いざ試練へ
真っ先に名乗りを上げた塾長に続き、塾長の仲間達とダルク達とギョギョ丸が進み出る。
虫嫌いのセイリュウはこの場に残って、俺の背中に隠れて引っ付いたままだ。
『良かろう。我が眷族達よ、相手をしてやれ』
舞台の上に六つの魔法陣が浮かび上がり、前回と同じ六種類の眷族達が出現した。
「ひっ!?」
巨大なカマキリとカブトムシとサソリとクモとハチと蛾が出現して、小さな悲鳴を上げたセイリュウがより引っ付いてきた。
元々くっ付いてるからハラスメント警告は出ないけど、そんなに引っ付かれると落ち着かない。
「ゆくのである! あの虫共を蹴散らして、佃煮にしてやるのである!」
イナゴじゃないんだから佃煮にしなくていいし、そもそもあんなのを佃煮にしたくない。
俺ならいくら積まれようとも断るね。
舞台に上がった塾長を筆頭とした十人は眷族達と対峙し、見てるこっちにも緊張感が伝わってくる。
『それでは屈服の試練、はじめぃ!』
土地神の合図で双方が激突する。
戦いはすさまじく、眷族達もそれぞれ前衛と後衛に分かれて戦ってる。
前衛に出てるのはみるからに攻撃の要のカマキリとサソリ、そして硬い外殻で攻撃を防ぐカブトムシと素早い動きで撹乱させつつ毒針で攻撃するハチ。
後衛からはクモが糸を放って動きを封じようとしたり、蛾が羽をはばたかせて鱗粉を撒いたりしてる。
「うおぉぉっ! 痺れて動けない上に毒状態だと!?」
舞台の上でヘッドスライディングポーズで動けないギョギョ丸が叫んでる。
毒状態ってことは、少しずつHPが減ってるのかな。
「やばい、混乱くらいました! 攻撃したらごめんなさああぁぁぁいっ!」
同じく鱗粉で混乱っていうのになった塾長の仲間が、説明中に味方を攻撃した。
混乱すると敵も味方も関係無く攻撃するのか。
同士討ちを避けるためか、味方を攻撃した直後に慌てて後方へ下がった。
ダルク達も頑張ってるな。
ダルクはサソリのハサミや毒針での攻撃を防いで、素早い動きで糸や鱗粉を避けるメェナはそのサソリへ攻撃を仕掛け、カグラは舞踏スキルで味方を強化しつつ光魔法で支援や回復をしてる。
「しゃらくさいのである!」
おぉっ、塾長がカブトムシを殴ってよろめかせてる。
さすがは強いと言われるだけのことは……カブトムシが反撃とばかりに角で連続突き!?
しかも塾長は塾長で、それに応えるように連打で応戦してる!?
角と拳が激しくぶつかり合う光景に、周囲にいるプレイヤー達が盛り上がっていく。
かくいう俺も、まるでボクシングの試合の終盤を見てるように気持ちが熱くなってる。
だけど現実は無常だった。
徐々に形勢は眷族達に傾き、麻痺と毒を受けてたギョギョ丸がクモに踏まれてやられて、サソリの攻撃を防いでたダルクもハサミに挟まれて持ち上げられてからの叩きつけでHPが尽き、メェナもサソリの毒針に刺されてやられ、やがて塾長の仲間達もやられて人数が減っていくとカグラが無防備になってハチによって倒された。
HPが尽きたダルク達は消え、すぐに舞台の外へHPが1の状態で現れる。
「あーっ、くそっ! やられたっ!」
「ダメージに加えて毒針の追加ダメージ。ふふっ、残りのHPじゃ耐えられないのは当然ね」
「うぅっ。あんなにグサグサ刺すなんて酷いわ。しかも毒受けちゃったし」
悔しそうにしてるダルク達を慰めつつ、塾長とその仲間達の戦いを見守る。
眷族達も倒されて舞台上から消えてはいるけど、形勢は徐々に塾長達の方が不利になっていく。
「塾長、私もそろそろ不味いです。不甲斐なくて申し訳ありません」
残ってるのはHPが半分を切った塾長と、赤くなったHPのバーがほとんど残ってないフドーの二人。
対する眷族はHPが三分の一くらい残ってるカマキリとハチ、HPが赤くなってる蛾とHPが半分残ってるクモの四体。
状況は不利と言わざるをえない。
「安心せい。お前が敗れようとも、わしが仇を討って勝利してみせるのである。ゆくぞ!」
「はい塾長! 最期までお供します!」
決死の表情をした塾長達は戦った。
鱗粉で麻痺したフドーがハチにやられ、そのハチを塾長が倒して仇を討った上に蛾も倒してみせたけど、クモの糸で動きが鈍ったところへカマキリの攻撃を受けて塾長がやられた。
『見事な戦いだったが、まだまだだったな』
土地神がそう言った直後、塾長が舞台の外へHPが1の状態で現れた。
「はっはっはっ! 負けた負けた、見事にやられたのである!」
スキンヘッドの頭を撫でながら豪快に笑う塾長だけど、周囲は塾長達が負けたことにざわついてる。
どういうことかと思いきや、野郎塾の仲間以外と組むレイドとはいえ攻略組でも最強と言われてる塾長とその仲間が負けたことで、屈服の試練の難易度を思い知ったんだろうとメェナが教えてくれた。
『さあ、次はどいつだ?』
土地神の問い掛けに戦闘職のプレイヤー達は怖気づいてる。
それでも進み出ようとしたプレイヤーがいたけど、それに先んじて別のプレイヤーが進み出た。
「次は俺だ! 献上の試練を受けさせてもらう!」
『よかろう。祭壇に献上品を置け』
土地神から返事を貰った男性プレイヤーはステータス画面を開き、一振りの剣を取り出す。
それを祭壇まで持って行って置くと、土地神がそれをジッと眺める。
『ふむ、なかなかの剣だ』
「ありがとうございます!」
おっ、これはもしかしてクリアするか?
『して、何故それを我へ献上する?』
「……はっ?」
『何を以って、その剣を我へ献上するのかと聞いている』
ほうほう、献上の試練は差し出した物に対して合否だけを伝えるんじゃなくて理由を聞かれるのか。
質問されるなんて想定してなかったんだろう、男性プレイヤーは返事に困ってる。
『どうした、我が問いに答えよ。何故、その剣が我へ献上するのに相応しいのだ?』
「えっ、えっと、とても良い出来ですので土地神様に相応しいかと」
『出来が良いから献上するだと? その程度の理由で献上するなど片腹痛いわ』
出来が良いじゃ駄目なのか。
あの剣がどの程度の出来なのか分からないけど、土地神が求めてるのはそこじゃないのか?
『貴様の腕がどの程度なのかは知ったことではないが、これ以上の出来の物はいくらでもあるではないか。先ほど屈服の試練に挑んだ者達の中には、そこの剣を上回る出来の武器や防具がいくつもあったぞ』
そりゃあね、前線で戦う攻略組とやらに分類される野郎塾の面々なら良い武器や防具を持ってるだろう。
しかしこのやりとりを聞くに、出来が良ければクリアってわけじゃない可能性が高い。
ということは、試練のクリアにレア度や品質や完成度は関係無いのか?
それを確認するためにも、あの剣の情報が欲しい。
「うぐぅ……」
『碌な理由も無く我に相応しいなど、片腹痛いわ。その剣を持って下がるがいい』
「はい……」
悔しさを隠せないプレイヤーは、剣を回収してそそくさと戻ってきた。
そしたらプレイヤー達が駆け寄り、剣の情報を確認させてもらってる。
俺もそこへ行こうとしたら、自分が確認してきますと言い残して料理プレイヤーの一人がそこへ加わりに行った。
すぐに戻ってきたそいつが聞いた話によると、あの剣はレア度2で品質3で完成度81とのこと。
「いや、どこが出来が良いんだよ」
「完成度は高い方だけど、レア度と品質低いじゃん」
「そこを見抜かれたから駄目だったのかな」
レア度と品質が低いから無関係だとは断定できないけど、完成度が80越えで駄目なら完成度は無関係の可能性が高い。
他の生産系のプレイヤー達はそこにクリアの突破口を見出して、それぞれが作った品を確認し合ってる。
でも、なんか違う気がするんだよな。
個人的には、土地神が何故これを献上するのかと尋ねてきたことが気になる。
だって土地神は、あの剣よりも塾長達の装備品の方が出来が良いと見抜いてた。
なら出来がどうこうじゃなくて、質問に対する回答が重要なんじゃないのか?
『さあ、次はどいつだ?』
「俺達だ! 屈服の試練を受けるぜ!」
次の挑戦者が名乗り出たけど、今はそれどころじゃない。
土地神が求める理由ってなんだ。
そもそも、これまでの考えが料理の枠に囚われすぎてたんじゃないか?
献上の試練に出すのは武器でも防具でも細工物でも作物でも焼き物でも木工品でも、なんなら演奏や歌や料理でもいいと言ってた。
なのに虫としての好みが影響するとしたら、焼き物や演奏や歌はどうにもならないから虫としての好みはクリア条件じゃない。
ていうか作物だって、特性の肥料を使えば一晩で育つけどレア度と品質が低くなるじゃないか。
なのにレア度と品質が関わったら、肥料の影響でレア度と品質が低い作物しか出せない農業プレイヤーはクリアできない。
だからこれも違う可能性が高い。
「はぁ……」
思わず溜め息が出るほど、料理の枠でしか考えてなかった自分の視野の狭さが嫌になる。
「どうしたの?」
「自分の考えの浅さに呆れてるんだ」
心配そうに声を掛けてきたセイリュウに返事をすると、首を傾げられた。
さて、そうなると相応しい理由とやらがなおさら大事になってくる。
ならそれはなんだ? どんな理由があれば、土地神に相応しい物になるんだ?
「どわあぁぁぁぁっ!」
考えてるうちに屈服の試練は劣勢に陥ってた。
新たに召喚された、種類は同じでもさっきとは違う個体の眷族達が圧倒的に押してる。
やぱり塾長達が勝てなかった以上、他のプレイヤー達が屈服の試練に勝つのは難しいか。
だけど献上の試練で求めれる理由が思い浮かばない。
取って付けたような付け焼刃のでっち上げな理由でいいのか?
いや、それだったらさっきの剣の時になんとかなるはず。
駄目だ、全然考えがまとまらない。
料理を作りたくても、この迷いを消さないとそれが料理に出る。
出す相手は土地神とはいえNPCだけど、迷ったまま料理したくない。
出せない物を求めてるわけじゃなんだ、どんな理由を求めてるか気づいてないだけなんだ。
考えろ、考えろ。
*****
『俺もブライアン隊長と特訓して、屈服の試練に参加したい』
『持ってきた資料では、どちらの試練にも役に立てそうにない』
『神に献上する物ってどんなのだ? なんか謂れのある品とか?』
『生贄を捧げろって言われるよりはマシだよな』
『困った時の神頼みって言うけど、その神が相手なのよね』
『唯一役に立ちそうな情報は、謂れのある品か』
『この場で作ったら、謂れもなにもないぞ』
謂れっていうのは由緒とか事情とか正当な理由とか、そういうのを指す。
だけど献上する物はこの場で作るから、由緒もへったくれもない。
*****
ん? 待てよ。
土地神の言ってる理由が、謂れの意味における由緒じゃなくて正当な理由だとしたら?
つまり土地神が求める自分に相応しい物っていうのは、由緒とか関係無く神に捧げる正当な理由が必要ということになる。
そういうことなら、何故それを献上するのか理由を聞いてくるのも頷ける。
ああ、また自分の視野の狭さを思い知ったよ。
だけど今は後悔よりも、土地神へ献上する正当な理由がある料理を考えるんだ。
でもそんな料理があるか?
今ある材料と設備で作れて、土地神へ献上する正当な理由がある料理なんて。
こういう時は祖父ちゃんと父さんが酔った時にする、料理雑学を思い出せ。
似たような話を何度もしてるんだから思い出せ、俺の脳細胞!
『そういや、あの料理にはこんな話があるんだぞ』
『親父、あの料理じゃなくて料理名を言え』
……あった。
あったぞ、あれなら作れるぞ!
「うああぁぁぁっ!?」
あっ、いつの間にか舞台の上で最後の一人がやられた。
眷族は一体しか倒されておらず、残り五体はまだまだ余裕そうだ。
『なんだ歯応えの無い。次はどいつだ』
「お、俺達が屈服の試練を受ける!」
次のプレイヤーが名乗り出たものの、本人も仲間達も自信無さげだ。
「あらあら。あの人達、もう気持ちが負けてるわね」
「あれじゃあ戦わずして負けてるようなものね」
「それよりも、トーマは料理出さないの?」
「作るの決まった?」
決まったから大きく頷く。
必要不可欠な調理器具自体は調理場に無いけど、代用できる方法は考えてある。
「この考えでいいか分からないけど、決まったから作ってくる」
決まったら善は急げだ。
必要な食材をアイテムボックスへ入れてる料理プレイヤーへ声を掛け、作ろうと決めた料理の材料を集める。
使うのは猪肉と小麦粉とタマネギとハーブと塩と砂糖と油、それと食用のコリキノコ。
コリキノコ
レア度:1 品質:4 鮮度:72
効果:満腹度回復1%
加熱してもコリコリとした食感がする食用キノコ
肩や腰じゃなく胞子が凝ってるんじゃないかと言われてる
肉との相性が良く、一緒に調理すると相乗効果で旨味増幅
ラスト一個のタマネギと残り少ない調味料類を使うのは心苦しいところがあって、使っていいかと確認するように尋ねたら、クリアのために協力するって言ったんだから気にするなと了承してもらえた。
調理場の作業台にそれらを並べ、まーふぃん他数名の料理プレイヤーに準備を手伝ってもらい調理開始。
まーふぃん達にはかまどで火を熾し、水を張った寸胴鍋をかまどに置いてお湯を沸かしてもらう。
俺は小麦粉に水と塩と隠し味程度に砂糖を加えてよくこねて、塊にしたら発酵スキルで膨らませてガス抜き。
生地を包丁で切り分けて寝かせてる間に、猪肉を切って予備に買っておいた包丁を出して二刀流包丁でミンチにする。
これをボウルへ入れたら乾燥スキルで乾かしたハーブを手で細かく解しながら加え、次にタマネギとコリキノコをみじん切りにして加えたらよく混ぜる。
途中で塩と少量の油を加えてさらによく混ぜたら、寝かせておいた生地を厚めに広げて肉を包む。
「料理長、お湯が沸いたぞ」
「なら鍋の上に鉄網を置いてくれ」
「鉄網を? どうして?」
「こいつを置くためだ」
肉を包んだ生地を見せると、まーふぃん達は一目でこれが何か気づいた。
「それ、肉まんですか?」
「そうだ」
醤油じゃなくて塩味だけど、肉と相性の良いコリキノコで旨味を強くすればいけるはず。
無論、これを出す理由もちゃんとある。
「でも蒸し器が無いですよ」
「だから鉄網を置くんだ。もうすぐ包み終わるから、早くしてくれ」
「あっ、はい」
まーふぃん達は協力して鉄網を持ち上げ、寸胴鍋の上に置いた。
その上に肉まんを寸胴鍋の範囲内に並べてる間に、もう一つ寸胴鍋を持ってきてもらう。
肉まんを並べ終えたら、もう一つの寸胴鍋を逆さまにして鉄網の上に乗せて肉まんの上にかぶせる。
「あっ、そうか! こうすれば即席の蒸し器になるのか!」
そういうこと。
火に掛けた寸胴鍋でお湯を沸かし、もう一つの寸胴鍋を蓋代わりにする。
間に鉄網を挟めばそこに食材を置いて蒸し料理が作れる。
「あの、料理長。まさかシャレですか? 虫だから蒸し料理を出すとかそういう」
「そういう意図は一切無い」
むしろ言われて気づいたよ。
誤解を解くため、蒸してる時間を利用して説明。
レア度とも品質とも完成度とも、ましてや使う材料とも違う視点に皆は首を傾げたり、どうだろうと小声で話したりしてる。
違うなら違うで構わない。
だけど他の突破口が思い浮かばなかった以上、今はこれに賭けるしかない。
しっかり蒸したら上に被せた寸胴鍋を外し、蒸しあがった肉まんをトングで皿へ移す。
猪肉まん 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:2 品質:7 完成度:88
効果:満腹度回復21%
HP最大量+20【2時間】 体力+2【2時間】
猪肉を使った肉まん
肉汁は皮が吸ってくれたので旨味が逃げてません
しっかり蒸されたので皮も餡も熱々、冷めないうちにどうぞ
味は……よし。
コリキノコと肉の相乗効果で旨味が出てるから、塩味でも十分に美味い。
すぐに後片付けをしたら土地神へこれを届けよう。
「料理長、後片付けは私達がやっておきます」
「料理長は早くそれを土地神へ」
「これくらい、協力させてください」
いざ後片付けをしようとしたら、既にまーふぃん達が片付けに取り掛かってた。
うん、助かるけどなんか拍子抜けした気分だよ。
でもそう言われて既に取り掛かってる以上は、お言葉に甘えさせてもらおう。
「分かった、頼む」
『任せてください!』
やけに強い団結力に首を傾げつつ試練の場に戻ると、そこは死屍累々だった。
戦闘職らしきプレイヤー達の多くは疲れきった様子で座り込んだり寝転んだりして、生産職らしきプレイヤー達は落ち込んでるのを慰められてる。
今も舞台の上では誰かが戦って……塾長、二戦目ですか?
「……なにこれ」
「あっ、トーマおかえり!」
「それが試練に出す料理かしら? でもなんで肉まんなの?」
ダルク達は無事だったか。
「理由は土地神に説明するからそれを聞いてくれ。それよりもこの状況は何?」
「えっとね……」
メェナによると、戦闘職は悉く眷族達に負けて戦意喪失して、生産職は取って付けたような理由を土地神に論破されて意気消沈とのこと。
ちなみにダルク達も塾長達と屈服の試練をもう一度受けたそうだけど、やっぱり負けて残ってるのは塾長他二名だけらしい。
その塾長達も、たった今カマキリの連続攻撃を受けてやられた。
「どうも回数を重ねると攻撃や行動のパターンが変わるみたいなのよ」
「それに対応しきれなくて、やられちゃった」
「パターンを覚えて対応されるのを防ぐためなんでしょうけど、ちょっと難易度がきついわね」
そりゃあ、塾長がまたやられたって悔しがって地面を叩いてるくらいだからな。
「うぬぅっ! HPが回復次第、三戦目なのである!」
『はい、塾長!』
しかもまだ戦うつもりなのか。
まあいいさ、それよりも早く試練を受けよう。
『次は誰だ。そろそろ飽きてきたぞ』
「俺が献上の試練を受ける」
名乗りを上げて進み出ると、プレイヤー達がざわめいた。
「遂に料理長が」
「頼む、なんとかしてくれ」
「ていうかあれ、肉まんか?」
「野菜や木の実は使わないのか?」
理由は土地神に説明するから、それを聞いてくれ。
『よかろう。献上品を祭壇に置け』
許可が出たから進み、言われた通り祭壇へ肉まんを置く。
『ふむ、料理か。して、何故それを我へ献上する?』
さあここからが勝負だ。
果たして俺の予想は当たってるのやら。
「この料理は肉まんといって、荒神へ捧げて怒りを鎮めたという謂れがあるんです」




