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睡眠改善


 昼飯用のおにぎりを受け取り、島の探索へ向かうダルク達を見送った俺はポッコロとゆーららんところころ丸と共に、フィフスアイランドノースパシフィックへと転移する。

 目的は拠点の整備のため、知り合いの生産職の人達を連れて行くためだ。

 ただ、買い物をしたいのと料理ギルドの転送配達サービスで食材や調理器具を購入できるようにするため、少し早めに来て料理ギルドと店を回ることにした。

 移動中は両手をイクトとネレアにそれぞれ繋がれ、引っ張られるように歩く。


「なっ、料理長の連れが増えている!?」 

「片目隠れの袖余り幼女……だと?」

「あれが【UPOインフォメーション】の情報にあった、ネレイスの子なのね」

「しかも料理長さん、和装だわ。シクスタウンジャパンには、ああいう装備があるのね」


 和装の装備とネレアのせいか注目が集まっている。

 なんだかイクトやミコトを仲間にしたばかりの頃を思い出すな。

 少し懐かしい気分に浸りながら料理ギルドへ寄って転送配達に必要な契約証を何枚か受け取り、利用したことのある店を回って契約を交わしながら買い物をする。

 その後で料理ギルドでそれらの手続きを済ませ、ついでにオリジナルレシピを提供する依頼を受け、オリジナルレシピを提出する。

 マッドアリゲーターの泥包み焼き、揚げスラッシュサンマの野菜あんかけの二つで、合計四十三個か。

 さらにこれで貢献度が上がったことにより、料理ギルド認定証が鉄から銅へランクアップした。

 新しい料理ギルド認定証を受け取ったら広場へ向かい、予定の五分前には到着して既に来ていた三人と合流する。


「料理長! 俺を頼ってくれて感謝するぞ!」


 やたら嬉しそうだな、赤巻布青巻布黄巻布。

 そんなに頼られたのが嬉しいのか?


「そっちの幼女はなに!? 妹として連れて帰りたいわ!」


 やめろミーカ、ネレアはうちの子だ。


「シクスタウンジャパン行きの船には乗り遅れたが、料理長の飯が食えるのなら乗り遅れて良かったぜ」


 そう言ってくれるレイモンドの期待に応えられる飯を、頑張って用意しようじゃないか。

 さて、それじゃあこっちからも。


「今日はよろしく頼む。それとこっちは新しい仲間のネレアだ。ほら、挨拶しろ」

「はーい。ねーあです、よーしく」


 余った袖を揺らしながら手を挙げて返事をしたネレアが、ぺこりと頭を下げる。

 すると周囲にいるプレイヤー達が騒ぎ出し、男性プレイヤー達は雄叫びを、女性プレイヤー達は黄色い声を上げている。


「舌足らずとは、幼女を分かっているじゃないか運営!」

「ふっ、ふふっ。僕は今日、遂にノータッチとすべき女神に出会えたよ」

「きゃわいい。私が作った服を全部着せてあげたいわ」

「料理長ファミリーに末っ子的な幼女が増えたと、掲示板に速報を出さなくては!」


 あまりのざわめき具合にイクト達ところころ丸は周囲を見回し、ポッコロは首を傾げ、ゆーららんは呆れたような笑みを浮かべている。

 ひとまず良からぬことをしようとする雰囲気は無いから、大丈夫だろう。


「とりあえず行こうか。あっ、昼飯にはおにぎり三種とみそ汁を出すから」


 おにぎりの内容はダルク達へ渡したのと同じだ。

 でないと、後で絶対に食べたいって騒ぐから。


「おにぎりとみそ汁だって!?」

「それを聞いただけでやる気が出て来たわ!」

「今なら俺は限界を越えられる! 百パーセント中の二百パーセントだぁぁぁっ!」


 目を見開くレイモンドとやる気を漲らせるミーカはともかく、赤巻布青巻布黄巻布は何を言っているのやら。

 限界を越えるのはともかく、百パーセント中の二百パーセントってどんな状態だ。

 ともかく移動しようということで、転移屋へ行って赤巻布青巻布黄巻布は俺と、レイモンドとミーカはポッコロとゆーららんとパーティーを組み、カイゴー島の拠点へ転移。

 そびえ立つ古い建物を前に三人が感心した後、改善してもらいたい寝具を見てもらう。


「なるほど、これは酷いわね」


 敷いてある皮や布を手にしたミーカが、渋い表情を浮かべる。


「これなら修繕するより、一から作った方が早いな。素材を多めに持ってきておいて良かったぜ」

「ベッドは木を組み合わせて作っているのか。ならベッド作りに俺の出番は無さそうだし、他に必要な物でも作るかな」


 ベッドを確認した赤巻布青巻布黄巻布とレイモンドが相談し、制作の方針を固める。

 するとレイモンドが他に必要な物を作ると聞き、ポッコロとゆーららんはここの納屋にある農具の修理を頼む。

 どうやら二人は作業中、畑の方で農作業をしたいようだ。

 それから一階の端の方にある、鍛冶場なのか加工場なのかよく分からない部屋、便宜上作業室と名付けた部屋へ連れて行く。

 設備を確認した三人は少し古いけど問題無いと返し、早速作業へ取り掛かる。


「ねーあもやる」


 前に宣言した通り、ネレアも一緒に作業をすると言いだした。

 同じ建物内にいるのなら離れても問題無いそうだし、イクトが自分も一緒にいるから大丈夫だと言うから、三人とイクトにネレアのことを任せて俺とミコトは厨房へ向かい、ポッコロとゆーららんはころころ丸を連れて納屋の農具を取りに行く。


「じゃあミコト、水出しポーションは任せた」

「了解なんだよ」


 無表情のまま、むんとやる気を見せるミコトへ材料と備え付けのボウルをいくつか、それと何故か厨房に置いてあった製薬用の道具を渡す。

 本当、なんで作業室じゃなくてこっちにあるんだろう。

 通常の作り方が煮出すからかな?

 まあ理由はさておき、昼飯作りと夜飯の仕込みをしよう。

 水出しポーション作りを開始したミコトを横目に、昼飯で振る舞うおにぎりのために米を仕込んで魔力炊飯器で炊く。

 続けてジャンキーガニを殻と身に分けていく。

 身は自前のバット、殻は寸胴鍋へそれぞれ入れ、終わったらバットは身の鮮度が落ちないようにアイテムボックスへ。

 殻入りの寸胴鍋は水を張って火に掛けて出汁を取る。

 これとは別に鍋を三つ用意して、フィフスアイランドノースパシフィックで購入しておいたアツペラワカメを切ったもの、洗った小豆、大豆をそれぞれ水で煮る。

 ここは魔力コンロが四つもあるから、一度に調理できる種類と量が増えるから助かるよ。

 その間にボウルで醤油、酢、日本酒、水を混ぜたものにすりおろしたジンジャー、輪切りの唐辛子少量を加えてつけ汁の完成。

 続いて渋きりのために煮ている小豆とジャンキーガニの殻を煮込んでいる鍋から、それぞれ灰汁を取って大豆の固さを確認。

 ほどよく柔らかくなっているからザルに上げ、よく湯切りしたら乾燥スキルで表面の水気だけを乾かし、さっき作ったつけ汁へ浸けて味をしみ込ませる。

 さて、ここからは灰汁取りに鍋に集中だ。

 それぞれの鍋に浮いた灰汁を取り、小豆の方は途中で水を替え、再び灰汁取りに集中。


「マスター、水出しポーションの仕込みが終わったんだよ」

「そうか。ありがとう」


 お礼を伝えるとミコトはいつもの見学モードに入り、カウンター越しに身を乗り出して三つの鍋をじっと見つめる。

 考えてみればミコトと二人になるのは、これが初めてだなと思いつつ灰汁取りを続ける。

 さて、小豆が柔らかくなったから砂糖を加える。


「マスター、そのお豆はどうするんだよ?」

「粒あんっていう甘いものにして、晩飯のデザートにするんだ」


 きっとカグラは飛び跳ねてはしゃぐだろうな。

 さて、アツペラワカメがかなり薄くなったから、だいぶ出汁が出たようだ。

 一応味見をして問題無いのを確認し、火加減の調整と小豆の灰汁を取ったら手早く味噌を出し、アツペラワカメの出汁に溶く。

 馴染ませるため軽く煮ている間に小豆とジャンキーガニの灰汁を手早く取り、みそ汁の味を確認する。




 アツペラワカメのみそ汁 調理者:プレイヤー・トーマ

 レア度:4 品質:6 完成度:83

 効果:満腹度回復1% 給水度回復14%

    MP+4【1時間】

 味噌と共にアツペラワカメの出汁が香るみそ汁

 具でもあるアツペラワカメが出汁になっている、割とお手軽なみそ汁

 ホッと安らぐような味に浸ってください




 あぁ、これは良い。

 アツペラワカメの出汁だけでも思わずホッとしてしまうのに、そこへ味噌が加わって気分が安らぐ。

 表現するとすれば、日本人のためのみそ汁って感じだ。

 できればこのまま味わっていたいけど、そうはいかないから冷めないうちにアイテムボックスへ入れ、小豆の方へ取り掛かる。

 合間にジャンキーガニの灰汁も取り続けることしばらくして、ようやく粒あんとジャンキーガニの出汁が完成。

 これらの味を確認して鍋ごとアイテムボックスへ入れたら、魔力炊飯器で炊きあがったごはんをしっかりと混ぜ、おにぎりを作るためにボウルへ出して少し冷ます。

 魔力炊飯器の釜を洗い、水気を拭き取ったら今度は洗って水を切ったもち米を炊く。


「またお米を炊くんだよ?」

「いいや、こっちは晩飯に出す料理に使うもち米だ」


 米と違って水の吸収が良いから浸水はさせず、水の分量にだけ注意して炊く。

 そうしたら人肌に冷めたごはんへ、ダルク達へ渡したのと同じ味付けをして握る。

 黒ゴマと塩、ビリン粉と塩、そしてみりんで緩めた味噌と刻んだピリピリネギ。

 これらで味付けしたおにぎりを握っていると、廊下の方から声と足音が聞こえてきた。

 向こうの作業が終わったか、一段落着いたのかなと思っていたら食堂の扉が開き、イクトとネレアが真っ先に駆け込んできた。


「ますたぁ! あまいにおいがする! あまいのあるの!?」


 少しだけ残っている粒あんの甘い香りを嗅ぎつけたのか、イクトが目を輝かせてカウンター越しに尋ねてくる。

 もうそれほど香りは残っていないのに、よく分かったな。


「まーたー、あたーしーべっどたーさんつくったよ!」


 同じくカウンター越しに声を掛けてきたネレアは、頑張って新しいベッドを作ってくれたんだな。

 飯を食ったら確認してやるぞ。

 続けてベッド作りに協力してくれたミーカ達、外で農作業をしていたポッコロとゆーららんところころ丸も帰ってきたから、少しだけ待ってもらってから昼飯にすることにした。

 待ってもらっている間に進捗を聞くと、試作をしてこれだというものは出来たようで、後はそれを作って設置していくだけとのこと。

 あれ? でもネレアがたくさん作ったよって言わなかったか?

 あっ、試作をたくさん作ったってこと? なるほど。

 ちょっと紛らわしいと思いつつ、握り終えた三種のおにぎりが並ぶバットを何味が説明しながらテーブルの真ん中に置き、アツペラワカメ出汁のみそ汁を注いだ椀と箸を全員の前に置く。


「ほ、本当におにぎりとみそ汁だ」


 飯を目の前にしたレイモンドは、目を見開いて小さく震える。


「遂にUPOでもお米が食べられるのね」


 明るい表情のミーカが、三種のおにぎりを凝視する。


「料理長の、料理長のおにぎりとみそ汁だなんて。今日が俺の命日か?」


 嬉しそうな顔で縁起でもないことを言うな、赤巻布青巻布黄巻布。

 もしもそうなったら、俺の飯が原因みたいじゃないか。


「おにぎりはこれで全部だから、喧嘩せずに食べてくれ。それとみそ汁は一人二杯までならおかわりできるから、遠慮せず飲んでくれ」

「「「いよっしゃー!」」」


 よほどみそ汁のおかわりが嬉しいのか、協力を頼んだ三人がガッツポーズをしながら吠えた。


「ますたぁ、いくとがだるくおねえちゃんのかわりに、いつものやっていい?」

「うん? ああ、あれか。いいぞ」

「はーい。じゃあみなさん、いただきます」


 いつもはダルクが捕っている食事前の音頭を、両手を合わせたイクトが取る。


『いただきます!』

「いたーきます」


 それに合わせて俺達もいただきますをして、食事開始。

 誰もが真っ先におにぎりへ手を伸ばし、大きく口を開けてかぶりつく。


「くはー! UPOの米も美味いじゃないか! ゴマの香りと塩気もちょうど良くて、甘く感じるぜ!」


 ゴマ塩おにぎりを食べたレイモンドが、冷えたビールを飲んだ後みたいに声を上げて感想を述べる。


「ネギ味噌を混ぜたのも美味しいわよ! ネギのピリピリ感と味噌の塩気と味が、ごはんをより美味しく感じさせるの!」


 ネギ味噌おにぎりを食べたミーカは早口で感想を言うと、手に残っている分へかぶりつく。


「さすがは料理長! 米は美味いし、その米が塩のしょっぱさとビリン粉の刺激でより引き立ってさらに美味いぜ!」


 ビリン粉おにぎりを食べている赤巻布青巻布黄巻布は、少し落ち着け。

 あと、両手に持ったおにぎりを口へ押し込むように食べるのは少し行儀が悪いから、イクト達への教育の観点からやめてくれ。


「お兄さん、今日のみそ汁もお母さんのより美味しいです」

「本当にこれを飲んでいたら、お母さんのみそ汁は飲めなくなっちゃいますよ」


 ポッコロ、ゆーららん。

 前にも思ったけど、それを母親の前で言うなよ。

 フリじゃないからな、絶対に言うなよ!

 あと、ビリン粉おにぎりを欲しがるころころ丸がモルモル鳴いているから、取ってやれ。


「ますたぁ、ごましおおにぎりとって、とどかない!」

「まーたー、ねーみそおーしーからもーことって!」


 ああ、はいはい。ちょっと待ってくれ。

 小柄で奥の方へ手が届かないイクトとネレアのため、ゴマ塩おにぎりとネギ味噌おにぎりを一個ずつ取り、それぞれへ渡す。


「マスター、このおにぎりは一見作るのが簡単そうだけどそうじゃないと思うんだよ。おそらくは握る強さを誤れば食感を損なうし、大きさが決まっているから具材や味付けとのバランスが重要になると考えるんだよ。でないとごはんの魅力が損なわれるし、具材や味付けばかり主張してごはんの存在意義が失われてしまうんだよ」


 真剣におにぎりを味わうミコトの口から、いつものように食レポがスラスラと流れる。

 だけどあいにく、皆はおにぎりとみそ汁に夢中だから俺以外、誰も聞いていないぞ。


「よーしっ! これで満腹度と給水度だけでなく、やる気もマックス! 午後も張り切っていくわよ!」

「俺もだ! 農具の修復は済んだし、次はそこの厨房の古い物でも修復してやるよ!」


 やたら元気なミーカとレイモンドの勢いが凄すぎて、正直少し引くぞ。

 でも厨房にある古い道具を修復してくれるのはありがたいから、よろしく頼む。


「なあ料理長! このおにぎり、一つ持ち帰ってもいいか?」


 ああ、どうぞどうぞ。

 今回の協力へのお礼なんだし、一つくらい持ち帰っても構わないさ。

 その代わり、ベッド作りは頼んだぞ。

 こうして騒がしい昼飯はあっという間に終わり、早々に作業へ戻る一行の背中を見送り、俺は炊いていたもち米を使って晩飯に出す一品を作りに掛かり、ミコトは水出しポーションの仕上げに取り掛かる。

 それからさらに時間が経った夕方の少し前頃にベッド作りと設置が完了した。


「おお、良い出来だな」


 釘を一切使わず木材を組み合わせて作られた木の良い香りがするベッド、そこへ敷かれた寝心地の良さそうな柔らかい寝具。

 昨夜に寝たものとは大違いで、今から寝るのが楽しみだ。


「どういたしまして」

「料理長達に満足してもらえるよう、全力を尽くしたぜ!」


 ダルク達に確認してもらう必要はあるものの、少なくとも俺は満足だし、ミコトも無表情ながら夢中で寝具の感触を確かめている。


「まーたー、ねーあもがーばったよ!」

「そうだよ、ますたぁ。ねれあもとんかんやったの!」


 ネレアが胸を張ると、本当だよと言うようにイクトが擬音付きで木工をやったんだと教えてくれる。

 そうかそうか、よく頑張ったな。

 あっ、勿論水出しポーション類を作ってくれたミコトも偉いぞ。


「レイモンドも、厨房の道具を修復してくれてありがとうな」


 お陰で使い古した感があった備え付けの調理器具が、新品みたいにピカピカになったよ。


「なぁに、いいってことよ。寝具作りには手を貸せなかったから、これくらいはやらないとな」


 だとしても、しっかり結果を出してくれたのならお礼を言うのが筋ってもの。

 ついでに物でのお礼もしよう。


「三人とも、昼飯とは別に今回のお礼としてこれを渡すよ」


 ステータス画面を開いて、お礼に渡そうと思っていた物を出す。

 それは炊いておいたもち米と、仕込んでおいた粒あんを使ったおはぎだ。




 おはぎ 調理者:プレイヤー・トーマ

 レア度:3 品質:6 完成度:78

 効果:満腹度回復7%

    HP自然回復速度上昇【小・1時間】

 楕円形にまとめたもち米を粒あんでコーティング

 もち米はさほど潰していないので、噛み切れやすい

 粒あんの甘さがもち米で適度に緩和され、食べやすいです



 *炊いたもち米をすり鉢へ移し、すりこぎで軽く潰す。

 *固めすぎないよう注視ながら楕円形に成形。

 *スプーンで表面に粒あんを塗って完成。




 本当ならもち米に雑穀を混ぜるんだけど、買っていなかったからもち米のみで作った。

 変わった材料は使っていないから普通のおはぎとはいえ、味見した分には美味かったから大丈夫だと思う。 


「お、おはぎですって!?」

「いいのか、これ?」


 驚愕したミーカが少しのけ反り、レイモンドが目を見開いておはぎを指差す。


「ああ。ただ、仲間達の晩飯に出すから一人一つずつな」


 特にカグラはたくさん食べそうだから、あまりたくさんは渡せない。

 それと後ろで食べたそうにしているイクト達とポッコロとゆーららん、晩飯のデザートで出すから我慢してくれ。


「いやいや、一個でも充分だって! 感謝するよ、料理長!」


 よほど嬉しいのか、赤巻布青巻布黄巻布が大喜びしている。

 甘い物が好きなのかな。

 ともあれ、これで拠点での睡眠環境は改善されたわけだ。

 おはぎを受け取った三人がフィフスアイランドノースパシフィックへ転移するのを見届け、あとはダルク達が帰ってくるのを待とうと思っていたら、噂をすればなんとやらとばかりにダルクの声が聞こえてきた。


「おーい、トーマ! ただいまー! 出迎えありがとー!」


 別に出迎えに来たんじゃなくて、協力者達を見送ったところなんだよ。

 はてさて、島の探索はどうだったことやら。


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