助っ人参上
タウンクエストでサードタウンジュピターを防衛するため、死霊魔法使いとそいつが召喚したアンデッド軍団との戦いが始まって、一体どれだけの時間が経ったんだろう。
日が落ちたせいか、アンデッド軍団の動きが活発になってきた。
町を囲む防壁の上から明かりが灯されているお陰で敵味方の区別はつくけど、状況はこっちが不利だ。
何度でも蘇るアンデッド軍団の復活を遅らせて、その隙に死霊魔法使いを叩いて突破口を掴もうとしてるけど、徐々に増えるアンデッドに対処が間に合わなくなってきている。
「ホーリーショット!」
「いまだ!」
「ふん!」
貫通効果のあるカグラの光魔法でスケルトン数体が同時に倒されて、バラバラになった骨を別のプレイヤー達が遠くへ飛ばす。
僕は僕で押し寄せるゾンビ達を盾で押さえ、この隙にセイリュウがアクアスラッシュでズバズバッと倒して、復活を遅らせるためにメェナがバラバラになったゾンビ達の体を遠くへ蹴っ飛ばす。
「はっはっはっ。なかなかに粘るじゃないか。だが、もう長くはもたなそうだな」
死霊魔法使いの言う通り、こっちはあいつに近づくどころかジリジリと戦線が後退してる。
延々と復活し続けるアンデッド軍団に体力はともかく、精神の方が疲労して集中力が落ち、死に戻りするプレイヤーが増えているのが原因だ。
かくいう僕達も、集中を切らして一回か二回は死に戻ってる。
タウンクエストの特別措置で、参加者は何度死んでもデスペナは無いとはいえ、精神的にキツイ。
HPとMPが完全に回復して、セツナを筆頭とした料理プレイヤー達が作ったスープでバフを受けてから戦線復帰していても、キツイものはキツイんだよ!
「貴様らとは違い、疲れも恐怖も感じない不死身のアンデッドによる数の暴力で、蹂躙されるがいい!」
「ふざけるな! この町はなんとしても守ってみせるのじゃ!」
威勢良く啖呵を切るローエンだけど、MPはほとんど残ってないし息切れも激しい。
攻略組の人達ですら辛そうで、兵士や自警団のNPC達も疲労が濃い。
そんな僕らのことなんて気遣う様子も無く、アンデッド軍団が迫ってくる。
アハハッ、これは三回目の死に戻り確定かな。
というか、このタウンクエストの成功自体難しいかも。
「ちょっとダルク、諦めた感じで笑わないでよ!」
飛び掛かってきたゴブリンのスケルトンの攻撃を避けて、殴って反撃するメェナに怒られたけど、この状況はもう笑うしかないって。
猿みたいなゴーストと大蛇のゾンビを魔法で倒すカグラとセイリュウも、戦ってはいるけど表情が諦めかけている。
もう魔法を撃てず、杖でオークのスケルトンを殴ったローエンが崩れて片膝を着いて、それをリコラって女の人がフォローしてどうにかオークのスケルトンは倒して骨を遠くへ蹴飛ばすと、ローエンを手助けして後退した。
だけど、すぐに復活しようと骨が動き出す。
「ぬぅ……どうすれば……」
ローエンの表情に絶望感が浮かんでいるところへ、デカいゴリラのゾンビが躍り出てきて咆哮を上げた。
その咆哮で動きが数秒止まるスタン状態と、ステータスが10%低下する恐怖状態になった。
動けないところへ、咆哮を上げたデカいゴリラのゾンビが暴れて僕達は吹っ飛び、何人かのプレイヤーが死に戻って消える。
僕もHPがほとんど残ってなくて、あと一撃でも受けたら三回目の死に戻りだね。
カグラもセイリュウもメェナもHPバーが真っ赤になってるから、もう一撃を耐えられるかどうか。
確実に言えるのは、迫るアンデッド軍団をどうにかできる気がしないってこと。
運営さ、さすがに無限復活はやり過ぎじゃない?
そんな恨み言を考えながら、鳴き声を上げて僕へ向けて拳を振り上げたデカいゴリラのゾンビを眺める。
はい、三回目の死に戻り――。
「うわっ、なんだっ!?」
「新手の敵か!?」
どこかから声がしたと思ったら、拳を振り下ろしてる最中のデカいゴリラのゾンビに何かが横から体当たりをかまして、デカいゴリラのゾンビが吹っ飛んだ。
反射的にそっちへ顔を向けると、デカいゴリラのゾンビは吹っ飛んだ先にいるアンデッド達を巻き込んで地面に落ち、そのまま転がっていく。
「……へっ?」
三回目の死に戻りを覚悟していたのに、その覚悟が無駄になる出来事が起きたよ。
顔を戻すと死霊魔法使いと同じ、フードを被った黒いロープ姿の人がオルトロスのスケルトンに跨っていた。
その人の頭上にあるマーカーはNPCのもので、オルトロスのスケルトンのマーカーはイクト君と同じ橙色だから、敵じゃないの?
「ダルク、大丈夫?」
「あっ、うん。僕は大丈夫だけど……」
誰なの、このオルトロスのスケルトンに乗っているNPCは。
正体が分からず見つめていると、黒いロープのNPCがオルトロスのスケルトンからヒラリと降り、アンデッド軍団の方を指差す。
「いけ、スカルウルトロス!」
その一言に応えるように鳴いたオルトロスのスケルトンが、ものすごい勢いでアンデッド軍団の中へ突っ込んでいって、まるでボウリングのピンのようにアンデッド達を吹っ飛ばしながら蹴散らしていく。
「なんだあのスケルトン、めちゃくちゃ強いぞ!」
「ていうか、あのNPCも誰だよ!」
気持ちが落ち着いてくると、あれが誰なのか気づいた。
きっとあの黒ロープのNPCが戦闘開始前にトーマからの連絡があった、お助けキャラの死霊魔法使い。
そしてアンデッド軍団を蹴散らしているスカルウルトロスっていうのは、彼が操るアンデッドのモンスターだ。
「くっ、なんだ貴様はっ! ダークネスクロー!」
動揺した死霊魔法使いは、鋭い爪がある闇の手をスカルウルトロスへ放った。
それを軽やかに避けて跳躍したスカルウルトロスは、黒ロープのNPCの後ろへ着地した。
「俺は……」
黒ロープのNPCが両手でフードを下ろす。
フードの下から現れたのは、怖い雰囲気を放つ鋭い目つきをした黒髪の青年。
「えっ?」
「なっ、あいつはっ!?」
「どうして!」
その姿を見たNPCの兵士達や自警団員達が驚いた。
「死霊魔法使いリュウ。お前からこの町を守るために来た」
あぁ、やっぱりこの人がトーマからの連絡にあったリュウだったのか。
ということは、トーマは緊急クエストをクリアしたんだね。
「リュウ! お主!」
「お前、どうして! いや、なんで!?」
「リュウがここにいるなら、あの死霊魔法使いは誰なんだ?」
「話は後です。今はあいつを倒しましょう」
表情が明るくなったローエンや動揺するNPC達へ、微笑んでそう告げたリュウは、表情を引き締め直して死霊魔法使いの方を向く。
「死霊魔法使いだと? ならば貴様には分かるはずだ、死霊魔法の使い手がどのような目に遭うか。なのに何故、そちらに付いて私に敵対する!」
「確かにその通りだ。だけど俺は、自分でそれを選んで、やろうとしていたことを出来なかった。あんな目に遭ったのは俺自身の責任なだけで、町の皆を憎んでも恨んでもいない。だからこの町を、故郷を守りに来た」
おぉう、なにこの主人公感。
お助けキャラどころか、この人が主役だよ。
「何をたわけたことを。だが死霊魔法使いとて、私が従える不死身の死霊軍団には敵うものか! 無限に復活するこいつらに、蹂躙されるがいい!」
うわっ、さっきスカルウルトロスが蹴散らしたアンデッド軍団が、もう復活したよ。
なんか夜になって復活するのが早くなったんじゃない?
だけどリュウは全く動じていない。
「無限の復活ということは、そういうことか」
納得したように呟いたリュウが前に手を出すと、魔法陣が展開された。
「アンデッドコンタクト・リリース!」
魔法陣から放たれた光で、アンデッド軍団の手前の方にいるモンスター達から、何か黒い影のようなものが抜けていった。
「やれ、ウルトロス!」
その直後にリュウの指示で再びウルトロスが飛び掛かって、黒い影のようなものが抜けたモンスターを蹴散らすと、HPが尽きたモンスターが消えていく。
これまでは復活のため、何かしらが残っていたのに今は跡形も無く消えている。
これって、復活能力が消えたってこと?
「なっ!? 貴様、何をした!」
死霊魔法使いが驚くのも無理はないよ。
正直、僕どころか周りのプレイヤー達やNPC達ですら、凄く驚いているんだから。
「これだけの数に無限の復活能力を付与するには、契約で死者を縛る必要がある。それができる死霊魔法は、エターナルアンデッドコンタクトだけだ」
そういえばあの死霊魔法使いが、最初の方でそんなこと言っていたっけ。
「だけど契約である以上、それを破棄することができる。こんな風にな、アンデッドコンタクト・リリース!」
再度さっきの魔法を使うと、別のアンデッド達からも黒い影が抜けていって、それがスカルウルトロスに倒されると復活することなく消滅した。
「おまけにエターナルアンデッドコンタクトは死者が望まない、術者側からの一方的な契約だ。その特性上、再度契約して縛るには時間が掛かるから、すぐには再契約できないだろ?」
「ぬぐぅ……」
ということは解除されたからって、すぐにまた無限の復活ができる契約をすることはできないのか!
「ローエンさん、俺が無限の復活能力を消したアンデッド達なら倒せる。反撃するなら今だ!」
「聞いたか皆の者! 今こそ反撃の時じゃ、今一度奮起するのじゃ!」
『おぉぉぉぉっ!』
リュウとローエンの言葉に、プレイヤーもNPCも声を上げてアンデッド軍団へ突っ込んでいく。
その間もリュウはアンデッド軍団に魔法を使って、無限の復活ができないようにしている。
「よっしゃっ、チャンスだ」
「無限に復活しないならこっちのもんだ!」
「こっから逆転だ!」
無限の復活をしなくなったと分かって、こっちの士気は爆上がりだ。
僕達もすぐに加勢したいけど、その前に残り少ないHPを回復させるため後方へ下がって、手持ちの水出しポーションを飲む。
「えぇい、ならばその前に数で潰すのみ! サモン、オールアンデッド!」
死霊魔法使いの足下に魔法陣が広がって、追加のアンデッド達が這い出てきた。
うえぇ、まだ出てくるの?
「だったらこっちも増援だ。サモン・トゥルーアンデッド、フィフス!」
リュウも何かを召喚するつもりなのか、五つの魔法陣が横並びに展開された。
「デッドリーバッファローオーガ! ボーングリズリータウロス! ターニップレイス!」
最初に魔法陣から出てきたのは三体。
体表が真っ黒で、頭に牛の角と短めの髪が生えていて、両手に片手斧を一本ずつ持ったオーガ。
熊の上半身と馬の下半身をしている、ハルバートを持ったケンタウロスのようなスケルトン。
そして下には何もないくらい細い黒マントから、三日月の形をした刃がある触手が何本も生えている、ハロウィンでカボチャに入れるのと同じ顔があるカブ頭のゴースト。
「リビングデッドナイト、エレーナ!」
うわっ。次は生気に欠けた目をしている、黒い鎧と盾とランスを持った女騎士だ。
「ドラゴニュートレヴァナント、ロード!」
うえぇぇっ! 最後のは赤黒い大剣を持った、僕達より少し大きいくらいの直立二足歩行のドラゴン!?
後半の二体、メッチャ強そうなんだけど!?
「主の命を受け、騎士エレーナ参る!」
「はっはぁっ! 久々に大暴れできそうじゃねぇか!」
しかも喋ったし!? 他の三体と違って、名前っぽいのがあるから?
「バカな! 貴様、それほどの死霊を従えているというのか!」
「従えているんじゃない。俺達は共に戦う盟友だ。皆、頼む!」
「承知!」
「いよっしゃぁっ!」
新たにリュウが召喚した五体が加わり、無限の復活をしなくなったアンデッド軍団を蹴散らしていく。
牛のオーガは嵐のように両手の斧を振るって、スケルトンのケンタウロスは竜巻のようにハルバートを振り回し、ハロウィン顔のカブは三日月の刃で切り裂き闇魔法を放つ。
女騎士は盾で振り払いランスで貫き、直立二足歩行のドラゴンは翼で空中を飛び回りながら大剣を振り回している。
どれも凄いけど、特に女騎士と直立二足歩行のドラゴンは攻略組ですら真っ青の無双っぷりだ。
「よし、HPは回復したわね。私達も行きましょう」
おっ、本当だ。カグラとセイリュウのMPも十分に回復してる。
「もうひと踏ん張りする」
「トーマ君が彼を呼んでくれたんだもの、私達も頑張らないとね」
同感だよ。さぁ行こうか!
HPが回復した僕達も再び参戦して、いつの間にかローエンさんも回復を終えて戦線復帰し、NPC達も懸命に戦っている。
「えぇい、奴を! あの男を狙えっ!」
死霊魔法使いがリュウを狙いだした。
だけど六体のアンデッド達が、主を守らんとばかりに立ちふさがって返り討ちにしていく。
「サモン、デッドウェポン・ボーンランス」
さらにリュウも小さな魔法陣から骨の槍を出して手にすると、自ら迫るアンデッドに突っ込み、骨の槍でアンデッドを返り討ちにしだした。
戦えるんかい! でもって案外強いし!
「ローエンさん。このまま接近して、あいつに直接アンデッドコンタクト・リリースを使う。そうすれば、この場にいるアンデッドとまだ召喚していないアンデッドとの契約も解除して、一気に消し去ることができる」
「本当か!?」
ローエンさんの問い掛けにリュウが頷いた。
「あいつがアンデッドを縛って従えている契約の魔法は、死者が望まない術者側からの一方的なものだ。浄化されようとも無限に復活できるようになるメリットがある反面、縛れるのは弱いアンデッドだけで進化もせず、術者側からの契約を解除すれば縛っているアンデッドは全て消滅するデメリットがある」
ということは、やっぱりあの死霊魔法使い本体を叩けばいいんだね!
「承知した! 皆の者、リュウが奴の下へ近づく道を作るのじゃ! さすればこの死霊共は全て消滅するのじゃ!」
『おぉぉぉぉっ!』
それを聞いたら気合いが出てきたよ!
無限の復活をしなくなったアンデッド軍団を蹴散らしながら、徐々に死霊魔法使いとの距離を詰める。
「おのれ、おのれ、おのれっ! 私の邪魔をするなぁっ! サモン・オールアンデッド! アンデッドフォース!」
どっひゃあぁっ! さらにアンデッドが沸いて強化までしてきたよ。
「どれだけ召喚しても無駄だ。アンデッドコンタクト・リリース!」
リュウの魔法で、またアンデッド軍団から黒い影が抜けていく。
お陰で無限の復活をしなくなったから、良いお助けキャラだよ。
「何故だ、何故死霊魔法の真髄に至り、これほどのアンデッドを従えている私が貴様如きに!」
「死者を一方的に縛って何が真髄だ。死霊魔法の真髄は死者と向き合い、死者と心を通わすことにある。一方的な契約で縛り付けて無理矢理従わせて、何度も死なせては生き返らせてを繰り返させるのは、死者への冒涜でしかない。それをやって平然としているお前には聞こえないだろうな、このアンデッド達の苦しみと怨嗟の声と、ようやく死ねた感謝の声が! だから心を通わせて共に戦う約束を交わした真のアンデッドを呼ぶ、サモン・トゥルーアンデッドも使えないんだろう!」
骨の槍でゾンビを切り伏せたリュウが、やっぱり主人公っぽい。
だけど無限に復活する不死身のアンデッド軍団に対するお助けキャラなら、これくらいの方がいいのかな?
そう思いつつ、盾で押さえたオークのスケルトンを押し返して、よろけた隙にメェナが跳躍しての回し蹴りで頭部を蹴って倒した。
「リュウ、まだ距離が足りんか!」
「もう少しだ、もう数メートルは頼む!」
よーし、もうちょっとだね!
ここが最後の踏ん張りどころ、ここでやらなきゃゲーマーが廃るってもんさ!
「えぇいっ! こうなったら、スピリット・バーサーク!」
死霊魔法使いがなんかヤバそうな魔法陣を展開すると、アンデッド軍団が暴走したみたいに暴れ出した。
しかもこれなんかあれだよ、バーゲンセールへ我先に走るおばちゃん軍団みたいだよ!
無理、この勢いはちょっとやそっちじゃ止められない!
攻略組もローエン達も勢いに押されてるし、圧倒的な数の暴走にリュウのアンデッドモンスター達も対処に手こずってる。
「強力な強化と引き換えに、死者の魂を暴走させる魔法だと⁉ どこまで死者を冒涜すれば気が済むんだ!」
「黙れ! 私は必ず復讐を成し遂げる! こいつらのような駒など、後で貴様らの亡骸でいくらでも補充すればいい!」
あいつ悪い奴! 分かっていたけど、悪い奴!
「それにそれだけのアンデッドを召喚し、何度も契約も解除している貴様の魔力が、あとどれだけ残っているかな?」
「くっ……」
それがあった!
いくらお助けキャラとはいえ、魔力は無限じゃない。
表情も苦そうだし、もうしかして魔力そんなに残ってないの?
「私はこの日のために、長い時間をかけて準備していたのだ。いかに個々が弱かろうと、年月を掛けて準備した数で圧殺してくれる! サモン・オールアンデッド・ラージスケール! スピリット・バーサーク!」
えぇぇぇっ!? これまでとは比較にならない数のアンデッドを同時召喚!?
もう這い出るどころか、アンデッドが湧き出てるみたいじゃないか!
しかも全部、暴走状態だし!
「はっはっはっ! 何が死者への冒涜だ、死を操り生死を超越することこそが死霊魔法の真髄――」
「やれやれ。昔と変わっておらんな、お前は」
狂ったように笑う死霊魔法使いが口にする自論へ、落ち着いた口調で誰かが割って入った。
「アンデッドコンタクト・リリース・ラージレンジ」
その声が続けて聞こえると、僕達の足下にこの辺り一帯へ広がるほど大きな魔法陣が展開。
それが輝くと僕達を襲っているアンデッド軍団全部から黒い影が抜けて、そのまま消滅していった。
残っているアンデッドは、リュウが召喚したアンデッドだけだ。
「なにいっ!?」
「今の声は!」
驚く死霊魔法使い、戸惑う僕らやNPC達。
そんな中で何かに気づいたリュウが上を見たから、連られて僕達も上を見る。
するとそこには、空中に浮かぶ黒い魔法陣の上に立っている黒いマントを羽織って、凄そうな王冠やネックレスや杖を装備している灰色のスケルトンがいた。
しかもその傍にはもう一つ大きな魔法陣が浮いていて、そっちにはトーマやイクト君達が乗っている。
「おっ、お前はっ!?」
「師匠!」
えっ、あのスケルトンってリュウの師匠なの?
「我が名はノーライフキングのハルト。リュウの死霊魔法の師にして、そこにいる死霊魔法使い、バナードを導けなかった愚か者だ。元弟子の愚行を止めに来た」
ノーライフキング!? なんか凄いの来ちゃったあぁぁぁっ!?
トーマさ、一体リュウを呼んだ後で何してたの!
あとイクト君。雰囲気壊れるから、おーいとか言いながら笑顔で手を振らないで!




