遂に見つけた
町の外へ向かうダルク達を見送った後、料理ギルドにて依頼を受けて金を稼ぐ。
魚屋で魚を捌き、貝のスープを売っている屋台を手伝い、漁港にある飯屋って感じの店で仕込みを手伝う。
そして今日最後の依頼にしようと思って受けたのは、魚を使った加工品製造の手伝い。
労働時間三時間に対して報酬が百Gという、ハズレもハズレの依頼で今まで誰も受けていないという依頼だけど、どんな加工品を作っているのか気になって受けてみた。
すると仕事先の小さい工房で、とても凄い物を見つけた。
フィッシュソース レア度:4 品質:5 鮮度:76
効果:給水度回復ー1%
魚を塩漬けにして作った調味料
独特の香りは好みが分かれるが、しょっぱくて深い味わいがする
塩分が多いので、飲んだら逆に喉が渇きます
「魚醤!? ここっ、魚醤を作っているんですか!?」
正式名称はフィッシュソースだけど、日本人としては魚醤と呼びたい。
まさかこんな小さな工房に魚醤があるなんて、思ってもみなかった。
「なんだ坊主、そいつが欲しいのか?」
「はい!」
腕と頬に鱗が生えていて耳の形状がエラみたいになっている、魚人族の工房の主人に即答する。
だって魚醤だぞ。
原材料は違えど醤油を欲している身としては、なんとしても入手したい。
「マスターはこれが欲しいんだよ?」
「むぅ? なんかへんなにおい」
魚醤独特の匂いにイクトは表情をしかめ、ミコトは無表情で少し距離を取った。
この匂いは好き嫌いが分かれるけど、二人は苦手な方か。
「確かに変わった匂いだよな。だから造っている量は少ないんだが、使い方しだいではなんとかできるんだぞ」
工房の主人の言う通り、他の食材の香りと中和させることでなんとかできる。
でも上手い人は、この独特の匂いすら美味そうな香りに感じさせることができる。
残念ながら俺はそこの域まで達していないから、中和させる方向でなんとかしたい。
「これ、仕事が終わった後で買わせてください」
「構わないぞ。ただし、しっかり仕事はしてもらうからな」
「はい!」
そう言われたからには、やらないわけにはいかない。
質は確かで鮮度もいいのに、傷がついているとかで安売りしていたという魚を捌き、普通の塩漬けや干物を仕込む。
当然、魚醤作りも手伝うため、特注の巨大な醸造樽へ塩漬けにするのを手伝い、既に完成している魚醤を布で濾して瓶詰めする。
匂いが苦手なイクトとミコトは終始浮かない表情だったものの、しっかり手伝ってくれて早く仕事が終わった。
工房の主には感謝され、魚醤を買った時には料理ギルド認定証で割引になった額からさらに少しおまけしてくれた。
購入後、すぐにアイテムボックスから取り出して味見をする。
「どう?」
瓶の蓋を開けて一滴だけ手の甲に垂らし、独特な匂いを嗅いでから舐める。
うん、魚がゲーム的なものだからか、知っている魚醤と少し違う。
香りは潮の香りと言おうか磯の香りと言おうか、なんとも形容しがたい匂いに加えて微かな生臭さがあるけど、発酵によってこなれたお陰かそこまで悪臭という感じはしない。
とはいえ好き嫌いが分かれそうなのは確かだ。
味の方は複雑な味わいに加えて、よくよく味わえば僅かな苦味と渋味を感じられ、塩分濃度が高めなのか少し塩味が強い。
だけどそこまでしょっぱすぎるわけでなく、薄口醤油と同じくらいか。
薄口醤油は色が薄いっていうだけで、塩味は濃口醬油より強い。
これくらいなら、使う量に気をつければ塩味は大丈夫だろう。
問題があるとすれば、ダルク達がこの香りをどう感じるかだな。
「ついでに作り方も教えてやるよ。そっちの子らも手伝ってくれたお陰で、仕事が早く片付いたからな」
おっ、これはキャンディショップの時と同じ流れだ。
その証拠に、二時間以内に終わったため、特別報酬としてフィッシュソースのレシピを受け取ったと表示された。
よしよし、これは大きいぞ。
魚さえ確保しておけば、これを参考に魚醤を作り放題じゃないか。
配送サービスの契約をしようかとも思ったけど、自分で作れるのなら別にいいな。
この後で飯を作る時、早速仕込んでおこう。
そのためにも、早く依頼の完了報告をしてこないと。
「では、これで失礼します」
「おう、ありがとな」
「ばいばーい」
「さよならなんだよ」
工房の主人に見送られ、一路料理ギルドへ。
やや早足で移動をして報告を済ませ、晩飯作りのために作業館へ行こうとしたら、料理ギルドの前で知り合いと遭遇した。
「おう、トーマじゃねぇか」
遭遇したのはセツナとミュウリンとミミミとイフードードーの、知り合い女性四人組。
すると、パァッと明るい笑みを浮かべたイクトがミミミの下へ駆け寄り、頭のレッサーパンダカチューシャを両手で押さえた。
「こんにちはー、これのおねえちゃん」
そして始まったヘドバン。
今日も激しく上下しております。
「「「ぶふぅっ!?」」」
「イクトくーん! お願いだから私を見る度にそれやるのやめてー!」
思わずといった様子でセツナとミュウリンとイフードードーが吹いて、ミミミは頭を抱えて嘆いた。
そう言われても、イクトの中でミミミとヘドバンはイコールで繋がっているんだよ。
だけど主人として、一応注意はしておこう。
「イクト、ミミミが嫌がるから時と場合を考えような」
「はーい」
「ちょっと待って! それって時と場合を考えれば、やってもいいってことにならない!?」
ヘドバンをやめて返事をしたイクトに続いて、ミミミが驚いた様子で詰め寄ってきた。
うん、そうなるな。
本人がいない時とか、本人がやっている隣でならやってもいいと思う。
「料理長はイクト君に甘いっすね」
イクトだけじゃなくて、ミコトにもだぞ。
だってこんなに弟妹可愛ければ、甘くなるのも当然だろ。
現実では一人っ子だから、どうしてもこういう子らには弱いんだよ。
知り合いだと、ポッコロとゆーららんとコン丸もその範囲だな。
「だけど気持ちは分かる。アタシも勤め先ではつい、こういう子達にはサービスしたくなっちゃうんだよね」
セツナは分かってくれるか。
しかし子供にサービスしたくなるなんて、どこで働いているんだ?
保育園ならサービスなんて言い方はしないだろうし。
「お姉さん達は何しているんだよ?」
「飲み会の買い出しだ!」
とてもいい笑顔でイフードードーがサムズアップした。
頭に浮かぶのは、うちの店の常連の酔っぱらいども。
ていうかこの四人、飲み友達になっていたのか?
「のみかいってなに?」
「お酒を飲みながら美味しい料理を食べて楽しく騒ぐことよ!」
間違ってはいない、ミミミの説明は間違っていない。
ただ、あまりに端的で受け取り方次第ではバカ騒ぎとも取られかねないぞ。
周りに迷惑を掛けない程度になら、楽しむのは構わない。
「トーマがブルットを見つけてくれたお陰で、ワインを作れるようになったからな。たっぷり仕込んで、完成したらこうやって酒好きで集まって宴会してんだよ」
ミミミだけでなく、セツナ達も酒好きなのか。
しかも話を聞けばこの四人だけでなく、他にもそれなりの人数がいるらしい。
知り合いだと冷凍蜜柑、雷小僧、掘りゴン、赤巻布青巻布黄巻布といった顔ぶれもたまに参加しているそうだ。
さらに玄十郎やエクステリオも参加しているけど、ゲーム内とはいえ飲酒を拒否しているから、ジュースやなんかを飲んでいるらしい。
飲酒を強制していないなら良し。
今の時代はそういうことに厳しいし、飲める人が飲んで迷惑を掛けない程度に楽しめればそれでいい。
「おさけのまなくても、さんかしていいの?」
「まあな。ぶっちゃけ楽しければ、それでいいんだよ」
「だったらお酒飲まなくてもいいと思うんだよ」
「飲むことが最大の目的だから、強制はしなくともそこは外せないわ!」
力説するミミミよ、もしもお前が現実でうちの店に来たら、確実に酔っぱらい共と意気投合して何度も乾杯しているだろうな。
「そうだトーマ。こんなのを作ったんだけど、味見するか?」
アイテムボックスから瓶を取り出したセツナが、ニヤリと笑う。
なんだろう、何を作ったんだ?
「何を作ったんだ?」
「聞いて驚け、醤油だ」
醤油だって!?
「大豆が見つかったのか!?」
「ちげぇよ。そら豆で作ったそら豆醤油だよ」
なんだそれ、そんなのがあるのか!?
話を聞くとそら豆醤油はその名の通り、そら豆で作った醤油のことで、しかも現実に実在するらしい。
「知らなかった、そら豆で作った醤油があるなんて」
なんたる不勉強、なんたる不覚!
「正直言うと、アタシも知らなかったんだよ」
そう言ったセツナによると、現実での知り合いの子供が大豆アレルギー持ちで、大豆を使わない醤油があると教えてくれたそうだ。
その時に聞いたのが、そら豆醤油。
大豆や小麦、又はその両方を使わない醤油があるのは知っていても、そら豆を使った醤油があるとは知らなかったセツナはネットで作り方を調べ、知り合いの農業プレイヤーからそら豆を購入して醸造樽で試作を重ねて完成させたそうだ。
「で、どうだ? 味見するか?」
「ぜひ、お願いしたい」
「うしっ、手出しな」
言われるがままに手の甲を出し、慎重に一滴だけ垂らされたそら豆醤油を舐める。
おぉっ、大豆や小麦を使ったのとは風味が少し違う感じがするけど、確かにこれは醤油だ。
まさかそら豆で醤油が作れるなんて、思ってもみなかった。
改めて、なんたる不勉強、なんたる不覚!
「どうだ、結構良いだろう。よければ、作り方も教えてやろうか?」
「いいのか?」
「構いやしないよ。現実じゃ普通に売ってる物なんだ、秘密にして独占するような物じゃねぇだろ」
さすがは姐さん、太っ腹。
だったら遠慮なく教えてもらおう。
「教えてくれ。ちゃんとお礼もするから」
「別に礼なんていいんだぞ」
「そうはいかないだろ」
いくらぐらい払えばいいかな?
いや、待てよ。
金以外で礼になりそうな物の存在を思い出し、アイテムボックスから魚醤を取り出す、
「セツナはこれの入手方法、もう知ってるか?」
「うん? なんだいそりゃ」
「フィッシュソース、いわゆる魚醤」
「「「「魚醤!?」」」」
おぉっと、セツナだけじゃなくてイフードードーとミミミとミュウリンも反応したよ。
「トーマは魚醤の作り方を知っていたのか!?」
「まあまあ落ち着け、実はな」
ずいっと前のめりになって尋ねるセツナを宥め、さっきまで受けていた依頼のことを説明。
それがハズレもハズレの依頼で誰も受けていなかったことも含めて伝えると、セツナはあの依頼かと頭を抱えて叫んだ。
「ちっくしょう! こんなん誰がやるんだよって、バカにするんじゃなかったぜ!」
内容だけ見ればブラック系とも取れるもんな。
「いいねぇ、いいねぇっ! こういうのがあるから楽しいんだよ。くーっ、ゾクゾクしてきたぁっ!」
「あー! これ私達もお金出さなきゃいけないやつじゃない!」
これってそういう類の情報だったのか。
しかし獰猛な笑みを浮かべて身震いするイフードードーはともかく、今回もミミミはオーバーリアクションをしてくれた。
今回はフィギュアスケートの某金メダリストが得意としていた、通常のより必要以上に反り返ったあの技の如く、後方へ反り返っている。
あっ、イクト、それを真似するのは危ないぞ。
下手に真似してバランスを崩したら、頭を地面にぶつけるからやめなさい。
ミコト、よく支えたぞ。グッジョブ。
「トーマ、味見させてくれ!」
「はいよ」
さっきとは逆に俺がセツナの手の甲へ魚醤を一滴垂らし、セツナが味見をする。
「本当に魚醤だな。まさかこの町にこんな物があったなんて」
「俺も驚いたよ。で、どうだ? そら豆醤油の作り方のお礼は、これのレシピっていうのは」
「構わないぜ。そいつを仕込んで、美味い海鮮鍋を作ってやるぜ」
魚醤ベースの海鮮鍋か。
ハタハタがあるか分からないから、しょっつる鍋とはいかなくとも海鮮鍋は作れるか。
朝飯と昼飯に使った魚の骨やエビの頭と殻で出汁を取って、それに魚醤で味付けして、後は具を決めないとな。
「ふふふっ」
「くくくっ」
互いに小さく笑い、そら豆醤油と魚醤の作り方を教えあう。
それが済んでミミミとイフードードーから情報料を貰ったら、セツナ達と別れて作業館へ向かう。
作業台を借りたら作業場へ行き、借りた作業台で飯作りの準備をする。
「来たぞ、料理長だ」
「よし、ちょうど作業のキリがいいところだ。ここで一旦中断しよう」
「嘘でしょう? 私まだ、作業始めたばかりよ」
「急いで作業を進めるのよ。準備をしてから料理をするから、まだ時間はあるわ」
周りが妙に活気づいているな。
何かあったんだろうか。
「ますたぁ、なにつくるの?」
「さっきの変な匂いの液体を使うんだよ?」
調理の準備を整え、前掛けとバンダナを表示させているとイクトとミコトから質問が来た。
勿論、変な匂いの液体こと魚醤も使うぞ。
「作るのは海鮮ユッケ、コバンオイスターとハイスピンホタテのフライ、エルダーシュリンプの殻で取った出汁で作ったつけ汁のつけ麺っていうところかな」
ユッケに使う卵は、料理ギルドの転送配達サービスの契約を結ぶため、養鶏所を訪ねた際に買ってある。
「フライって揚げ物だよ。ダルクお姉ちゃん、大騒ぎするんだよ」
「だろうな」
なにせ揚げ物狂いだからな。
しかも掛けるのはマヨネーズと卵と酢のようにしたサンの実の果汁、それと刻みタマネギを使ったタルタルソースだけじゃなくて、フィッシュソースもあると知ればどれだけ食うことやら。
あいつが一人で全部食わないよう、一人分ずつ分けておこう。
そう思いつつ、タルタルソースに使う茹で卵を仕込むため鍋に水を溜めて火にかけて卵を茹で、もう一方のコンロでは朝飯と昼飯を作った時に向いたエルダーシュリンプの殻を鍋で煮込む。
この間に海鮮ユッケ作りに取り掛かろう。
まずは薬味に使うジンジャーを千切り、ネギの青い部分をみじん切りにして、黒ごまを炒る。
続いて手開きにしたドリルサーディン、三枚におろしたキラーサーモンとフルアーマーフィッシュを細切りにしてボウルへ。
ここへ魚醤と少量のオリーブオイルをかけ回し、菜箸で混ぜて和える。
和え終わったら皿へ盛り、千切りのジンジャーとみじん切りのネギと炒った黒ゴマを散らし、卵黄を載せて完成。
三種の魚の海鮮ユッケ 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:4 品質:6 完成度:93
効果:満腹度回復10%
HP自然回復量+4%【1時間】 MP最大量+40【1時間】
細切りの魚をフィッシュソースとオリーブオイルで和えた一品
卵黄を絡めることで、色々な魚の味と食感が不思議とマッチする
つまみでもご飯のお供でもいけます
切った山芋やとろろや海苔を加える店もあるけど、俺は魚と薬味と卵だけが好みだ。
まずは卵黄を絡めず、そのまま試食。
次に卵黄を潰して切り身に絡めて試食する。
卵黄無しは一つ一つの魚の味と食感がしっかり味わえ、有りは全体がまろやかにまとまっている。
そしてやっぱり、魚醤の存在は大きい。
これがあるのと無いのでは大違いだと思うと、やっぱり俺は日本人なんだと実感する。
「あのへんなにおい、あまりしなくておいしい!」
「ジンジャーとネギと炒った黒ゴマの香りで中和されているんだよ。しかもこれの味が魚の味を引き立てて、お昼に食べた塩味とはまた違った美味しさなんだよ。おまけに卵を絡めると全体の味にまとまりも出て、より美味しいんだよ」
一緒に味見したイクトとミコトも美味そうにしているから、魚醤の匂いを薬味の香りで中和できたようだ。
「あれってユッケよね?」
「ああ、海鮮ユッケだな」
「しかもなんか、醤油っぽいのかけてなかったか?」
「ちょっと【UPOインフォメーション】に問い合わせてみる!」
大丈夫と分かれば、試食した分は自分用としてアイテムボックスへ入れ、イクトとミコトとダルク達の分を仕込む。
なお、ユッケに載せていない卵白とネギの白い部分は、明日の朝飯のスープに使う予定だから、白身は自前のボウルへ溜めてネギの白い部分と一緒にアイテムボックスへ入れておいた。
そうしている間に卵が茹で上がったから、お湯から上げて冷却スキルで冷まして殻を剥いてボウルへ入れておき、エルダーシュリンプの殻を煮込んでいる鍋に浮いた灰汁を取る。
灰汁取りが済んだらタマネギをみじん切りにして、ボウルへ入れた茹で卵をスプーンで潰してマヨネーズで和え、酢のようになったサンの実の果汁と刻みタマネギと塩を加えてよく混ぜれば、前にも作ったことがあるタルタルソースの完成。
味見をしてちょっとだけ塩を足して調整したら、次はコバンオイスターとハイスピンホタテのフライだ。
ストックのパンを乾燥スキルで乾かし、バットの上でおろし金ですりおろしてパン粉にする。
次いでコバンオイスターとハイスピンホタテの身を殻から取り出し、コバンオイスターは洗って汚れを落としたら、乾燥スキルで水気を飛ばす。
鍋に溜めた油を熱している間に、ボウルに溶き卵を作って小麦粉をバットに広げておく。
エルダーシュリンプの殻を煮込む鍋の灰汁を再度取り、頃合いを見計らって油へ小麦粉を撒き、温まっているのを確認したらコバンオイスターとハイスピンホタテに衣を纏わせて揚げる。
「カキフライ……」
「カキフライにタルタルって、それもう絶対美味いやつだろ」
「食べたいけど、季節外れだからスーパーにも近所の飲食店にも無いよう……」
コバンオイスターとハイスピンホタテが揚がったら油を切って皿へ載せ、包丁で三等分してタルタルソースを掛けて完成。
シーフードフライのタルタルソース掛け 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:5 品質:7 完成度:88
効果:満腹度回復17%
風耐性付与【中・3時間】 俊敏50%上昇【3時間】
コバンオイスターとハイスピンホタテをカラッと揚げてフライにした
とろける旨味のコバンオイスターと、しっかりした旨味のハイスピンホタテ
この二種の揚げ物に、タルタルソースが合わないはずがない
試食用に包丁で三等分にして、少し冷ましてからイクトとミコトと試食。
「あひひ、おいひい!」
「サクリとした衣とコバンオイスターのトロリとした身を噛むと、旨味が溢れて油とタルタルソースと合わさって美味しいんだよ。ハイスピンホタテはしっかりした歯応えがあって、旨味の質が違うからコバンオイスターとはまた別の美味しさなんだよ」
二人の反応は上々、そして実際に美味い。
ちょっとだけ魚醤を掛けてみると、これも美味い。
独特の風味と塩味がタルタルソースとは違った美味さを引き出して、タルタルソースと使い分ければ飽きそうにない。
これは確実にダルクが騒ぐやつだから、残っている分を全部揚げるつもりでいこう。
つけ麺も作るし、手早くやらなくちゃな。




