協力体制
吸血鬼の姐さんって呼ばれてる、女性の料理プレイヤーがいるのは知ってる。
今までに会った料理プレイヤーとの話の中で聞いたことがある程度だけど、この人がそうなのか。
「ほらこれ、吸血鬼の証拠」
そう言って口を開いて端を指で引っ張ると、鋭い牙が生えてるのが見えた。
吸血鬼は長い耳とその牙が、種族的な特徴らしい。
「セツナっていうのか。改めて、何故か赤の料理長って呼ばれるようになってるトーマだ」
「ハッハッハッ、アンタもその口かい。お互い、なんでこんなことになってんのかね」
「まったくだ。俺はただ、仲間達のために飯を作ってるだけなのに」
「アタシもだよ。仕事とは関係の無い、思うがままの好き勝手に料理を作ってるだけだってのに」
今の言い方からすると、セツナは料理関係の仕事をしてるのか?
「どうやらアンタとは話が合いそうだ。是非、じっくり話し合いたいね」
「俺もだ」
料理関係の仕事をしてるなら話を聞いてみたい。
そう思ってたら、強気に接してたミュウリンが落ち着かない様子で近づいてきた。
「あ、あの、そのう……。知らずとはいえ、赤の料理長へ生意気な口利いて悪かったッス!」
ソワソワした仕草を挟み、手を膝に置いて腰を落として頭を下げられた。
これ、初めてイフードードーと会った時にされた挨拶とそっくりだな。
「生意気言って、ていうのはどういうこと?」
拳を強く握るのを見せながら、目の据わったメェナが尋ねてきた。
そういえばダルク達はモンスターと戦ってたから、あの言動を見聞きしてないんだよな。
「あらあら。内容によってはただじゃおかないわよ」
「謝るほどのこと、なんだよね?」
「さあ、君の罪を明らかにしろ」
「ひいいぃぃぃっ!?」
なんで言われた俺よりもダルク達の方が怒ってるんだ。
あまりの迫力にミュウリンが怯えてるぞ。
「ますたぁをいじめるひと、ゆるさない! すらっしゅも~ど!」
イクトまで怒って右手をカマキリの鎌に変えてるし。
「ご、ごめんなさーい! ごめんなさーい! 自分、最近赤の料理長のファンになったばかりの、にわかファンなんッス! 実際に会ったことが無いとはいえ、赤の料理長のファンなのに気づかなくて生意気な口利いて悪かったッス! ごめんなさーい!」
怒りのダルク達とイクトを前にしたミュウリンは、全力で土下座して必死に謝りだした。
というか俺のファン?
赤の料理長とか呼ばれてるのは知ってたけど、そんな人もいるんだな。
「その割にはセツナを姐御って呼ぶんだな」
「自分、姐御のファンでもあるんッス! さらに言えば、人生の師として尊敬もしてるッス!」
だから注意されて素直に謝ったのか。
「へえ。にわかとはいえファンなのに、トーマに気づかず無礼を働いたんだね」
「まあまあまあ。これは制裁決定かしら?」
「にわかと言えど、ファンにあるまじき失態」
「装備が変わったわけでも種族進化したわけでもないのに気づかないなんて、にわかとはいえファン失格よ」
「よくわかんないけど、ますたぁにひどいことしたの、ゆるさない!」
「うひいぃぃぃぃっ!?」
謝ってるのに余計に怒らせちゃったよ。
ダルク達とイクトの迫力に押されて怯えるミュウリンには悪いけど、ファンなら顔と外見ぐらい把握しておけよって話だな。
だけど意図せずして遭遇したら、気づかなくても無理はないとも思える。
顔を覚えられるほどメディアに多く出てる芸能人ならともかく、このゲームでの俺は特にそういうのは無いしな。
「ハッハッハッ。アンタ随分と大事にされてるじゃないか」
「笑い事じゃないだろ。早く止めないと」
仲裁に入ろうとしたらセツナに肩を掴まれた。
「待ちな。ちょっとでも気に食わないと思ったら、碌に何も考えず口に出してむやみやたらに噛みつく悪癖のあるアイツには良い薬だよ」
そういうもんなのか?
まあ自分も戦ってないのに、戦わない俺にメンチ切ってきたのは確かに気分が良くなかった。
だったらここはセツナの言う通りにするかな。
「おーい、皆」
声を掛けたらダルク達とイクトがこっちを向き、強気だった態度を欠片も感じないほど怯えてるミュウリンは、助けてくれるのかと思ってるのか希望の籠った眼差しを向けてきた。
だけど悪い、その希望は存在しないんだ。
「セツナが良い薬だって言うから止めないけど、移動中だしまたモンスターが出るかもしれないし問題行動で運営に目を付けられるのは嫌だから、手短かつほどほどにな」
「「「「「は~い」」」」」
「あぁぁぁぁぁっ!」
希望が絶望に急転直下したミュウリンが叫び声を上げた。
これも自業自得、俺もさっきの態度はちょっと気分が良くなかったから腹を括ってくれ。
それから約十分ほど、正座させられたミュウリンは武装したダルク達とイクトに全方位から囲まれ、圧を掛けられ続けた後に涙目状態で解放された。
ちなみにその間、俺はセツナとその仲間達と話をした。
なんでもセツナ達もサードタウンジュピターへの移動中らしい。
戦闘をしてた四人は冒険者ギルドで受けた依頼で、セツナとミュウリンは知り合いに会うため。
先日の公式イベントで知り合った仲ということもあり、セツナ作の飯と服飾職人をしてるミュウリンからの装備品をお礼に四人は護衛を引き受けた。
ところがその道中であの五体のデカいトカゲ、ジャングルオオトカゲに遭遇。
この辺りでは一番強いモンスターで四人にはキツイ相手だけど、出現率が低いからそうそう遭遇はしないだろうと高を括ってたと、今になって後悔してるそうだ。
そういったことを戻ってきたダルク達へ説明すると、ダルクから一つ提案が出た。
「そういうことなら、僕達と一緒に行動しないかい?」
ダルクの提案にセツナの仲間達が顔を見合わせて頷きあうと、魔法使いの男性プレイヤーが進み出た。
「むしろこっちからお願いしたい。またジャングルオオトカゲと戦闘になったら俺達だけじゃキツイし、今の戦闘で回復アイテムもだいぶ消耗してるんだ」
まだ町までは距離があるし、出現率が低いとはいえジャングルオオトカゲとまた遭遇する可能性がある。
そんな状況で回復アイテムが心もとないのは不安だろう。
こっちは水出しポーションに余裕があるから、場合によっては分けてもいいかもしれない。
「消耗品を貰ったら代金は払うし、お礼にドロップアイテムの一部を分けてもいい。だから協力してほしい」
向こうからのお願いにダルク達は顔を見合わせて頷き合った。
「オッケー、協力しよう。よろしくね」
「ああ、ありがとう」
ダルクと魔法使いの男性プレイヤーが握手を交わし、協力体制が結ばれた。
するとイクトが歩み寄って来て、脚へしがみついてこっちを見上げる。
「ますたぁ。このひとたちといっしょにいくの?」
「そうだぞ。ほら、ちゃんと挨拶しな」
「はーい。いくとです、よろしく」
脚から離れたイクトが笑顔で頭を下げて挨拶すると、ミュウリンと弓矢使いの女性プレイヤーが「はうっ」とか言って頬を赤くした。
「聞いてた以上に可愛い……」
「うす。聞いてた以上に破壊力を秘めた可愛さッス」
聞いてた以上って、どこで誰にどんなイクトの話を聞いてるんだ。
そしてイクトが弟可愛くて、時折息子可愛いのは否定しない。
「ああ、よろしくな。ちゃんと挨拶できて偉いな」
「えへへぇ」
ニカッと笑ったセツナがイクトの頭をガシガシ撫でる。
ちょっと乱暴だけど嫌がる様子は無く、むしろ嬉しそうにしてる。
「それじゃあ、行きましょうか」
鶴の一声ならぬメェナの一言で移動を再開。
イクト以外の戦闘職の面々は、それぞれの戦闘スタイルを共有して戦闘についての打ち合わせをして、俺はイクトと手を繋いでセツナと料理の話をする。
「るんたらったらんるー、はんふるったらー♪」
どちらの話にも加われないミュウリンが緩んだ表情で見つめる、イクトの微妙な歌をBGMにしながら。
「でな、コンの実を切り分けてオーブンで固さが出るまで焼いたのを割るんだよ。でもって切った時に出た果汁と牛乳を混ぜて味を調整したのを掛けて、コーンフレーク的なのを作ったんだよ」
コンの実のコーンフレークか。
切った時に出る果汁を牛乳と合わせるのなら、味も期待できそうだ。
味の調整は砂糖と、隠し味に塩くらいかな。
生鮮の包丁を使わないと生じゃ味がしないけど、そうやって調理すれば味はするもんな。
「なるほどな。だったらそこに細かく切ってスキルで乾燥させた、シュトウを加えるのはどうだ?」
「シュトウのドライフルーツか、いいなそれ。どうせならサンの実も乾燥させて加えられねぇかな」
サンの実ね。
乾燥させたら酸味がどうなるか次第だな。
いや、待てよ。
「サンの実を使うなら、塩レモンの手法を応用すればどうだ?」
前に瑞穂さんが簡単だからと作って持ってきた時、作り方を教わったことがある。
「おぉっ、いいじゃねぇか。熟成瓶に切ったサンの実と塩を入れておけばできるだろうから、用を済ませたらさっそく試してみるぜ」
俺もアスクの下へ行く用事を済ませたら、ドライシュトウと塩レモンならぬ塩サンの実を作ってみよう。
発酵瓶を使うセツナと違い、発酵スキルを使えばあっという間だ。
「良い感じに作れたら、刻んでクッキーの生地に加えてみてぇな」
「俺は蒸しパンでも作ってみるかな」
「レモン風味の蒸しパンか。だったらケーキ系もありだぜ」
甘いものに加える以外に、肉と一緒に調理することもできるから割と使い勝手がいいよな。
「そうだ。あることで生クリームを入手したんだけどさ、それに刻んだのを加えてもいいんじゃないか?」
「いいじゃないか。となるとシュークリームか、パンケーキに乗せるか」
南蛮漬けに添えてもいいだろうし、生鮮なる包丁を手に入れて生食できるようになったら、生でも食える肉か魚のマリネに添えてもいいかもしれない。
「ちょっとさー、美味しそうな話を延々としないでよ! 満腹度はまだ余裕なのに、お腹空いた気分になっちゃうじゃん!」
急にこっちを向いたダルクの文句に、戦闘職の面々とミュウリンが揃って頷く。
んなこと言われても困る。
むしろお前達の食事情のため、こうして話してるんだから文句を言うな。
「ますたぁ、どれつくるの? いくと、あまいのがいー」
「トーマ君! 私も甘いものを要望するわ! どれでもいいから甘いものを作って!」
手を繋いでるイクトが甘いものを要求すると、それに便乗する形でカグラも甘いものを要求してきた。
はいはい、分かったよ。
せっかく生クリーム買ったんだし、何か作るよ。
「あっ、モンスターの気配よ」
メェナがそう言うと和やかな空気が引き締まった。
「数が多いから、油断しないで」
戦闘は避けられないみたいだから、手を放したイクトは左手をサソリの鋏に変えて前へ出て、俺とセツナとミュウリンは後ろに控える。
相手の数は多いとはいえ、なんとか頑張ってほしい。
そう思ってたら……。
「カエル嫌だあぁぁぁぁっ!」
イボイボのある真っ赤な体色をしたカエルの集団、グンタイポイズンフロッグに遭遇したものだからダルクが一目散に戦線離脱した。
というか俺に飛びついて肩に上って逃げようとするな、ハラスメント警告出てるから!
さらにその次の戦闘では。
「ザリガニいやあぁぁぁぁぁっ!」
沼地付近で遭遇した全長50センチくらいのザリガニの集団、レギオンマッドザリガニにメェナが戦線離脱して俺の背中に隠れた。
そしてさらに……。
「虫こわいぃぃぃぃっ!」
こういうジャングルならいると思ってた虫系モンスターが出現。
しかも巻きつくようにして木を上り、枝から枝へ素早く移動する蛇のようなデカいムカデだ。
名前はアナコンダセンチビート。
虫嫌いなセイリュウが特に嫌いなムカデだから、遭遇と同時に回れ右して戦線離脱。
ていうか嫌なのは分かってるから、抱きつくなって!
あーもう、またハラスメント警告出てるし!
「あっはっはっ。面白い子達じゃないか」
「こっちは面白くないですけどね」
戦闘自体は勝ったし、向こうの戦闘職の方々は気にしないでくれてるとはいえ、ハラスメント警告を出してくれた二人にはしっかり注意をしておいた。
しかし、どうしてこうもうちのメンバーが嫌いな対象との遭遇が連発するのか。
そういう意味では、セツナの仲間達と協力体制を築けて助かったよ。
でないと戦闘がどうなっていたことか。
「うふふ。皆、大変ね」
とか言って余裕の笑みを浮かべてるカグラも覚悟しておけ。
もしもお前が生理的に無理なミミズのモンスターと遭遇したら、その余裕の表情が一変するぞ。
……今のでフラグが立ってないよな?
「ますたぁ。いくと、がんばってる?」
「ああ、よく頑張ってるぞ」
サードタウンマーズからずっと、俺の代わりに戦ってくれてて感謝もしてる。
お陰でレベルが上がって、俺がレベル22でイクトはレベル19になった。
「えへへぇ」
褒めてやったら嬉しそうにクネクネして、触覚とレッサーパンダ耳がピコピコ動く。
そんなイクトの様子に、ミュウリンと弓矢使いの女性が見とれてる。
「サードタウンマーズへの帰りは、絶対に転移屋使う!」
「同感だよ! こんな所、二度と通りたくない!」
「そうなるとちょっと出費がかさむから、少しサードタウンジュピターに滞在してお金を稼いでおきましょう」
嫌いな対象と遭遇したとあって、三人の意思は硬そうだ。
サードタウンジュピターで金を稼ぐなら包丁の入手が遅れるけど、またここを通ろうとは言えない。
まっ、仕方ないと割り切ろう。
「しかしレギオンマッドザリガニだっけ? あんなにいたのに食えるものを落とさないんだな」
「まったくだよ。ドロップは殻と脚とハサミばっかで、身肉も詰まっちゃいないときた」
一体一体はさほど強くないとはいえ、五十四体もいたのに入手したのはこの三種類だけ。
ひょっとしたらハサミの部分にはと思ったけど、情報に身肉は無いと表示されてた。
だから防具とか武器とか、そういった物の素材にしかならないんだろう。
いやでも、ひょっとすると。
「出汁、取れないかな?」
「はあ?」
「前にスケルトンボアの骨でスープを作ったんだ。同じように、殻で出汁が取れないかと思って」
推測を口にしたら、セツナはニヤリと怖さのある笑みを浮かべた。
「面白そうじゃないか。やってみる価値はあるね」
「でも、姐御は戦闘に参加してないから殻が無いじゃないッスか」
ミュウリンの言う通り、テイムモンスターのイクトが戦闘に参加してる俺と違ってセツナは戦闘に一切関わってないから、モンスターを倒して得る経験値も金もアイテムも入手してない。
だから殻どころか、脚もハサミも入手してない。
「それもそうだね。……なあトーマ?」
獰猛な笑みを向ける理由はなんとなく分かる。
「殻を分配することへの謝礼は?」
「察しが良くて話が早いのは取り引き向きだが、女からすれば急かす男は賛否が分かれるぜ」
どうしてそこでそんな話をするんだ。
取り引きの話をしてるんだから、前半部分だけでいいじゃないか。
そして先を歩くダルク達は、何故か固まってこそこそ内緒話を始めたし。
「分かったよ。で、謝礼は何を出すんだ?」
「あいつらへの礼として渡す飯とは別に、アタシの焼いたクッキーが百ある。殻か脚かハサミ一つにつき、三枚出そう。どうだい?」
金でも素材でも食材でもなく、そうきたか。
というかクッキーを持ってるのはともかく、なんで百もあるんだ。
「渡します渡します! トーマ君に使ってもらう分を除いて、渡せるだけ渡しますのでクッキーください!」
甘いもの好きなカグラが当然の如く食いついてきた。
凄い迫力でダルクとセイリュウと俺に交渉して、レギオンマッドザリガニの殻と脚とハサミを合計二十個渡し、お礼としてセツナ作のクッキー六十枚を受け取った。
山分けにしなかったのは、こっちの方が人数が多い分、材料の数が必要だろとセツナに言われたからだ。
「うふふふふっ。あの吸血鬼の姐さんが作ったクッキーが手に入るとは思わなかったわ」
嬉しそうなカグラだけど、まさか一人で食おうなんて考えてないよな?
ゲーム内ではどれだけ食べられると言っても、六十枚もあるんだぞ。
「さぁて、どんな出汁が取れるか楽しみだぜ」
「よかったッスね、姐御」
同じく嬉しそうな表情を浮かべるセツナにミュウリンが追従する。
でもカグラとは大違いの怖さがその笑みにあって、その筋の人が違法な物を入手したかのように見える。
「美味い出汁が取れたら何作ろうかね」
だけど、料理をするのが好きだって伝わってくる笑みだ。
おそらく頭の中では、出汁を取れたら何を作るか色々と考えてるんだろう。
「なあ、もしも美味い出汁が取れたらトーマならどうするよ」
「そうだな……。普通にスープに仕上げるのもいいけど、トロミを付けてあんかけ風の料理に使ってみたいな」
あんかけ焼きそば、皿うどん、八宝菜のような炒め物。
他にも小麦粉をこねる時に入れる水やお湯の代わりにして、直接味を付けた麺にしても良い。
「あー、ネンの実を使ってな」
「他には油で煮て香りと旨味を移して、その油を炒め物に使うとか」
「そう使うんなら、アヒージョに使うのもいいんじゃねぇか?」
その手もあったか。
殻とかから抽出した旨味と香りのある油で、ニンニクとかを煮込んでさ。
ニンニクと唐辛子はアイテムボックスにあるし、パンを添えれば油も味わえるよな。
「うわー! またそういう話をするから、絶対に現実の僕は空腹になってるよ!」
ダルクの嘆きにイクト以外の戦闘職の面々が揃って頷いてるけど、そんなの知ったことか。
ここで食う飯のためにこういう話をしてるんだから、文句を言われる筋合いは無い。
「くっそー! こうなったら思いっきり戦って気を紛らわせてやる!」
「ちょうどモンスターの気配があるわ、やっちゃいましょう」
『おーっ!』
雄叫びのような声を上げるほど、気を紛らわせたいのか?
「? おー」
後からイクトも声を上げたけど迫力は無く、むしろ何かの遊びのようにやってる。
何より直前に首を傾げてるから、ダルク達がどうして声を上げたのかも分かってないんだろう。
そうして憂さ晴らしの標的にされたモンスター、ステップパンサー三体はあっさり倒されて金と毛皮と経験値になった。
こんな感じで戦闘職の面々に気合いが入ったこともあり、遭遇したモンスターはサクサク倒されていき、移動は順調すぎるぐらいの勢いで進んだ。
その結果、道中のセーフティーゾーンで昼飯を食う必要もなく、昼前にはサードタウンジュピターへ到着した。




