終わりじゃなかった
今回のログイン最終日となる三日目、サードタウンマーズで最初の朝を迎えた。
今日は予定から一日遅れたものの、チェーンクエストで目指してる調理用の器具と魔道具を売る店へ行く。
でも開店時間までまだ余裕があるから、先に朝飯にしよう。
「トーマ、早く朝ご飯にしよ!」
「こら、そんなに急かさないの」
「まだ満腹度も給水度も少し余裕があるわよ」
「でも早く、昨日仕込んでたのを食べたい」
「ますたぁ、おなかすいた」
でないと腹ペコガールズことダルク達と、両手を腹に当ててるイクトが騒ぎかねない。
そういうわけで昨夜に泊まった宿を出て皆で作業館へ向かい、パンを焼くために受付でオーブンを借りて作業場へ移動。
こんな早い時間から、何かしらの生産活動に取り組んでるプレイヤー達を横目に借りた作業台へ行き、朝食作りのための準備をする。
「んしょ、んしょ、よいしょ」
イクトが踏み台を持ってきてる間にズッキーニとピーマンとナスを出し、ズッキーニとナスは厚めの半月切り、ピーマンは太めに切り分ける。
「それはどうするの?」
「肉の付け合わせにするんだよ」
椅子を持ってきて座るダルクの問いかけに説明をして、切り終えた野菜をボウルへ移す。
次はヨーグルト床入りの熟成瓶を出し、その中から昨夜に漬け込んだ鶏の胸肉を取って用意しておいたバットへ置いておく。
「それやくの?」
いつもの如く踏み台に乗って隣から調理の様子を見てるイクトが、香辛料が混ざったヨーグルトまみれの肉を凝視する。
「そうだぞ。でもその前に、やることがある」
切った野菜を入れたボウルの上で熟成瓶を傾け、中のヨーグルト床を野菜へかけてしっかり絡ませる。
「えっ、それを野菜に絡ませるの?」
「昨日調べたやつには、こういうのが載ってたんだ」
肉を漬け込んだ後のヨーグルト床を野菜へ絡ませ、肉と一緒に焼いたものを付け合わせにする。
それが今から作る料理だ。
だけどまずは味見用に野菜を一種類ずつと肉、それとパン生地も一つ焼いてみよう。
昨日仕込んだチーズナン的な平パンの生地をオーブンに入れて焼き、その間にフライパンに油を敷いて熱し、肉と野菜を順番に乗せて焼き上げる。
「なにこの良い香り――」
「昨日仕込んでたっていう――」
「チーズとヨーグルトの焼ける匂いが――」
肉と野菜にしっかり火が通ったら完成。
皿へ盛りつけて、先に焼き上がったパンをオーブンから出す。
鶏胸肉のスパイスヨーグルト漬け焼き 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:3 品質:8 完成度:86
効果:満腹度回復39%
HP最大量+30【2時間】 体力+3【2時間】
鶏の胸肉をスパイス入りヨーグルトに一晩漬け込んで焼いた
一晩寝かせたことで調和した味わいを表現
もっと香辛料の種類があって量も多ければタンドリーチキンだった
チーズ入り平焼きパン 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:2 品質:7 完成度:82
効果:満腹度回復10%
魔力+2【2時間】
削ったチーズを生地に混ぜて焼いた平パン
チーズナンのようですが、焼き方が違うので平パンです
しかし味も食感もバッチリなのでご安心を
「「「「「おぉっ」」」」」
『おぉー!』
味見用に作った料理にダルク達とイクトだけでなく、周囲にいる他のプレイヤー達からも歓声が上がった。
見た目は問題無いし香りも申し分ないけど、肝心の味はどうだろうか。
ナイフで切った肉の感触は柔らかく、中にもしっかり火は通ってる。
で、味は……美味い。
熟成瓶で一晩寝かせたのもあるんだろう、ヨーグルトの酸味と香辛料の刺激と香りが柔らかくなった鶏の胸肉と調和してる。
野菜の方も、ヨーグルトを絡めて焼いただけなのに美味い。
そしてチーズナン風に作ったチーズ入り平焼きパンも、オーブンで焼いたからナンやイベント中に作った平パンとは違う食感だけど美味い。
「「じー」」
はいはい、味見な。
だけど毎回味見してるイクトはともかく、ダルクは駄目。
「ほらよ、イクト」
「わーい」
「あれ、僕はっ!?」
切り分けた肉と野菜とパンの残りをイクトにだけあげたら、ダルクが驚愕した。
本気で貰えると思ってたのか?
「さて、味見は済んだから皆の分を作るか」
「ねぇっ、僕の味見の分はっ!?」
「やめなさいよ、みっともない」
「おにくもやさいもぱんもおーいしー!」
味見を強請るダルクは止めに入ったメェナに任せ、イクトの美味しい発言を受けながら皆の分を調理していく。
「朝から――」
「すぐにログアウトして飯を――」
「やばっ、調合ミスった。あーっ!」
肉と野菜とパンは焼き上がったらすぐ皿に盛ってアイテムボックスへ入れ、熱々の状態を維持。
そうして全員分を作り終えたら、次は飲み物を用意する。
使うのは牛乳とヨーグルトと一瓶残ってたシュトウジャム、それとサンの実の皮。
「牛乳とヨーグルト? ひょっとしてラッシー作るの?」
「ああ。こういうのにはやっぱりラッシーかなって思って」
作り方を教えてくれた瑞穂さんによると、牛乳とヨーグルトと砂糖を混ぜればいいらしい。
そこへ好みでレモン果汁とかジャムとか、ミキサーにかけた果物とかを加えるそうだ。
ちなみに瑞穂さん、寝坊した朝はそれで済ませてるんだとか。
「シュトウジャムを混ぜるなら、マンゴーラッシーならぬシュトウラッシーね」
そういうこと。
まずはサンの実の皮をオーブンに入れ、軽く焼いてる間にボウルへ牛乳とヨーグルトとシュトウジャムを入れて混ぜる。
ジャムに砂糖を使ってるから、今回は砂糖無しで作ってみる。
もしも甘味が足りなかったら後で砂糖を足そう。
混ぜてる最中にオーブンが止まったから手を止めてサンの実の皮を出すと、熱されたことで発せられる爽やかな香りが辺りに漂う。
「ほわ~」
香りを嗅いだイクトの表情が緩んでる。
「良い香り――」
「柑橘系――」
このサンの実の皮は香りづけに使うため刻み、使う分以外は小皿に盛ってアイテムボックスへ入れたらボウルの中身を混ぜる作業に戻る。
ヨーグルトと牛乳の白とシュトウジャムの黄色が混ざり合い、薄い黄色をした液体が出来上がった。
だけど牛乳が足りないのかドロドロ気味で飲み難そうだから、牛乳をもう少し追加してさらに混ぜる。
「ぐーるぐーるぐるるんるん♪」
相変わらず微妙なイクトの歌を聞きつつ、飲めそうなぐらいにまで調整したらスプーンで取って刻んだサンの実の皮を一つ乗せて味見。
うん、美味い。これならコップで飲めるし、ヨーグルトの酸味とシュトウジャムの甘味のバランスもいい感じだ。
しかも焼いたサンの実の皮の爽やかな香りが鼻を抜けて、後口もスッキリした感じになってる。
「「あー」」
餌を強請る雛鳥みたいにダルクとイクトがこっちへ口を開けてる。
幼い感じのイクトはともかくとして、現役女子高生のダルクは何を考えてそんな行動を取ってるんだろうか。
もはやメェナですら呆れてるし、カグラはニコニコ笑ってるだけだし、セイリュウはどうしようって表情でソワソワしてるだけ。
ひとまずイクトの口には同じ物を用意して食わせてやり、ダルクの口には何も入れてやらない。
「あまくておいしー」
「むー。トーマがケチだよー」
また人をケチ呼ばわりするか。
「そんなこと言ってたら、飯出してやらないぞ」
「ごめんなさい、僕が悪うございました」
分かればよろしい。
すり鉢の中身を人数分のコップへ注ぎ、香りづけにサンの実の皮を一つまみ分散らす。
これで飲み物のシュトウジャム入りラッシーが完成だ。
シュトウジャム入りラッシー 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:2 品質:6 完成度:81
効果:満腹度回復2% 給水度回復14%
知力+2【1時間】
スパイス多めの料理と言えばこの飲み物
ヨーグルトの酸味とシュトウジャムの甘味を牛乳がまろやかにまとめる
浮かせたサンの実の皮の香りが爽やかさを演出してます
先に作った鶏胸肉のスパイスヨーグルト漬け焼きとチーズ入り平焼きパン、そしてこのシュトウジャム入りのラッシーを並べて今日の朝食は完成。
熟成瓶の大きさの関係上、肉と野菜のおかわりは無いけど平パンとラッシーなら多少おかわりがある。
「おぉっ、なんかインド料理の店に来た気分だよ」
「できればここにカレーが欲しいところね」
「お肉と野菜がまとってるソースを付ければ、それっぽいかも」
「肉や野菜を小さく切って、パンに乗せるのも良さそうね」
「いただきまーす!」
感想を口にするダルク達とは違い、食べるという行動を真っ先に取ったイクトにダルク達も慌てて食べだす。
反応は良好で、もっと辛くてもというメェナの意見には皆も食べるからと反論しておく。
「明日の昼は――」
「チーズナンも美味そう――」
「タンドリーで一杯やって――」
周囲を気にせず思い思いに食事を続け、おかわり用の平パンとラッシーも消費されていく。
もっと辛くしようと呟いたメェナは例の七味的なのを肉へぶっ掛けてるし、満面の笑みのイクトは肉や野菜に付いてるヨーグルトやラッシーで口の周りがベトベトだ。
カグラに至っては残りのジャムを要求して、チーズ入り平焼きパンに塗ったりラッシーへ追加で混ぜたりして甘味を強化してる。
これで完全にシュトウジャムは尽きた。
コンの実やシュウショウも尽きかけてるし、近いうちにガニーニのところへ行かなくちゃな。
「「「「「ごちそうさまでした」」」」」
「おそまつさまでした」
今回も綺麗に食べ尽くしてくれたな。
さあ、後片付けが済んだら目的の店へ行こうか。
*****
チェーンクエストのラストと思われる、フィシーって魚人族が経営する調理具店。
ダルク達を伴ってそこへ向かうと、店の前には冷凍蜜柑とメアリーとエクステリオの姿があった。
「よう、待ってたぜ」
こっちに気づいた冷凍蜜柑が声を掛けてきた。
「どうしたんだ、こんなところで」
「まーふぃんから連絡を貰ってな。証が本当にトーマの言ってたギルド認定証なのか、直に確かめに来たんだよ」
そういうことか。
先んじて訪ねて何も買えなかった手前、結果が気になるんだろう。
とりあえず三人とは初対面のイクトに挨拶をさせ、簡単に三人を紹介したら入店。
店内は町の小さな家電屋みたいな雰囲気で、棚には色々な調理器具が置かれてる。
「どちらさんだい」
カウンターにいるのは、耳の辺りにヒレがあって頬や腕に鱗がある気難しそうなNPCの中年男性。
客商売だっていうのに仏頂面をしてて、ぶっきらぼうな口調で声を掛けてきた。
表示された情報によると、あの人がフィシーのようだ。
「ミヤギさんから、これを預かってきました」
アイテムボックスからイノシシの燻製肉を出し、カウンターの上に置く。
「ほう、あいつからか。そりゃご苦労さん。これを頼まれる前に、面倒な用事を押しつけられただろ」
「そちらはアスクっていう、蛇人族のお医者さんのお陰でなんとか」
「おぉっ、アスクと会ったのか。あいつは俺の自慢の甥っ子でな」
仏頂面だったフィシーが得意気な表情になって、自慢話を始めた。
これは長くなるかと思いきや、すんなり話が終わってくれてホッとする。
「はっはっはっ、今日は気分が良いぜ。肉を届けてくれた礼に、店の物を売ってやってもいいぞ。ただし、お前が証を持ってることが条件だ」
きた。ここからが大事なポイントだ。
アイテムボックスから料理ギルド認定証を出し、フィシーへ見せながら尋ねる。
「証っていうのは、これのことですか?」
さあどうだ?
「ほう。お前、証を持ってるのか。なら文句は無いな、物を売ってやるよ」
よっしっ!
思わずガッツポーズしてしまい、後ろでは冷凍蜜柑達がやっぱりそれだったかと小声で話してる。
「まだ木だから大した物は売ってやれねぇが、そこは勘弁しろよ」
うん? まだ木ってどういうことだ?
「それって、どういうことなんですか?」
「知らねぇのか? 証にはランクがあって、木の証は最低ランクのものなんだ」
これランクあったの⁉
思わぬ新情報に冷凍蜜柑達だけでなく、ダルク達まで動揺して戸惑ってる。
動揺してないのは、よく意味を理解してないイクトだけだ。
「ランクって、どうやってあげるんですか?」
「そこまでは知らねぇよ。料理ギルドで聞きな」
それもそうか。早速、この後で行って聞いてみよう。
「で、何を買う? 売れるのはこれくらいだぞ」
目の前に購入可能な調理器具と魔道具が表示された。
値段は高いけど、作業館からの道中にダルク達から食事の向上用として金を受け取ってるから問題無い。
はてさて何があるか。
「うおっ⁉」
マジかこれ。
「どうした? 何があった?」
よほど気になるのか冷凍蜜柑が迫ってきて、その後ろにいるメアリーとエクステリオからも圧を感じる。
「一口型の魔力コンロ、小型だけど魔力オーブンと無限水瓶、それと魔力ミキサーと魔力ハンドミキサーがある」
「「「おぉぉっ!」」」
「わっ!」
購入できる魔道具を読み上げたら冷凍蜜柑達から歓声が上がってイクトが驚いた。
他もいいけど、ミキサーは絶対に欲しい。
これがあればスムージーやマヨネーズの類が作りやすくなるし、大抵の物は細かくできる。
というか魔力コンロや無限水瓶を買えば、野外でも調理できるじゃないか。
「調理器具は何があるの?」
「えっと……おいおい、蒸籠に網焼き器におもり式の圧力鍋があるぞ」
「「「おぉぉぉっ!」」」
「ふわっ⁉」
また冷凍蜜柑達から歓声が上がり、触覚とレッサーパンダ耳と体がビクッて跳ねたイクトが引っ付いてきたけど、歓声を上げた気持ちはすごく分かる。
だって蒸籠があれば鍋とザルを併用して代用しなくとも蒸し料理が作れるし、圧力鍋があれば固い肉を柔らかく調理したり魚を骨ごと調理したりできる。
他にも包丁やら普通の鍋やらもあるけど、この二つは絶対に確保したい。
「どうする? 何か買うかい?」
「買います買います。これとこれとこれと……」
現状は作業館以外で調理する予定は無いから、魔道具はミキサーとハンドミキサーを、調理器具は蒸籠と圧力鍋をそれぞれ一つずつ購入した。
これで金がだいぶ消えたけど後悔はしていない!
ダルク達も喜んでタッチを交わしてるから、文句は無いんだろう。
「まいどあり。証のランクが上がれば売ってやる物は増やすから、頑張んな」
「分かりました!」
何が増えるのかも楽しみだから、早速料理ギルドへ行って認定証について聞いてこよう。
「ああそうだ、ついでに一つ頼まれてくれねぇか?」
えっ? ここで頼み事?
「お前、アスクと会ったんだろう? 実はあいつ、今度サードタウンジュピターにある診療所を任されることになったんだよ。だから俺からの祝儀を届けてやってくれねぇか?」
このチェーンクエスト、まだ続きがあったのか。
まさかの展開に冷凍蜜柑達も少し戸惑ってる。
これって、前にアスクと会った時のことが切っ掛けになってるのか?
ギルド認定証のことも含めて、まーふぃん達やミミミや玄十郎にも伝えないと。
「勿論、礼はするぜ。無事に祝儀を届けてくれたら、これをやるよ」
そう言ってフィシーが見せてくれたのは、刃の部分に青みがある包丁。
一見すると青みがある点以外は普通の万能包丁に見えるけど、チェーンクエストのお礼にくれるんだから普通の包丁じゃないんだろう。
えっと、これの情報は?
生鮮なる包丁 製作者:NPC・フィシー
レア度:6 品質:7 耐久値:330
器用+40
命への感謝が込められた包丁
これで切った食材は味付けや加熱といったことをせずとも味を感じられる
ただし生食可能な食材に限る
「生食可能になる包丁⁉」
『えぇっ⁉』
「ひゃっ!」
驚きのあまり、思わず叫んでしまった。
皆もその内容に驚き、イクトは皆の声に驚いた。
「本当なの?」
「ああ。生食できるものに限るけど、あの包丁で切った食材はそのままでも味がするらしい」
「うわっ、マジだ」
「凄い、こんなのが手に入るのね」
料理プレイヤーの冷凍蜜柑達だけでなく、ダルク達も目を輝かせて包丁を凝視してる。
そりゃそうだ、これがあれば木の実や果物や野菜を切るだけで味がするんだから。
調理しなくちゃ味がしない、UPOの食事情が大きく変わるぞ。
「どうだ? 受けてくれるか?」
「勿論です! 喜んでお引き受けします!」
こんな包丁が手に入るのに、どこに断る理由があるっていうんだ。
即答で承諾したらフィシーからご祝儀が渡され、届けた証拠としてアスクの手紙を持ってこいと言われた。
それを了承したら店を出て皆で料理ギルドへ向かい、受付にいるおばさん職員に料理ギルド認定証のランクについて尋ねると、快く教えてくれた。
「ランクは全部で五つあって、木の札が一番下。そこから鉄、銅、銀、金と上がっていくんだよ」
ランクが上がれば上がるほど店舗での割引き額が大きくなり、さらには一定のランク以上でしか利用できない店も利用できるらしい。
そして肝心のランクの上げ方は、木の認定証を入手してから稼いだ貢献度で決まるそうだ。
つまり、認定証を貰ったからもういいやとばかりに料理ギルドへ貢献しなくなったら、ずっと木の認定証のまま。
その後も貢献し続けることが大事ってことだ。
ただし、どれくらい貢献度を稼げばランクが上がるかは秘密とのこと。
「うおぉぉっ! マジかっ! それがそんなに重要だったとはっ!」
「こんなことなら手持ちのオリジナルレシピを隠さず、提供しておくんだったわ」
「今から提供すれば認定証は入手できるが、ランクを上げるまで時間が掛かりそうだぜ」
説明を聞き、冷凍蜜柑は頭を抱えて嘆き、メアリーは肩を落として深くため息を吐き、エクステリオは悔しそうに頭を掻く。
その様子にダルク達は苦笑いを浮かべ、イクトはどうしたのと首を傾げてる。
認定証、早めに貰ってて良かったな。
「そう思うのなら、隠さず提供すべきだったね。さて、説明はこれでいいかい?」
「ありがとうございます。ついでに、追加のオリジナルレシピを提供しておきます」
貢献度を稼ぐため、まだ提供してないコンマヨ牛乳パンと新たにオリジナルレシピとして追加されてたシュトウジャム入りラッシーのレシピを提供。
するとおばさん職員が、おめでとうと口にした。
「今のであんたの認定証が鉄に上がったよ」
「「「うわあぁぁぁぁっ!」」」
グッドタイミング!
そして冷凍蜜柑達は嘆きの声を上げた。
「交換するから木の札を返しとくれ」
「お願いします!」
木の認定証を手渡すとおばさん職員は奥へ向かい、すぐに戻って来て鉄の認定証をくれた。
「これからもギルドのために頑張っておくれよ」
「分かりました!」
「ますたぁ、おめでと」
よく分かってなさそうだけど、なにかあったのは察したイクトが祝福してくれた。
続いてダルク達が祝福してくれて、最後に冷凍蜜柑達が悔しさ混じりに祝福してくれた。
さて、このことをまーふぃん達とミミミと玄十郎へ伝えないと。
きっとミミミはまたオーバーリアクションするんだろうけど、見られないのが残念だ。
なお、冷凍蜜柑達はこの直後に隠してたオリジナルレシピを提供し、木札の料理ギルド認定証を入手した。




