飯を作ってるだけなのに
料理ギルドの端の方には、丸卓と椅子が二脚か三脚あるだけの談話スペースがある。
そこに玄十郎と向き合って座り、ボイチャで水出しポーションの件を説明した。
「なるほど、話は分かった。しかし迂闊だぞ、人前でこんな物を作るなんて」
件の水出しポーションを卓の上に置いた玄十郎が、呆れた表情を浮かべた。
「あくまで実験だったんだよ。失敗する可能性だってあったから、美味くなったのは偶然だ」
「まあさっきの説明と、ここまでに集めた情報から不可抗力なのは分かった。だが、ポーションの味の改善は全てのプレイヤーが望んでいたこと、成功したら騒ぎになるのは当然だ」
そう言われても、その成功自体が保証できなかったんだって。
「トーマは既に注目されてるんだ、実験的なことでも気をつけろよ」
「注目? 俺が?」
なんで? 戦闘なんてせずに飯を作っているだけの俺が、どうして注目されるんだ。
「掲示板とか、見てないのか?」
「興味無いから見てない」
「はぁ……」
溜め息を吐いて俯くとか、なんでそんな反応するんだよ。
「トーマが料理をするたびに、それが美味そうだって話題で掲示板が大騒ぎなんだぞ」
ああそういえば、ミミミとゆーららんも掲示板を見てるか聞いてきたな。
確かミミミが言うには、本サービス開始直後でお祭り状態なんだっけ?
「じゃあ、作業場で周りの目が集まるのも?」
「それだけトーマの作る料理が、注目されてるってことだよ」
「マジか」
あれは料理するプレイヤーが物珍しいんじゃなくて、そういう視線だったのか。
「どうしてそうなるんだよ。俺、ただ飯を作ってるだけだぞ?」
「その飯が美味そうだからだよ。ここでの普通の飯、食ったこと無いのか?」
「携帯食料を一回食って、ポーションを一回飲んだだけだ」
「だったら分かるだろ。あんなもんばかり食ってる連中が、どれだけ美味い飯を求めてるか」
確かにあれは、一回試食すれば十分な不味さだった。
無味の料理もあるそうだけど、味が無くて食感だけあるのもそれはそれで嫌だ。
「ぶっちゃけ、トーマが飯屋をやれば秒で客が群がるぜ」
「現状、店を出すつもりは無い」
金を取れる料理なんて、まだまだ数品しか作れないからな。
「そういったつもりが無い理由はミミミから聞いてる。ゲームなんだから、そんな真面目にしなくてもいいだろ」
「ゲームだとしても、そこは譲れない」
料理には真剣に向き合いたいんだ。本職を目指す身として、手を抜くなんてもってのほかだ。
「遊び方は人それぞれだからいいけどさ、気をつけた方がいいぞ。でないと、この水出しポーションの二の舞だぞ」
溜め息を吐いた玄十郎は、右手に持った水出しポーションを軽く振る。
「ところで、そのポーションはどうしたんだ?」
「話を聞いて、薬関係の検証をしてる仲間に作ってもらった」
玄十郎によると、そのプレイヤーはこんな簡単な方法で味が改善されるのかと、頭を抱えて叫んだそうだ。
そうなると、あれはどうなんだろう。
「ちなみにこれはどう思う?」
「うん? 焼きそば……いや、まぜそばか?」
次のログイン用に準備しておいた、ポーションまぜそばをアイテムボックスから出して玄十郎へ差し出す。
「これがどうか……んんんんんんっ!?」
おぉっ。目を見開いて驚きながら前のめりになって、ポーションまぜそばを凝視してる。
驚きの反応が良いじゃないか。
「どうだ? 水出しポーションを生地に混ぜて」
「お前はあぁぁぁっ! 言ったそばから何を出してくれてんだよぉぉっ!」
どうして頭を抱えてのけ反りながら大絶叫するんだ。
ただ回復効果のある料理を作っただけじゃないか。
「なんだ! このポーションまぜそばって!」
「水出しポーションを生地に混ぜて麺を打って、塩ダレを掛けた一皿」
「そういうんじゃなくて、あぁもう!」
今度は頭を抱えて体を前後左右に大きく揺らしだした。
ミミミといい、情報屋って反応がオーバーだな。
そう思っていたら、動きの止まった玄十郎が鬼気迫る表情で身を乗り出し、ポーションまぜそばを指差した。
「これは! 絶対! 仲間! 以外には! 言うなよ! 分かったな!」
そんな強く区切って言わなくとも聞き取れるって。
「分かったよ。というか、仲間としか食うつもりはないって」
「聞いたぞ! 聞いたからな! 絶対に守れよ!」
分かったって。まったく、どうしてこう反応がオーバーなのか
「満腹度の回復だけじゃなくて、バフ効果に加えてポーションと同じ回復効果がある美味い飯。こんなのが攻略組や戦闘メインのプレイヤー達に知られたら、絶対に大騒ぎになるぞ。いや、生産職も生産職で大騒ぎだ」
と思ったら、今度は俯いて小声でブツブツ呟きだした。情緒不安定か?
「他には何もないよな! あったら今のうちに言え!」
他というと、これはどうかな。
ついさっき受け取った、料理ギルド認定証とその効果を伝えて入手方法の推測を伝えたら、現状じゃ検証しようがないと丸卓を強く叩いた。
まったく、最初に会った時の冷静さはどこに行ったんだよ。
その後、玄十郎はブツブツ文句を言いながら料理ギルド認定証とポーションまぜそばの情報をスクショで撮影すると、情報料を渡してきて今後の連絡用にフレンド登録を交わしたら、ボイチャを解除して足早に去って行った。
去り際に、約束を忘れるなよと強く言い残して。
それにしても、俺の料理がそこまで話題になってるのか。
ちょっと嬉しいけど、調子に乗っちゃだめだ。所詮は食べてもいない人達が、勝手に騒いでるだけなんだから。
「さて、依頼でもやるか」
ポーションまぜそばをアイテムボックスへ戻し、頬を叩いて気合いを入れたら依頼が貼ってある掲示板へ向かう。
なにか良い依頼はないか? おっ、前に受けた孤児院からまた依頼が出てる。
労働依頼
内容:調理と後片付けの補助
報酬:200G
労働時間:3時間
場所:ファーストタウン孤児院
今回は調理補助か。これは得意中の得意だ、なにせ店でやってるんだから。
こうしてまた依頼を見つけたのもなにかの縁だ、また行かせてもらおう。
早速この依頼を受けて孤児院へ行くと、再訪ということもあって子供達が遊んでと寄ってくる。
それを丁重にお断りして、出迎えてくれたシスターに来訪理由を伝え、厨房へ通されたらシスター達と調理を開始。
野菜の下処理、スープの灰汁取り、調理が済んだ料理を盛り付けて配膳したら、一緒に食事を摂ることになった。
自分の分はあると伝え、昼飯用のささみと鳥胸肉の棒棒鶏と豚モモ肉のニラネギ炒めをアイテムボックスから出すと、子供達がわっと駆け寄ってきて一斉に食べたいと言いだした。
一人にあげたらなし崩し的に全員へあげなきゃいけなくなりそうだし、そうなったら俺の分が無くなるから、申し訳ないと思いつつ断った。
いや、そんな羨ましそうな表情をされてもあげられないって。
「ほら、お兄ちゃん困ってるわよ」
「それはお兄ちゃんのご飯だから、食べちゃ駄目よ」
シスターの皆さん、対応ありがとうございます。
それでも子供達からの視線は向けられ続け、なんとも気まずい食事をしたら子供達による後片付けを見守り、時には注意を促したりやり方を教えて仕事は完了。
それから再び遊んでとせがむ子供達と少しだけ遊んであげたら、帰り際に子供達が両手で何かを持ってきた。
「おにーちゃん、今日は来てくれてありがと」
「これ、僕達からのお礼」
「先生も、あげていいって言ってたから大丈夫だよ」
そう言って子供達が持ってきたは、カボチャとサツマイモ。
シスターによると、孤児院の裏にある畑で育てている物らしい。
報酬が安い上に子供達とも遊んでもらったから、報酬とは別に受け取ってほしいとのこと。
せっかくの気持ちだから受け取ってアイテムボックスへ入れ、シスター達と子供達に見送られながら孤児院を後にして料理ギルドへ向かう。
ギルドで依頼完了の手続きをして報酬を受け取ったら、まだ時間があるから別の依頼を受けるため再度掲示板へ。
どれにしようかと掲示板を見渡していると、いくつかの納品依頼が目に入った。
次のログインまでの食事も作ったし、自分で稼いだ金もそこそこ貯まったし、そろそろ納品依頼でも受けようかな。
というわけで、記念すべき最初の納品依頼はこれとこれに決めた。
納品依頼
納品物:パン10個
報酬:800G
依頼人:マーガレット【NPC】
納品依頼
納品物:野菜を三種類以上使った温かい料理
報酬:600G
依頼人:スティファン【NPC】
受付で依頼を受理してもらい、必要な材料を購入。
納品は料理ギルドですればいいそうだから、わざわざ依頼人の下へ届けに行く必要は無いとのこと。
それは助かると思いつつ作業館へ向かい、今度は無料の作業場を借りる。
納品物を作るだけだから、こっちでもいいだろう。
相変わらず居合わせた他のプレイヤー達から注目を浴びる中、バンダナと前掛けを表示させ、まずはパン作りに取り掛かる。
小麦粉に水と塩と砂糖を加えて混ぜ合わせ、途中でバターを加えてこね上げたら発酵スキルで一気に発酵させる。
料理ギルドで聞いた話によると焼いたパンをご所望らしいから、あとは成形してオーブンで焼けばいい。
で、肝心のオーブンが作業台に無い。でも実は、受付で借りられる。
魔力オーブン
レア度:3 品質:2
効果:魔力を注ぐと起動する。ツマミを回して火力と時間を調整可能
*持ち出し、破壊、共に不可
スペースが無いから受付で貸し出す形にしてるだけで、受付で頼めば無料で借りられる。
業務用じゃなくて家庭用ぐらいの大きさだけど、パンくらいなら問題無く焼けると職員は言っていた。
というわけで、しっかりガス抜きをした生地をちぎってロールパンくらいの大きさに成形したら、再度発酵スキルを使って二次発酵させてオーブンに入れて焼く。
中国揚げパンの作り方を調べるついでに、普通のパンの作り方も調べておいて良かったよ。
さて、焼いてる間にもう一つの依頼、野菜を三種類以上使った温かい料理を作ろう。
フライパンを二つ用意して、一方に油をたっぷり注いで点火。熱している間にニンジンは細切り、タマネギはくし切り、キャベツは芯の部分を取ったら一口大に切って、勿論可食部の芯も細切りにしておく。
これらを熱した油に潜らせ、中華料理で言うところの油通しをしたら、もう一方のフライパンで一気に炒めて塩胡椒で味付けしたら野菜炒めのいっちょ上がり。
野菜炒め 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:1 品質:8 完成度:93
効果:満腹度回復30%
魔力+1【2時間】 知力+1【2時間】
強火で野菜を一気に炒めた定番料理
しっかり油通しをしたので歯応えシャキシャキ
旨味も逃げずに野菜の中へ留まっている
皿に盛り付けてアイテムボックスへ入れたところで、ちょうどパンも焼けたようだ。
ロールパン 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:1 品質:6 完成度:81
効果:満腹度回復8%
器用+1【1時間】
小細工抜きの至ってシンプルな普通のパン
だからこそ不動の人気
なんにでも使える、なんにでも合わせられる
あー、やっぱり作り慣れてない普通のパンだから、完成度が今までで一番低い。
それでもバフ効果はあるんだから、完成度が80を越えればバフ効果が付くのかな。
それと味は問題無い。味見用に一つ余分に作ったけど、本当に至って普通のパンだ。
「パンも――」
「前に揚げ――」
「野菜炒め――」
さてと、依頼の品は作ったからさっさと料理ギルドで納品しよう。
焼き上げたパンもアイテムボックスへ入れたら、ささっと後片付けをして作業館から料理ギルドへ移動。
依頼の料理を納品して報酬を貰い、時間を確認するとそろそろダルク達から連絡も入るだろうから、適当に町中をぶらついてプレイヤーがやってる露店をいくつか覗いていく。
野鍛冶をやってるプレイヤーに鉄の包丁の耐久値を回復してもらったり、畑で作った作物を売ってるプレイヤーから作物について話を聞いたり、自作ポーションを売ってるプレイヤーから水出しの方法を見つけたことへ感謝されたりしながら回っていると、木工品を置いてる露店に興味を引かれる物があった。
「ちょっといいか?」
「はい、いらっしゃ――って、えぇっ!?」
後ろを向いて何かの整理をしていた、三十代前半ぐらいの男性がこっちを向くと何故か驚かれた。
「どうかしたか?」
「い、いや、なんでもない、悪かった。それで、何か欲しい物でもあったかい?」
取り繕うような様子と揉み手で笑顔を浮かべる男性に、ちょっと不信感を抱く。
でも今は、並べられている商品の方が気になる。
「そこに置いてある棒って、どういう物なんだ?」
端の方で樽の中に突っ込まれている、片手で握れるくらい細い数本の棒を指差す。
「これは木工スキルを鍛えるため作った、ただの棒だよ。木だから耐久値は低いが、武器として使えるぞ」
「麺棒としては使えるか?」
これまで生地を伸ばす時はローラーで代用してきた。
でも正直言うと、なんかしっくりこないんだよな。
店で使ってる麺は製麺所から仕入れた麺だけど、祖母ちゃんに教わったうどんを打つ時や、餃子や焼売に使う自家製の皮を作る時は生地を麺棒で伸ばしてるから、麺棒の方が使いやすい。
「め、麺棒? ちょっと分からないな。使えないことはないと思うが……」
やっぱり、そんなことは想定してないか。
まあただの棒ということで値段は安いし、仮に麺棒として使えなくてもさほど痛手な額じゃないか。
「とりあえず一本くれ。それと、そこにある箸を五膳と菜箸も頼む」
「はいよ!」
やっぱり日本人としては箸が欲しい。
さすがはプレイヤーだけあって、そこの辺りが分かってるな。
こうして麺棒に使えるかもしれない棒と、日本人には欠かせない箸を購入して露店を離れたんだけど……。
製作者:プレイヤー・係長臨時代理補佐代行
あの人、現実ではどういう立場の人なんだ?
それともウケ狙いこんな名前付けたのか?
「よっしゃっ! あの方とお近づきになれた!」
なんか後ろで誰かが叫んでる。
よく聞き取れなかったけど、嬉しそうだから良い事でもあったのかな。
そういえば、野鍛冶をしていたプレイヤーや作物を売ってたプレイヤーの下を離れた後も、なんか嬉しそうな声が聞こえた気がする。
自分の作った物が売れて、喜んだプレイヤーでもいたのかな。
それからさらに町中をうろついて露店を覗き続け、日が傾いてきた頃にカグラから、もうすぐ帰るってメッセージが届いた。
集合場所はダルク達が登録してる冒険者ギルド前。
地図を見ながらそこへ向かい、建物の前で待つことしばし。
「トーマー! ただいまー!」
離れた場所から俺を呼び、手をブンブン振りながら元気よく帰ってきた。
「もう、いつもそれやるのやめてよ。恥ずかしいじゃない」
「うふふ、じゃあ皆でやりましょうか。そうすれば恥ずかしくないわ」
「恥ずかしいよ……」
うん、俺も恥ずかしい。
ダルクらしいっちゃらしいけど、周りの視線が嫌でも集中するから声を押さえてもらいたい。
「トーマ! レベルアップも資金稼ぎもバッチリで、皆の装備を新しくできたよ!」
はいはい、分かったから声量落とせ。
「といっても、ダルクは変わってないけどね」
「特典でβ版での装備そのままだから、耐久値を回復すればまだまだ使えるものね」
「装備が変わったのは私達だけ」
そう言ってるカグラとセイリュウとメェナは、確かに装備品が一部変化してる。
*****
カグラ
装備品
頭:巫女の冠 → 巫女の陽冠
上:布の巫女服
下:布の袴
足:藁の草履
他:布の足袋
武器:竹の扇×2 → 鉄扇×2
*****
カグラは竹製だった両手の扇が鉄製になって、頭の冠の薄い金属がただの丸から太陽のような形状になっている。
「鉄扇になったから扇術の威力は上がったし、この冠は光魔法の威力や効果を高めるのよ」
学内にファンの多い笑みを浮かべつつ、鉄扇をひゅんひゅん振る様子は地味に怖い。
あれでバシって叩かれたら痛そうだ。
*****
セイリュウ
頭:布の三角帽
上:布のロングシャツ
下:布のスカート
足:革の靴
他:布のマント → レザーマント
武器:木の杖 → 木の水魔杖
*****
セイリュウはマントが革製になって、杖は前と同じ木製でも色が水色になっている。
なんでも水属性の魔法と相性が良い素材らしく、水魔法の威力と効果を上げるんだとか。
「その代わり、火魔法の威力と効果は激減するんだけど、火魔法は習得してないから大丈夫」
そういうタイプの杖なのか。
小さく控えめに親指を立てる様子が、セイリュウらしい。
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メェナ
装備品
頭:布のハチマキ → 鉄板仕込みの額当て
上:布のハーフシャツ
下:布のハーフパンツ
足:革の靴 → 鉄板仕込みの革の靴
他:革の胸当て
武器:革の籠手 → アイアンガントレット
*****
両腕に薄い鉄製のガントレットを装着し、両足にはつま先に薄い鉄板が張られた靴を履き、頭のハチマキは薄い鉄板が貼ってある額当てになっている。
薄いから防御力はさほど上がらないものの、俊敏が下がらず攻撃力は少し強化されたのだと、嬉々とした表情のメェナが語る。
そうまでして相手を殴って蹴りたいなんて、やっぱりストレス溜まってるんじゃないか?
唐辛子はまだ残ってるし、シンプルな料理と同じくらい辛いものが好きなメェナのために、辛い料理でも作ってやるかな。
また鶏肉を入手してきてもらって、花椒抜きにはなるけど辣子鳥とか。
いや、それだったら唐辛子たっぷりの激辛まぜそばの方がいいか?
「なによ? 急に考え込んで」
「メェナのストレス発散をどう手伝うか考えてた」
「どういう意味よ!」
そのまんまの意味だよ、目玉焼きにも一味か七味を掛けるメェナさんや。
ちなみに目玉焼きにかけるものだけど、俺はソース、ダルクはケチャップ、カグラは砂糖醤油、セイリュウは塩と見事なまでに全員バラバラだったりする。
「そんなことよりさ、早く依頼達成の報告してご飯にしようよ!」
分かったから口の端から垂れてる涎を拭え。人前でみっともない。
それからダルク達の報告に付き添い、二階にある会議室を一つ借りた。
小会議室のようなその部屋は、攻略の打ち合わせやレイドっていうので戦う時に会合をするための部屋らしいけど、飲食も可能とのことだからそこで晩飯にする。
三種の鶏肉を使った水炊きは好評だったものの、一つだけ不満が出た。
「「「「どうして、締めのうどんが無いの!」」」」
失念してた、ごめんなさい。
それと食後に今日の出来事を話し合っている中で、ポーションまぜそばや料理ギルド認定証のことを伝えたら驚かれて声を上げられた。
「「「「何やってんのっ!?」」」」
なんか今日はこんなのばっかだ。
またアレコレ言われ、個室で作らせて良かったと安堵され、注意を促された。
なあ、俺の行動ってそんなに問題なのか?
もう何度目か分からないけど、飯を作ってるだけだぞ。




