セカンドタウンサウスへ向けて
ダルクがログインしたのは、俺達がログインして二日目の夕方だった。
ログインしたというメッセージを受け取った俺達は、広場へ向かって合流する。
「おっ、待たせー! いやー、なんとか終わらせてきたよ」
「遅い!」
「えっ、え~?」
頬を膨らませて怒るカグラに、笑顔だったダルクは一転して困惑の表情を浮かべる。
落ち着けカグラ。何も知らないダルクに怒っても、それは八つ当たりでしかないぞ。
「なにこれ、どういうこと?」
「えっとね」
俺とメェナがカグラを宥める間に、セイリュウがダルクに説明する。
熟成瓶を作った職人のクラブドの下へ行って、無事に条件を満たして醸造樽等の道具を購入した。
その後で手紙を貰い、それをセカンドタウンサウスの双子のお兄さんへ届ければ果物や木の実が手に入るかもしれないのに、ダルクがログインするまで町を出ないという約束によってすぐに出発できなかったと。
「そういうことか。ごめんごめん」
「もう! もう!」
とても長く感じたであろう、今までの待ち時間の怒りをぶつけるように地団駄を踏むカグラを、メェナと一緒にまあまあと宥める。
その際に揺れてたのは気にしない、気にしない。
「落ち着けよ。致し方ない面もあるだろ」
「そうよ。カグラらしくないわよ」
「だって果物よ! 木の実よ! 甘いものを食べられるのよ!」
ちゃんと調理すればな。
でも生憎と、甘いものはそこまで詳しくない。
ネットで調べてあんこやカスタードクリームなんかは作ってるけど、基本的にスイーツは専門外だ。
だってうちの店、至って普通の町中華だから。
いざとなったらシロップ、というか砂糖水に漬けこむだけで勘弁してくれ。
「悪かったって。すぐに出発するから、勘弁してよ」
「言ったわね! じゃあ今すぐ行きましょう、目指せセカンドタウンサウス!」
気合いの入った様子でカグラが拳を掲げる。
あのさ、もう夕方なんだけど? 今から出発して大丈夫なのか?
「なあ、今から出て大丈夫か?」
どうしても不安だからメェナとセイリュウに尋ねる。
「この辺りのモンスターなら、夜に出るのでも私達には問題無いわ」
「時間的にも、トーマ君を守りながらでも余裕。いざとなったら途中の村に泊まればいい」
どうやら今からの移動は決定的のようだ。
なら俺は何も言わない。
そもそも戦闘は全てダルク達に丸投げだから、何か言うつもりなんて無い。
問題が無いのなら、俺はそれに従って護衛してもらうだけだ。
「でもその前に、ご飯とかポーションとか大丈夫?」
「ダルクを待ってる間にトーマ君が用意してくれたから、問題無いわ」
「お陰でサンの実とネンの実、それとリバークラブとメガリバーロブスターは使い切ったけどな」
川魚や薬草は買い揃えられるけど、今の四つは採取するか倒して得るしかない。
だから使い切ると、狙って入手しない限りは使えない。
「はぁっ!? リバークラブとメガリバーロブスター、使い切っちゃったの!? 僕、食べてないのに!」
いや、メガリバーロブスターはエビマヨとスープで食べただろ。
「安心しろ。作った料理は残してあるから」
「さっすがトーマ! そうこなくっちゃ!」
驚愕の表情から満面の笑みになったダルクは、大きくガッツポーズをして喜びを表現する。
だってそうしないと、お前うるさいだろ。
「ちなみに何作ったの?」
「それは道中でいいでしょ。早く行きましょ」
早くセカンドタウンサウスへ行きたいカグラに引っ張られ、町の外へ出るため門の方へ向かう。
その道中でダルクに作った料理を伝えると、口の端から涎を垂らして我慢できないって表情を浮かべる。
でも今は駄目だ。道中でセーフティーゾーンに寄った時に出すから、今は我慢しろ。
「ねえ、トーマ」
「今は駄目だ、我慢しろ」
「ちぇー、ケチー」
なんとでも言え。
ブツブツ文句を言い続けるダルクをスルーして、ログインしてない間の出来事を伝える。
まずはバフ効果付きの料理の存在が明るみになり、その影響で多くのプレイヤーから勧誘や料理の売買を持ちかけられたり、時には脅されたりしたこと。
勧誘や売買はカグラ達がやんわり断り、脅した連中はセイリュウがGMコールで脅し返し、それでもしつこい連中は遠慮なくGMコールして保安官に参上してもらった。
「うわー、遂にバレちゃったんだね」
「お陰で苦労したわよ」
うんうんと頷きつつ、次はクラブドの下へ行った時のことを話す。
途中で遭遇した天海から話を聞き、さつま揚げを作って条件をクリア。
その時にクラブドから次に繋がる手紙を貰った情報をミミミへ売ったら、「また出費がー!」って叫びながら頭を抱えて身を捩るという、派手なオーバーリアクションを見せてくれた。
ついでにさつま揚げと交換で、天海の魚フライを食べたことを伝えたらズルいと連呼された。
「作って! 今度同じの作って!」
「いや、俺が作ったんじゃないぞ?」
「トーマなら作れるでしょ!」
まあ作れないことはない。
ひとまず機会があれば作ると返して宥めたら、続きを話す。
使い道に困るランダムキノコは全て売ったことは、ふぅんと薄い反応だったけど、南蛮漬けを一晩漬けこんだ状態にする方法を模索したことには食いついてきた。
ちなみに結果は、料理ギルドに預けた場合は時間経過が起きず一晩漬けた状態にならず、熟成瓶に入れておけば漬けこんだ状態にできるのを発見した。
「それ、勿論あるんだよね!」
「次の食事でさつま揚げと一緒に出してやるよ」
「やった! トーマのところの南蛮漬け、美味しいもんね」
「「「確かに」」」
褒めてくれるのは嬉しいけど、店で出してるのは祖父ちゃんか父さんが仕込んだものだから、あれと比べないでくれ。
若干の悔しさを抱きつつ、次は発酵瓶と醸造樽を使ってみたことを話す。
作ってみたのは豆板醤。
茹でて皮を剥いて潰したそら豆と塩と唐辛子を混ぜ、発酵スキルを使わず発酵瓶に入れて発酵させてから醸造樽へ移したら、無事に豆板醤が完成した。
さらにメェナがそれで辛い料理を作ってほしいと言うから、フライドの所で買った規格外品のナスを使って炒め物を作ったことも伝えた。
でも辛いのが苦手なダルクの反応は薄い。
「あっ、そう」
これだけだ。
他には町を出られないしダルクがいつ来るか分からないから、カグラの歌唱スキルやセイリュウの演奏スキルの練習に付き合ったり、俺が料理ギルドや製薬ギルドで受けた依頼に同行してくれたりしたこと。
コーヒープラントから入手したコーヒー豆を、フライパンで炒ってすり鉢ですり潰してコーヒーを淹れてみたけどイマイチだったこと。
いつでも町の外へ出られるよう、食事やポーションの準備をしてたこと。
そしてダルクに早く来てほしいカグラが、ちっとも落ち着かなかったこと。
そういった出来事を話していった。
「あんなにそわそわしてるカグラを見たのは久しぶり」
「何度もステータス画面開いて、ログインしたか確認してたわね」
「うぅ……」
ニヤニヤ顔のセイリュウとメェナに、カグラは気まずそうな表情をする。
俺としては、早くジャムかジュースが欲しいと、残念そうな表情でブツブツ言ってたのが印象的だった。
でもジャムの作り方はネット検索で調べるとして、ジュースはどう作ればいいんだろう。
サンの実の果汁を絞り出すように、切って果汁をボウルへ絞り出して混ぜるとか?
それとも切ってすり鉢かおろしがねですりおろして、スムージーっぽくするとか?
甘さが足りなければ砂糖で補って、飲みやすさは牛乳で割るとかすればなんとかなるとして、それで美味いのを作れるかが不安だ。
「さ、さあ、もうすぐ町の外よ。切り替えていきましょう!」
張りきった素振りで門を指差して早歩きになったけど、明らかに誤魔化した。
そんな見え見えの誤魔化しにも、黙って優しい顔で見守るのが友情ってものだ。
セイリュウとメェナも同じ考えなのか、前を歩くカグラを優しい顔で黙って見守ってる。
「あー、カグラってば恥ずかしいからって誤魔化したー!」
ただし、この空気読まない幼馴染は除く。
「ち、違うわ。誤魔化してなんかないわよ? ふー、ふー」
「カグラって昔から嘘下手だよねー」
同感。だって嘘を言う時は必ず、挙動不審になって目は泳いで吹けもしない口笛を吹こうとするんだから。
「うぅぅ。いいじゃない、甘いものが食べたいんですもの」
「それはカグラだけじゃなくて、僕達もだから。ここでならいくら食べても、体重とかお腹周りとか気にしなくていいからね」
同意するようにセイリュウとメェナが、うんうんと頷いてる。
やっぱりそこは気にするんだな。
だからこそ、ここで俺が作った飯をガツガツ食ってるんだろうけどさ。
そんなやり取りをしてる間に門をくぐって外へ出たら、早くセカンドタウンサウスへ向かうためにモンスターとの遭遇率を下げておくと、カグラが祈祷スキルを使う。
「祓いたまえ~、清めたまえ~」
これを聞くのは二度目だけどなんか気が抜ける。
ともあれ、これでモンスターと遭遇しにくくなったからセカンドタウンサウスへ向けて出発する。
たった今出たセカンドタウンイーストがファーストタウンの東側なら、セカンドタウンサウスは名前から分かる通り南側。
だから一度ファーストタウンを経由することなく、南西方向へ進めば直接行くことができる。
途中にはセーフティーゾーンは勿論、セイリュウが言っていた村と集落が一つずつ発見されてるけど、泊れる場所は村に一つだけある小さな宿のみらしい。
「ちなみにその村と集落には、特別な産業や生産物は無い。至って普通の貧しい農村と集落」
セイリュウよ、貧しいは余計じゃないか?
ゲーム上の設定とはいえ、好きで貧しいんじゃないんだから。
「今はそんな村と集落よりも、セカンドタウンサウスよ。美味しい果物と木の実が、私達を待ってるわ!」
そんな村と集落扱いされた村と集落、ごめんなさい。
それと果物も木の実も、別に俺達を待ってるわけじゃないぞ。
意気揚々と先頭を歩くカグラにそう思いつつ、薄暗くなった道を行く。
祈祷スキルのお陰で順調に進んでるけど、決してモンスターと遭遇しないわけじゃない。
事実、小さな集落の傍を通過して完全に暗くなった頃、三体のスケルトンが地面の中から現れて一斉に襲ってきた。
だけどダルク達がいるから心配は不要だ。
前回の移動中で起きた戦闘と同様、メェナとダルクが前衛に出て、後衛のカグラとセイリュウが俺を守るように立つ。
戦い方も前回同様、舞踏スキルを持つカグラが鉄扇を手に舞を踊って味方の能力を強化して、ダルクとメェナが前衛でモンスターを迎撃し、セイリュウが魔法で二人を支援する。
スケルトンはあまり強くないモンスターなのか、あっという間に倒されてしまう。
「ドロップは何?」
「あまりよくないわね。スケルトンの骨粉ですって」
「僕はスケルトンの背骨だね」
「私はスケルトンの大腿骨」
四人がドロップ品を確認してる。
でも、背骨と大腿骨は武器っぽく加工できそうだけど、骨粉は何に使うんだろうか。
「使い道が無いし、これは売却一択ね」
「そうだねー。あっ、僕レベル上がった」
「私もよ」
どうやらダルクとメェナはレベルが上がったようだ。
ギルドへのオリジナルレシピの提供と依頼の達成でしか経験値を得てない俺とは、だいぶ差が開いたんじゃないかな。
そう思いつつ、ステータス画面を開き、自分の状態を確認する。
*****
名前:トーマ
種族:サラマンダー
職業:料理人
レベル:6
HP:26/26
MP:11/11
体力:15
魔力:10
腕力:24
俊敏:15
器用:28
知力:18
運:7
職業スキル
食材目利き
スキル
調理LV11 発酵LV5 醸造LV2
調合LV5 乾燥LV7
装備品
頭:布のバンダナ
上:布のロングシャツ
下:布のロングズボン
足:革の靴
他:布の前掛け
武器:鉄の包丁
*****
ダルクがログインする前に改めてメェナに確認したところ、サラマンダーはHPと腕力が高くなりやすく、MPと魔力は上がり難い。
レベルアップ時に得られるポイントと称号を得た時のポイントは、ほとんど料理に必要な器用の強化に割り振ってきたから、こういったステータスになっている。
まだポイントは残してあるけど、現状では使い道が無いから残してある。
メェナによると、何か必要なスキルができた時にすぐ習得できるよう、残しておいて正解とのこと。
何に使うかは現状未定だけど、今後のための貯金ようなものと思っておけばいいか。
「トーマ、何してるのさ。行くよ!」
「ああ、分かった」
ステータス画面を閉じてダルク達と移動を再開する。
そうして何度かの戦闘を挟み、セーフティーゾーンで一旦休憩を取ることになった。
理由は勿論、飯だ。
「さあトーマ、出してもらおうか。さつま揚げとか豆板醤の炒め物とか南蛮漬けとか!」
「はいはい、ちょっと待てって」
急かすダルクを宥めながら、まずは南蛮漬けを入れておいた熟成瓶を取り出す。
これ中に入れた物はアイテムボックス内でも熟成する特性を利用して、しっかり漬けこんだ状態になってる南蛮漬けを菜箸で大皿へ移し、瓶を傾けて調味液を全体へ少しだけ掛ける。
カグラ達は前の食事と同じメニューになるけど、美味いから問題無いとのこと。
「はいよ、お待たせ」
箸と小皿を配り、まずは大皿へ移した南蛮漬けを出す。
熟成瓶で漬けこんだ状態になってるから、味が染みてて美味そうだ。
川魚の南蛮漬け 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:3 品質:8 完成度:86
効果:満腹度回復20%
魔力+3【2時間】 知力+3【2時間】
揚げた川魚を酢のようになったサンの実の果汁に漬けこんだもの
熟成瓶で漬けこんだことで、酢がしっかり染み込んで小骨ごと食べられる
一緒に漬けこまれた野菜も良し
*サンの実を絞って果汁を鍋へ溜めて火に掛ける。
*タマネギとニンジンとピーマンを細切りに。
*熱したサンの実の果汁を火から下ろして冷ます。
*川魚を捌いて臭み取りのため塩を振っておく。
*冷ました果汁に水と塩と砂糖を加え、味を調整したら熟成瓶へ入れる。
*切っておいたタマネギとニンジンとピーマンを熟成瓶へ入れる。
*鍋に油を注いで火に掛ける。
*下処理した川魚に浮いた水分を洗い流し、乾燥スキルで表面を乾かす。
*頭と中骨はアイテムボックスへ入れ、油の温度を確認。
*適温になってたら、川魚の身に薄く小麦粉を纏わせて揚げる。
*揚がったら一度網を設置したバットへ移し、油を切りつつ冷ます。
*冷ましたら熟成瓶へ入れる。
*しばらく漬けこんだら完成。
「おー、しっかり味が染みてるね」
「うふふ。揚げたてのサクサク感は無いけど、こういう衣がしっとりしてるのもいいわね」
「サンの実の果汁に漬けこんだお陰で、小骨が柔らかくなって食べやすいのも良い」
だよな、やっぱり南蛮漬けは一晩漬けこんでこそだよな。
「ねえトーマ君。前も思ったんだけど、少しでいいから唐辛子を加えても美味しいと思うわ」
メェナの意見も有りか。
丸ごとじゃなくて刻んだのを入れれば風味付けにもなるし、辛みも抑えられてダルクでも食べられそうだ。
ああ待てよ、だったら乾燥させて刻んだサンの実の皮もありかな。
そうしたことを考えつつ、豆板醤とナスを使った炒め物を出す。
ナスの辛口炒め 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:3 品質:7 完成度:84
効果:満腹度回復19%
腕力+3【2時間】
豆板醤を絡めたナスを主体とした炒め物
辛い中にも野菜の甘みと旨味を感じる
辛い! でも美味い
*タマネギとキャベツを細切りに、ニラは一口大に切る。
*ヘタを取ったナスを皮付きのまま、大きめに切る。
*キャベツの芯も細切りに。
*油を敷いたフライパンを熱して、火の通り難い順に入れながら炒める。
*好みの量の豆板醤を加えて野菜に絡めて軽く炒めたら完成。
これはそれぞれ辛さの好みがあるから、個別に用意した。
辛いのが好きなメェナは辛口、そこそこのカグラとセイリュウは中辛くらい、辛いのが苦手なダルクは控えめに。
間違えないよう配ったら、真っ先にメェナが食べだす。
「かっらあぁぁぁっ! さいっこう!」
紛らわしい。一瞬、辛い物好きでも辛すぎたかと思ったよ。
「これくらいなら僕でも食べられるよ」
「ダルクちゃん、辛いの弱いものね」
「この前の鶏肉の唐辛子炒めで、死にかけてたし」
意地と気合いと根性で食いきったけど、その後でひーひー言いながら水をがぶ飲みしてたもんな。
その時のことを思い出しつつ、取っておいたさつま揚げを出し、さらにもう一品を出す。
「はいよ、これもどうぞ」
川魚の骨せんべい 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:1 品質:7 完成度:80
効果:満腹度回復8%
知力+1【2時間】
川魚の中骨を揚げたもの
しっかり揚げられてるので、骨ごとバリバリ食べられる
おやつ? おつまみ? どっちでもよし
*川魚を捌いた時に出た中骨に、臭み取りのため塩を振る。
*しばらく放置して、浮いてきた水分を洗い流す。
*乾燥スキルで水気を乾かし、熱した油で揚げる。
*しっかり揚がったら油を切り、塩を振って完成。
これはさつま揚げと南蛮漬けを作る時に出た、下処理しておいた中骨を使ったものだ。
さつま揚げに加えて南蛮漬けまで作ったから結構な数が出て、出汁を取るなら頭だけでもなんとかなりそうだったから作ってみた。
骨せんべいっていうと南蛮漬け同様、イワシとかアジをイメージするけど川魚も悪くない。
「揚げ物イエーッ!」
おいダルク、揚げ物ならそういうのでもいいのか?
まあさつま揚げもバクバク食ってるから、いいんだろうな。
「ダルクってば、揚げ物ならなんでもいいわけ?」
「唐揚げ様には劣るけど、揚げ物ならその場でオッケー」
「ダルクちゃんらしいわね」
そんな会話をしてる間に、セイリュウがポリポリポリポリとリスのように食べ続けてる。
気に入ったのか? それ。
「よーし、揚げ物食べてテンション上がったし、この後も張り切って行こう!」
「おー!」
返事をしたのは果物と木の実が目当てのカグラだけで、俺とメェナとセイリュウは苦笑いを浮かべるだけ。
そんな感じでも移動は順調で、祈祷スキルのお陰で戦闘が少なかったこともあって、午前二時頃にはセカンドタウンサウスへ到着した。
そのまますぐに工房へ向かおうとするカグラを引きとめ、宿を確保して睡眠を取る。
さて、今度はどんな条件を出されるやら。




