即死効果のある罠に接近
「へぇ、こういうスキルなんだ」
「死を伝えるバンシーらしいわね」
これを見る限り、ミコトがいれば即死するようなモンスターや罠を回避できるのか。
移動の時に役立ちそうだ。
「よろしくねー、みことちゃん」
「よろしくだよ、イクト君」
新しい仲間の加入に触覚とレッサーパンダ耳を動かして喜ぶイクトと、無表情なミコトが手を合わせるタッチをした。
というか、ちゃん付けでいいんだ。
「妖精をテイムってマジか」
「ということは、どこかに妖精がいる場所もあるのか?」
「さすがにこれっきりってことはないでしょうから、探せばいるかもしれないわ」
早くも妖精探しのムードが漂っている中、ステータス画面を消すとミコトが歩み寄ってきた。
「これからよろしくだよ、マスター」
「ああ、よろしくな」
改めて挨拶をした後はローエンとNPC達は戦後処理に入り、リュウは後日集落の皆と帰省する約束をローエンと交わしてハルトと帰路に着き、俺達プレイヤーは解散。
その際にセツナ達料理プレイヤーから、炊き出しで余ったスープが振る舞われた。
緊急クエストに行っていたから腹減っているだろと、俺とにゃーミーと奏とイクトには優先して振る舞われ、そこで赤巻布青巻布黄巻布と彫りゴンとも再会。
途中で抜けたことを謝られたが、罠と戦闘による死に戻りだから気にしないと返しておいた。
ただし、道中で足りなくなったから提供したポーション代はにゃーミーと奏を含めてしっかり請求し、貰ったばかりの報酬からきっちりと取り立てた。
その後、クエスト後の余韻に浸るプレイヤー達は町へ戻り、まだ熱気が治まっていないプレイヤー達は狩りに向かう。
対する俺達はというと、セツナから残った分を持っていけと言われたスープを自前の鍋へ移した後、クエストの余韻に浸りつつログアウトするため広場へ向かう。
「にゅふふらぱっちょん、ぎゅぎゅでっだら~」
「変な歌なんだよ」
「えぇっ!?」
移動中、いつもの微妙な歌を口にしたイクトに、ミコトが鋭い指摘を入れてイクトがショックを受けた。
それでもめげず、これならどうと別の歌を口にするがそれも変な歌と一蹴。
何度もそれを繰り返している姿だけでも微笑ましいのに、仲良く手を繋いでいるから余計に微笑ましい。
早くも姉弟のようで良い雰囲気だ。
「あー、大変だけど楽しかった!」
「予定のログアウト時間、大幅に過ぎちゃったけどね」
上機嫌なダルクに対して、ログアウトが遅れたことを気にしているセイリュウの表情は浮かない。
「現実では少し遅れた程度とはいえ、タイミングが悪かったわね。戦闘も長引いちゃったし」
「まあまあ。アンデッド系のばっかりだけど素材はたくさん手に入ったし、お金も手に入ったからいいじゃない」
同じく浮かない表情をしているメェナを、カグラが慰める。
やっぱり長く戦闘に参加していた分、貰えた素材は多いのか。
そういえば、あの死術の石板って何の役に立つんだ?
今すぐ調べる必要は無いし、使えないなら売ればいいけど、それよりも大事なのことがある。
「予定していた試作はできなかったから、次回に後回しだな」
塩レモンならぬ塩サンの実作り、唐辛子を塩水に漬ける泡辣椒作り、手に入る木の実や果物でのドライフルーツ作り、それとレギオンマッドザリガニの殻での出汁取りと、やりたいことはたくさんあったのに。
しかも料理とは無関係のことで料理の予定が潰れたから、大金が手に入って新たにミコトが仲間に加わったとはいえ、あまり気分は良くない。
「それよりも、次の最初のご飯は?」
「セツナ達から分けてもらったスープと、ストックのパンで我慢してくれ」
今回手に入った金で転移してあっちこっち行きたいし、次のログインで最初の飯はそれで勘弁してもらおう。
「えー、もう一品ぐらいつけろー! ぶーぶー!」
ようし、そう言うのなら唐辛子と粉ビリンをたっぷり使った、目にも鼻にも喉にも刺激がくる激辛ビリビリ焼きそばでも作ってやろうじゃないかダルク。
辛いのが苦手なお前なら、涙腺崩壊必至だな。
「こらダルク、そんなこと言っちゃダメよ」
「怒ったトーマ君が、前に辣子鶏を作った時のように辛いのを作るかもよ」
「ごめんなさい、僕が悪かったよ。この通り謝るから辛いのはやめて」
カグラとセイリュウの説得で、辛いのが駄目なダルクが秒で謝ってきた。
謝ったのなら、激辛ビリビリ焼きそばは勘弁してやろう。
まったく。余計なことを言うからそうなるんだよ。
「トーマ、気にせず激辛料理を作ってくれて構わないわよ」
戦闘の時と同じくらい目を爛々とさせてるメェナは、大好物の激辛を食べたいだけだろ。
まったく、うちの腹減ったガールズはタウンクエスト後も平常運転か。
さっきも思ったけど、こっちは料理とは無関係なことで料理の予定が潰れたから不満があるっていうのに。
こうなったらログアウト後は閉店まで店の手伝いで思いっきり料理して、一日の疲れを癒すため寝る前には必ず見る、動物や子供の激カワ動画での癒し時間を普段より長めにするしかない。うん、そうしよう!
ダルク達どころか家族にも秘密にしている、密かな癒し時間の延長を決めつつ、広場に到着したらダルク達とログアウトした。




