降臨
山かけうどんによる朝飯は好評で、ストックの麺が全て無くなってしまった。
夢中で食べ続けるセイリュウやイクト達の姿が嬉しくて、つい夢中でおかわりを作りすぎたのが理由だ。
メェナやカグラやポッコロとゆーららんところころ丸も、おかわりをしたがセイリュウとイクト達はそれ以上だった。
「だけど後悔はしていないよ! だって、ここならお腹にお肉が付かないもの!」
ストックが無くなったことを告げた直後は落ち込んでいたセイリュウが、腹部に触れながらそう言い切った。
以前に学校で騒動になりかけたこともあるから、気になるのも仕方ないか。
カグラとメェナとゆーららんも、うんうん頷いている。
だけど、それで良しというわけにはいかないから、次の調理でまた麺を仕込んでおくと言ったらお願いねと凄い圧で頼まれた。
任せておけ。
「あぁー、口の中がバチバチ弾けて、まるで口中に口内炎ができた時のご飯みたいだったよ」
一人千切りバチバチキャベツを食べていたダルクが、渋い表情で頬を撫でる。
口中に口内炎ができた件なら、飯のたびに痛いと騒いでいたから、忘れようにも忘れられず覚えている。
あの時は本当にうるさかったよ。
それでも飯は食っていたし、今も千切りバチバチキャベツを完食しているから、大した食い意地だ。
「さっ、食べ終わったのなら行きましょう。ログアウトの時間まで限られているんだからね」
待て待て、せめて後片付けぐらいはさせろ。
急かすメェナを宥め、食べ終わった食器類を洗って水気を拭き取り、アイテムボックスへ片付けてから出発。
マップに示された社の位置は町の外。
そのため戦闘に備えてダルクとメェナが前を歩き、イクト達が俺とポッコロとゆーららんところころ丸の傍に付き、セイリュウとカグラが後ろを歩く。
「あっ、モンスターが近づいてくるわ。数は五、戦闘準備!」
メェナの掛け声でイクトとネレアが前に出て、後ろにいたセイリュウとカグラは俺達の下へ合流する。
「新しいのが召喚できるようになったから、早速呼ぶんだよ。ソウルバトラー、ソウルアサシン」
おっ、ミコトが死霊魔法で見たことの無いモンスターを召喚した。
外見はカグラぐらいの背丈をした人を模った光で、片方は右手にメイスを左手に盾を持ち、もう一方は両手に短剣を持っている。
顔には何もないかと思っていたら、閉じていただけなのかツリ目気味の目が開かれた。
「お姉ちゃん達、バトラーはダルクお姉ちゃんと似たような戦い方で、アサシンはメェナお姉ちゃんみたいな速くて死角から襲う戦い方をするんだよ」
「へー、なんか強そうじゃん」
「ソウルってことは、魂か何かかしら?」
「アンデッドだからゴースト系なのかな」
「考察は後にしなさい。くるわよ!」
間もなくして現れたのは、ヌンチャクやトンファーや両手に剣を一本ずつ持った二足歩行の狼。
名称はファイターワーウルフか。
「いくよ、メェナ、イクト君!」
「えぇ。チャージ!」
「はーい、しざーも~ど! それとふらいも~ど!」
盾を構えて突っ込むダルクに、体に透明な赤い光を纏ったメェナと、蛾の羽で飛行して左腕を鋏に変えたイクトが続く。
それにミコトが召喚した二体のアンデッドも続き、ソウルバトラーがダルクと共に防御を中心に立ち回り、ソウルアサシンがメェナと共に回避と攻撃を主体に立ち回る。
イクトは空中でかく乱しながら攻撃して隙を作り、そこへネレアが両袖から伸ばした二つの鎖分銅が直撃。
さらにカグラとセイリュウとミコトが、それぞれ魔法やスキルで支援。
数の利もあるけど、なにより向こうは前衛型しかいないのもあり、戦闘はこっちが優勢で進む。
「お姉さん達も強くなりましたね」
「明日から僕達の友達が加わっても、なんとかなりそうだね」
そうだ、土曜日から第二陣が参加するようになるんだった。
俺達の方が晋太郎と山本と狭山、ポッコロとゆーららんの方は友人二人、計五人が加わる。
戦闘職が狭山とポッコロとゆーららんの友人の一人で、残りは全員生産職。
特にポッコロとゆーららんのもう一人の友人には、料理を教えることになっている。
師弟関係じゃなくて、料理が上手になりたい者同士で互いを高め合う感じでやるつもりだから、楽しくやれるといいな。
「ますたぁ、かったよ!」
「ソウルバトラーとソウルアサシン、想像以上に強かったんだよ」
「かーたからほめて」
おっと、戦闘が終了したようだ。
戻って来たイクト達を順番に頭を撫でて褒めてやりながら、表示された経験値やドロップ品を確認。
武器の欠片を入手したけど、持っていても仕方ないからダルク達へ渡すと、これで武器の強化ができると喜ばれた。
「よーし! このまま社へ直行だー!」
上機嫌なダルクを先頭に移動を再開。
途中で数回戦闘をしたり、俺のファンだという女性プレイヤーに握手を求められたり、ミコトのファンだという男性プレイヤーからスクショの撮影を土下座で求められたり、なんてことがあったが無事に社へ到着した。
ちなみに、握手を求めた俺のファンはセイリュウの不機嫌な視線と彼女だという説明を聞いて遠慮したのか退散し、ミコトファンの男性プレイヤーはダルク達に撮影を拒否されて肩を落として去って行った。
「特に秘密の場所、という感じじゃないな」
「そうですね。普通にお参りしているプレイヤーがいますもんね」
社の様子を呟くと、ポッコロがお参りしているプレイヤーの存在を指摘する。
年末年始に宣伝を流すような大社ではなく、近所にあるこじんまりとした神社という雰囲気とあって、通りかかったプレイヤー達が興味半分にお参りしていく。
個人的には仰々しい大社よりも、こういう神社の方が落ち着くから好みだ。
「じゃ、僕達も行こう。トーマ、鱗はあるよね」
「当然だろう」
アイテムボックスへ入れておけば安心安全だから、むしろどうすれば失くすのか教えてもらいたい。
どうせならちゃんとお参りしようということで、鳥居の前で一礼してから中へ入り、手を洗って社の前に立つ。
賽銭箱は置いておらず、チョウウンから受け取った鱗を境内へ置く。
あとは二拝二拍手一拝して――。
「うおっ!?」
拝礼しようとしたら社が輝きだした。
周りも何事かと騒ぎ出し、俺達は眩しさから数歩後ずさる。
輝きは社の上空へ伸びていき雲を突き抜け、長い光の柱となって雲の先へ消えると社の輝きが消えた。
その直後に雲の中から上下に波を打つように長い光が現れ、それから手のようなものや髭が伸び、先端が龍の顔のようになっていく。
「なんだあれ」
「誰だよ、願いが叶う玉を七つ集めた奴は!?」
「そんなわけないでしょう!」
周囲も騒ぐ中、光は完全に龍の姿となる。
薄っすらと発光しているかのようなそいつは、胴体が長くて翼が無く、空中を泳ぐように飛行するアジア圏での龍だ。
『我はこの地を守る土地神、守護龍・天光。龍の血を継ぎし戦士、チョウウンの鱗に応じて降臨した』
女性のような声色と穏やかな口調で喋り出したこいつが、この地の土地神!?
チョウウンの言っていた良い事って、このことか。
土地神が現れたから周囲にいるプレイヤー達や仲間達は、空中に留まる龍を見上げて驚きの表情を浮かべている。
『鱗を捧げたのは、そこの若き火龍か?』
火龍? 火蜥蜴じゃなくて?
ああ、サラマンダーからサラマンドラへ種族進化して、ドラゴンの要素が加わったからか。
「そうだよ、ますたぁがよんだの!」
ふんすと鼻息を吐いたイクトが胸を張って主張する。
いや、イクトだけじゃない。
何故かミコトとネレアも並んで胸を張っている。
『ほう、スタッグガードナーの使徒か。それを連れている上に、あいつとガーディアンバットの祝福まで持っているとは』
一目でイクトを使徒と見抜いたのは、ガーディアンバットの時と同じだ。
そうなるとこいつも、何かしら頼みごとをしてくるのだろうか。
『して、我に何の用だ。若き火龍よ』
何故と言われても、チョウウンからは何も教わっていないし、こんなことが起こるとは思っていなかったから理由なんて無い。
だからといって適当なことを言うわけにはいかないから、正直に言おう。
「チョウウンからは、自分の鱗をここへ捧げれば良い事があると言われただけで、意図して呼んだわけではないのですが……」
少し気まずい気分で正直に伝えると、天光は「はぁっ」と深いため息を吐いた。
『やれやれ、どうせ酔った状態で鱗を渡されたのであろう。あ奴は普段こそしっかりした良き武人なのだが、酒が入ると適当なところがある。龍の血を継ぎし戦士が酒に飲まれるとは情けない。まあ、理由はおおよそ見当がつくがな』
ここまでの流れから、チョウウンと天光が顔見知りなのは分かる。
しかも酒に酔った状態まで知っているとは、それなりに深い仲なんだろう。
「あの、チョウウンさんとはお知り合いなんですか?」
今まで黙っていたセイリュウが、おそるおそる尋ねた。
『まあな。今から十数年前、龍の血を継ぐ戦士として我へ挨拶しに来たのだ。それから年に数回顔を見せに来て、年末年始には酒を飲み交わしている』
やっぱり、それなりに深い関係だったか。
「それで、天光さんと会わせたかった理由はなんですか? 先ほど、見当がつくとおっしゃっていましたが」
『酔ったあ奴から鱗を渡されたのなら、大した理由はあるまい。おおよそ、気分が良いから我に引き合わせてやろうと考えたのであろうよ』
メェナからの質問に天光が答えたが、本当に大した理由じゃない。
天光の言う通りなら、好みの酒を渡されたのも気分が良くなった一因なんだろう。
『次にあ奴と会った時は、キツク言っておかねばなるまい。若き火龍よ、我の知り合いが迷惑を掛けたな』
「いえいえ、気にしないでください」
『そう言ってもらえると助かる。だが、せめてもの詫びを渡そう』
お詫びを渡すってことは、何かをくれるのか?
スタッグガードナーからはイクトの卵を受け取って、ガーディアンバットからは素材を受け取った。
だとしたら、天光は何をくれるんだろう。
『確認するが、共にいる者達はお主の仲間か?』
「はい。この六人と四体のモンスターは俺の仲間です」
天光からの問いかけにダルク達、イクト達、そしてポッコロとゆーららんところころ丸を仲間として紹介する。
『ならば若き火龍とその仲間六名へ、詫びとしてこれを渡そう』
そう告げた天光が体を少し近づけて口を開くと、球体状をした細かい光の雨が俺達へ降り注ぎ、体の中へ吸い込まれていく。
だけど仲間六名と言ったからか、イクト達ところころ丸には光の雨が吸い込まれず、体に当たって消えていくだけ。
直後に、目の前に表示が出た。
************************
≪土地神守護龍・天光からのお詫びを受け取りました≫
プレイヤー・トーマに以下の報酬が与えられます
・ポイント1点
・賞金1000G
他の土地神から与えられた称号の所持による追加報酬が発生しました
・【守護龍の祝福】の称号を受け取りました
************************
おぉっと、こうきたか。
「「「「んなっ!?」」」」
同じ表示がされたのか、ダルク達が驚きの声を上げて表情も驚きに包まれ、ポッコロとゆーららんは声に出さないよう両手で自分の口を塞いでいる。
「んー? いくとなにももらってないよ」
「ねーあもー」
「どうやらマスター達しか受け取っていないみたいなんだよ」
イクト達は何も受け取っていないのか。
ということは、これはプレイヤー向けのものということか。
まあ、内容からすれば当然だな。
効果の方はどうなっているんだろう。
称号【守護龍の祝福】
解放条件
他の土地神の祝福による称号を所持し、守護龍天光と遭遇する
効果:体力と腕力を10%上昇
*小数点以下は切り捨て
やはり頼みや試練をクリアしたわけじゃないから、報酬は無しか。
効果は体力と腕力が上昇する前衛向けだ。
尤も、戦わない俺にはあまり関係無いか。
『このようなものしか渡せぬが、許せ』
「いえいえ、気にしないでください」
素材やアイテムは無いけれど、何もせずにポイントと金を貰えた上に称号まで貰えたのなら文句は無い。
特に前衛のダルクとメェナは称号の恩恵が大きいから、文句を言うはずがない。
『若き火龍よ、龍の血を継ぐ者として精進するがいい』
「は、はい」
精進って強くなれってことか?
でも俺は戦わないから、レベルアップに関しては今後もイクト達に任せよう。
『では、我はこれで失礼する』
最後にそう言い残した天光は、体を光に変えながら一直線に社へ降り、再び社が光に包まれて数秒で消える。
どうやらこの社に祀られているのが天光で、条件を満たすと姿を現すようだ。
「あのさ、ちょっといいか?」
納得して頷いていると後ろから声を掛けられ、振り向くとお参りに来ていたプレイヤー達が押し寄せて来ていた。
なんで? あっ、土地神が現れたからか。
「今の土地神だよな? 何か貰ったようだけど、何を貰ったんだ?」
「素材か? 武器か? アイテムか?」
「どうやってあの龍を呼んだの?」
「何か置いていたけど、あれって何? 入手方法は?」
そして始まる怒涛の質問攻め。
イクト達は怯えて俺に引っ付いてきて、勢いに怖気づいたポッコロとゆーららんところころ丸も俺の後ろに隠れた。
こうなった以上、なんとかして落ち着いてもらうしかないか。
「ちょっと、そんなにいっぺんに言われても困るから」
「落ち着いてくださーい。対応できませんよー」
おぉっ、さすがはメェナにカグラ。
前に出て宥めてくれて助かるぜ。
「せーしゅくに! せーしゅくに!」
ダルク、悪いがお前にその言葉は似合わない。
「土地神の登場なんて完全に想定外だったから、こうなっちゃうのも仕方ないね。あはは……」
乾いた笑いを零すセイリュウの言う通り、天光の登場は完全に想定外だった。
運営よ、どうして人前で登場するような形にしたんだ。
ダルクとメェナとカグラの声掛けで、ようやく落ち着いてきたプレイヤー達を眺めながら少しばかり運営を恨む。
「えーと、じゃあ質問についてだけど――」
周囲が静かになったタイミングで、メェナが場を仕切って話をまとめていく。
結果、今回の件はこっちにとっても予想外の出来事だから、正確な情報を伝えるために情報屋へ一度提供し、そこで検証してもらうことで落ち着いた。
早く情報を知りたいプレイヤーから少々不満そうな声も上がったが、提供先が【UPOインフォメーション】だと伝えると、あそこにならまあいいかと納得してもらえた。
さすがは委員長経験豊富なメェナ、頼りになる。
そして何気に【UPOインフォメーション】の信用が高い。
「ということになったから、誰かに連絡取れる?」
「えっとね……ミミミしかいないね」
詰め寄っていたプレイヤー達が解散していからメェナが尋ね、ステータス画面を開いたダルクが返事をする。
つまり玄十郎もイフードードーもログアウト中なのか。
ここから導き出されるのは当然……。
「うさぎねーねとあうの?」
「またこれ、するの?」
ミミミと会うイコールヘドバンをする、という方程式が成り立っているイクトとネレアがヘドバンする。
今回もやるんじゃないかな、土地神絡みの案件だし。
そしてそれは連絡を取り、シクスタウンチャイナ・ショクへ戻ってミミミと合流し、作業館の個室を借りて昼飯を作りながら情報を提供したことで実現する。
「とーちーがーみーあーんーけーん!」
中国圏に入ったからか、青系のチャイナドレス姿でブンブンとヘドバンする。
その両隣でイクトとネレアが、さらにころころ丸も混ざってヘドバンをしている。
ちなみにミミミは下にスパッツを履いているから、少々激しい動きをしても安心安全だ。
「しかもドラゴンや龍といった系統の土地神は初めてだから、絶対に興味ある人が多いじゃない!」
ファンタジー系が好きな人なら、大抵はドラゴンや龍が好きだろうな。
そうじゃなかったとしても、興味くらいはあるはず。
ヘドバンしながら騒ぐミミミの言葉に頷きつつ、研いだ米を魔力炊飯器にセットして炊飯を開始。
続けて圧力鍋と、カンウから教わった店で買った肉を取り出す。
ホッピングカエルの肉【脚】
レア度:4 品質:7 鮮度:83
効果:満腹度回復2%
驚異的な跳躍力を持つカエルのモンスターの肉
脂はほとんどなくあっさりした味わいだが、少々臭みがある
脚の部分で弾力があり歯応えも強いので、調理には少し工夫が必要
外見は皮を剥いたカエルの脚そのもので、しかも割と大きい。
皆にこのままで大丈夫か確認すると、大丈夫と返されたからこのまま圧力鍋へ入れ、醤油と酒と砂糖少々と隠し味程度に酢を加えておく。
「とにかくカンウの息子達からの依頼をしなくちゃならないのね。検証に協力してくれる料理プレイヤーを複数人探して、茶粥以外の料理でも大丈夫なのか含めて調べて、チョウウンへ渡すお酒についても調べなくちゃ。それと守護龍天光が龍系統の種族の鱗に反応するなら、別ルートが存在する可能性もあるから、それについての調査もして……あーっ! 人手がほーしーいー!」
一度は治まったヘドバン再開。
これまたイクトとネレアところころ丸が混ざり、ヘドバンカルテット再び。
その様子にダルク達とポッコロとゆーららんが笑い、ミコトが無表情うずうずしている姿を見ながら、ジンジャーを皮付きのまま輪切りにする。
これと八角に当たるハカクを圧力鍋の中へ加え、蓋をして火に掛けておく。
ちなみにハカクは臭み消しや風味付けに仕えるけど、香りが強いから少量で大丈夫だ。
「さっきのカエルの肉は煮つけにするの?」
「ああ。臭みはジンジャーとハカクで消して、圧力鍋で柔らかくすると同時に味をしみ込ませるんだ」
皮を剥いた脚をそのまま骨付きで煮込んでいるからそっちの旨味も出るはず。
次は汁物を作ろう。
時間が無いから骨系や乾物系は使わず、転送配達で入手したアツペラワカメを切り分けて水を張った寸胴鍋で煮込む。
昼飯はこの三品にする予定だから、今のうちに他の仕込みをする。
ストックが切れた麺を作るため小麦粉をこね、寝かせている間に二つの熟成瓶に水を張り、次回の飯に使う予定の干しハイスピンホタテと干しロックオイスターを、それぞれ別々の熟成瓶に入れておく。
「ますたぁ、それどうするの?」
おっ、イクトとネレアがいつもの真正面に戻ったか。
ミミミは……慌てふためきながら誰かに連絡を取っているようだ。
「この二つは時間を掛けて戻す必要があるから、こうして水に浸しておくんだよ」
熟成瓶ならアイテムボックスへ入れておいても時間経過がするから、次に使う時には十分に戻っているはずだ。
「時間が掛かるってことは、今日は食べられないんだよ?」
「ざーねん」
仕方ないだろう、そういうものなんだから。
さあて、次はスープ用にネギを切って、パスタマシンで麺を作っていこう。




