美味いからって合うとは限らない
昼食後に出かけるダルク達を見送り、料理ギルドへ行って依頼が貼ってある掲示板の前に立つ。
最近はこういうのをやっていなかったから、貢献度を上げるためにやらないとな。
「ますたぁ、どれやるの?」
「上の方にあるのは、私が取るんだよ」
スキルで浮遊するミコトに周囲にいるプレイヤー達が、おぉっと驚きの声を上げた。
気持ちはありがたいけど今は降りていなさい。
降りたのを確認したら改めて依頼に目を通し、晩飯の準備もあるから短時間で済みそうな依頼を探す。
納品、調理補助、加工の手伝い、仕込みの手伝いと依頼は色々とある。
どれをやろうか悩んでいると、上着の裾をイクトがクイクイ引っ張ってきた。
「ますたぁ、これ!」
イクトが指差したのは、下の方にある依頼。
内容は何かと、しゃがんで手に取って目を通す。
労働依頼
内容:商品陳列
報酬:200G
労働時間:2時間
場所:キャンディショップ・ドロップ
飴を販売している店の商品陳列か。
しかし店名がキャンディとドロップでかぶっていないか?
「どうしてこれがいいと思ったんだ?」
「あまいの、たべられるかもしれないから!」
どうやら飴が甘いものということは認識しているようだけど、報酬はここに書かれている金額であって、飴での支払いは無いぞ。
まあその辺はどうでもいいや。
せっかくイクトが選んでくれたんだし、これをやろう。
「行くぞ。これをやる」
「はーい!」
「むぅ。上の方にも面白そうなのあったのに」
そう言うなってミコト、次に依頼をやる時はミコトが選んだのをやるからさ。
上機嫌なイクトと無表情のまま頬を膨らませるミコトを連れ、受付で手続きをしたら依頼先へ出発する。
例によって微妙な歌を口にしながらスキップしながら前を歩くイクトと、その斜め後ろにいるミコトを見守りながら歩く。
「ひゅるるん、ぱって、もんぷらんぺーん♪」
「今まで聞いた中で一番変な歌なんだよ」
『レエェェェイッ!』
「えぇっ!?」
イクトの歌に関しては同意だけど、なんでわざわざグローブの声を鳴らしたんだ。
だけど弟可愛いのと妹可愛い様子は見ていて微笑ましいから、気にせず黙って見守ろう。
つい頬を緩めながら二人を見守って歩くこと数分。
目的地のキャンディショップ・ドロップへ到着した。
店構えは小さく、ドロップという店名の割に絵柄の看板は棒付きのペロペロキャンディという不思議さに首を傾げつつ入店すると、店内には木製の棚がいくつも並んでいる。
だけど陳列されている商品はまばらで、開店準備中っていう風に見える。
「あら、いらっしゃい。悪いけど、まだ準備中なんだよ」
棚の陰から、ネズミのような耳と尻尾が生えた小柄なNPCのおばちゃんが現れた。
どうやら店の関係者みたいだから、依頼を受けた旨を話して依頼の用紙を見せると、両手で依頼の用紙を持つ手を握られて激しく上下に振られながら助かったよと言われた。
なんでも、普段陳列をしている旦那さんが腰を痛めてしまったとのこと。
「私と息子は飴作りと接客はともかく、陳列のセンスが無くてね。旦那に任せっきりなんだよ」
例えるのなら、料理は上手だけど盛りつけのセンスが無いみたいなものか。
理由に納得したら早速仕事に取り掛かる。
そういう仕様なのか、用意された商品を表示された通りに棚へ並べていくだけでいいようだ。
「いくともてつだう!」
「私もやるんだよ」
二人からの申し出もあり、上の段は浮遊したミコトに、下の段は小柄なイクトに並べてもらい、俺は真ん中周辺に商品を陳列していく。
商品の数は多かったものの、二人の手伝いもあり仕事は一時間も掛からずに終了した。
「おやま、もう終わったのかい」
「いくとがんばった!」
「私も頑張ったんだよ」
『レッサーァッ、パンダアァァァァッ!』
ピョンピョン跳ねて頑張ったアピールをするイクトが弟可愛くて、無表情ながらドヤ顔感があるミコトが妹可愛い。
だけどミコト、グローブを鳴らすのは余計だぞ。
「そうかい、ありがとうね。じゃあこんなに早く終わったお礼に、報酬に加えてこれもあげるよ」
おばさんNPCがそう言った直後、目の前に報酬の二百Gを受け取ったと表示された。
いや、それだけじゃない。
一時間以内に終了したため、特別報酬として飴のレシピを受け取ったと表示されている。
「いいんですか? レシピなんて貰っても」
「特別変わった作り方はしてないから、かまいやしないよ」
ステータス画面を操作して受け取ったレシピの内容を確認したら、本当にすごく簡単で俺も知っているレシピだ。
だって水に砂糖を加えて煮て、トロトロになったら好きな形にして冷やすだけなんだから。
確かこういったレシピの料理は材料を用意して自動で調理できるけど、そうしたら味が無いものしか作れないんだったな。
そんなに難しいものじゃないし、これくらいなら自分で作ろう。
甘いもの好きなカグラがこれを知ったら、どんな反応をすることやら。
「では、ありがたくいただきます」
「ああ、こっちこそありがとね」
奥から出てきた息子さんと手を振って見送られながら店を後にして、料理ギルドで依頼完了の手続きを済ます。
そして調味料と材料をいくらか買い足したら、次は製薬ギルドへ行って薬草を購入。
こっちへ登録したのは薬草を安く買えるからだから、特に依頼はやらずに立ち去って作業館へ。
いつも通りの作業場を借りて非表示にしていたバンダナと前掛けを表示させ、鶏ガラ出汁入りの鍋とレギオンマッドザリガニの出汁入りの鍋を二つとも火に掛けたら、温まるまでの間に少なくなった水出しポーションを仕込む。
「マスター、調合なら私もできるから手伝うんだよ」
そういえばミコトには調合スキルがあったっけ。
だったらやってもらうか。
「頼む」
「任せてほしいんだよ」
『レエェェェイッ!』
『レッサーァッ、パンダアァァァァッ!』
だからグローブの鳴き声は余計だって。
ともかく薬草の乾燥は俺がやって、すり潰しての調合はミコトがやり、自分も手伝うと言いだしたイクトにはボウルに水を用意してもらう。
「兄弟の共同作業?」
「いや、親子だろ」
「どっちにしても微笑ましいな」
水を張ったボウルへ仕込んだ薬草を浮かせたら、水出しポーションになるまでこのまま放置。
二つの出汁はまだ温まっていないから、前に仕込んだ塩サンの実とワインの状態を確認する。
ふむふむ、どっちもまだ未完成か。
ゲームだからパパっとできてほしい人もいるだろうけど、こうやって完成までの時間を過ごすのも作り手としては楽しみなんだよな。
「ますたぁ、それできたの?」
「まだだ。もう少し掛かる」
「むぅ……ざんねん」
「仮にできていても、お酒は飲めないんだよ」
その通りだミコト。
ここはゲーム内だからシステム的に飲めないとはいえ、料理に使うならともかく直接飲むのは絶対に駄目だ。
飲むといえば、完成したら連絡が欲しいってミミミが言っていたっけ。
約束したし味見をしてもらう必要もあるから、完成したらちゃんと連絡をしよう。
ひとまず醸造樽と熟成瓶はアイテムボックスへ戻し、出汁を確認。
どちらも沸騰しない程度に温まったから、早速合わせてみよう。
コップを用意して、鶏ガラ出汁とレギオンマッドザリガニの出汁を同量注ぎ入れて飲む。
「う~ん?」
不味くはないけど、レギオンマッドザリガニの出汁の強さに対して鶏ガラ出汁が負けているから、鶏ガラ出汁の存在感が無いに等しい。
だったら割合を変えてみよう。
レギオンマッドザリガニの出汁の量を減らし、鶏ガラ出汁の量を増やして割合の調整を繰り返し、一番マシだったのはレギオンマッドザリガニの出汁が一に対して鶏ガラ出汁が五くらいの割合だ。
でも一番マシというだけで両方が完全に噛み合ったわけじゃなく、味と香りにまとまりを感じない。
「ますたぁ、おいしくないの?」
「ああ。不味くはないけど、一体感が無いんだ。これじゃあ二つを合わせる意味が無い」
美味いもの同士を合わせたからって、より美味いものができるとは限らない。
それは承知の上とはいえ、上手くいかなかったのは悔しい。
「じゃあ失敗なんだよ」
「いや、もう一つ試させてくれ」
備え付けの小さい鍋に一番マシだった一対五の割合で出汁を注ぎ入れ、火に掛けてひと煮立ちさせてみる。
ただ同じ器に注いだだけでは駄目でも、合わせて調理すれば一体感が出るかもしれない。
そう考えてやってみたけど、結果は失敗だった。
「これも駄目か」
一緒に調理してみても、まとまりが無くて取っ散らかった感じが残っている。
ここまでくると、レギオンマッドザリガニと鶏ガラは相性が良くないんじゃないかと思う。
「おいしくないの?」
「うん、今回のダブルスープは失敗だ」
「じゃあ、そっちのスープはどうするんだよ?」
ミコトがレギオンマッドザリガニの出汁と鶏ガラ出汁が入った二つの鍋を指して尋ねる。
「これはこれで使う。どっちも単体としての出来はいいからな」
ダブルのスープは仕込むよりも合わせるのが難しいって、祖父ちゃんや父さんが言っていた意味がよく分かったよ。
現実でそれをやるのは金も手間もかかるから、ゲーム内でそれを体感出来たのは貴重な経験だったな。
そう思いつつ、失敗した合わせ出汁は流しへ処分する。
「料理長さんでも失敗するのね」
「そりゃ、いつも上手くいってばかりじゃないって」
「逆にどんな味なのか気になる」
さて、気を取り直して次だ次。
せっかく出汁を温めたんだし、このまま晩飯のラーメン作りに取り掛かろう。
レギオンマッドザリガニの出汁入りの鍋はアイテムボックスへ入れ、鶏ガラ出汁入りの鍋は冷めないようにコンロで火に掛け、それとは別に水を張った鍋を用意して火に掛ける。
お湯が沸くまでの間にザルに出した緑豆もやしを洗って水を切り、同じく洗ったネギは鶏ガラのあっさりした風味を壊さないよう白い部分だけを輪切りに。
そしてチャーシューの代わりとして、鶏ガラを貰った店で買ったハムの塊をやや厚めに切る。
ベーコンを選ばなかったのは、豊富な脂がスープへ流れ出たら鶏ガラスープのあっさりした味わいが壊れる恐れがあるからだ。
しかしラーメンの具がハムにもやしにネギなんて、休日にありあわせの物で作るインスタントラーメンみたいだな。
「たったたった、たんたったん♪」
今日は切った音で歌うのか、イクト。
だけど、なんでお前の歌は毎回調子はずれで微妙なんだろうか。
「相変わらず、音程が微妙なんだよ」
『レエェェェイッ!』
『レッサーァッ、パンダアァァァァッ!』
「えぇっ!?」
ミコト、お前が好んで鳴らしているその鳴き声も微妙だぞ。
そう思っても口には出さず、切り分けたハムはバットへ、輪切りのネギはボウルへ入れておく。
続いてアイテムボックスからストックの細麺を味見用に一つだけ取り出し、揉んでちぢれ麺にする。
そうこうしているうちにお湯が沸いたから、塩と緑豆もやしを入れて茹で、その間に温まってきた鶏ガラ出汁へ塩を加えて味を調整。
早く酒や醤油なんかを揃えて、タレを作りたいもんだ。
「あの麺からすると、今回のメニューはラーメンなのね」
「さっきの合わせ出汁が上手くいっていたら、ダブルのスープだったわけか」
「やべっ! 錬成ミスった!」
「バカお前! 料理長が調理中は手を止めるのが鉄則だろうが!」
スープの味はこれで良し。
緑豆もやしは茹で上がったらザルに上げ、しっかりとお湯を切る。
でもって今度は麺を茹でるために再度鍋に水を張って火に掛け、この間に料理ギルドで買えるようになったレッドバスの切り身とタンポポシープの肉を出し、この後の試食のために情報の確認をしておく。
レッドバスの切り身
レア度:3 品質:6 鮮度:71
効果:満腹度回復2% 病気状態付与
主に湖で釣れる皮が赤い白身系の魚
くせや泥臭さは無く、煮ても焼いても揚げても蒸しても食べやすい
生で食べると病気状態になるので注意してください
絶対に火を通してくださいってあるから、試食は塩焼きでいってみよう。
試食用の一切れへ、余計な水分を抜くため塩を振っておく。
次は肉を確認だ。
タンポポシープの肉【ラム・ランプ】
レア度:3 品質:6 鮮度:73
効果:満腹度回復5% 病気状態付与
タンポポの綿毛のような体毛を持つ羊の肉
ラムなので羊肉初心者でも食べやすい
クセがほぼ無く、肉らしい味わいを楽しめます
生で食べると病気状態になるので注意してください
綿毛のような体毛って、どんな体毛なんだ。
まあいい、それよりも肉についてだ。
ラムってことは子羊で、ランプは腰から尻辺りの肉だな。
羊肉はクセがあるってイメージだけど、ラムならそれが少ないのは聞いたことがある。
だけど扱ったことはないから、とりあえず焼いて塩胡椒して試食するため、ステーキくらいの大きさと厚さで切り取った。
この肉と塩を振った切り身は一旦網をセットしたバットに乗せておき、丼を用意したらちぢれさせた細麺をてぼに入れ、麺がダマにならないよう菜箸でほぐしながら沸いたお湯で茹でる。
でもって、茹で上がったらしっかりと湯切りをする。
「おぉー、ばしゃばしゃおゆでてる」
てぼを振った時に出るお湯にイクトが反応している。
そういえば父さんから、湯切りする様子がどうとかってブームが起きたことがあるって聞いたな。
祖父ちゃんも父さんもそういうのに関心が無かったから、うちの店は無縁だったらしいけど、どんな湯切りだったんだろうか。
まあそれはそれとして、お湯を切ったら丼に入れて鶏ガラスープを注ぎながら菜箸で麺をほぐし、具材として塩茹でしたもやしと厚めに切ったハムを、薬味として輪切りネギを乗せて今回のラーメンが完成した。
鶏ガラ塩ラーメン 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:3 品質:8 完成度:93
効果:満腹度回復19% 給水度回復9%
MP最大量+3【2時間】 魔力+3【2時間】
鶏ガラスープとちぢれ麺を使った塩ラーメン
ちぢれ麺が丁寧に作った美味しい鶏ガラスープをよく絡めます
具材はなんだか家庭的ですが、それはそれで懐かしい
さっき思ったことと説明の通り、休日に作ったインスタントラーメンみたいな見た目だ。
で、肝心の味は……。
いいね、ちゃんと湯切りしたからスープは薄まっていないし、鶏ガラと野菜主体のあっさり系だからスッキリと飲みやすい。
麺の方は……ダマになっていないし、すすって口に含めばちぢれ麺に絡んだスープが口に入ってくる。
スープと麺の相性が悪いことはなく、麺もちょうどいい固さだ。
薬味のネギも白い部分だけだから香りでスープの風味を損なっておらず、茹でもやしは良い口直しで厚めに切ったハムは適度なボリューム感を与えてくれる。
これならダルク達、腹ペコガールズも満足してくれるだろう。
さあ、味見の結果は問題無しということで、目の前で早く味見させてと表情で訴えてくるイクトとミコトにも味見させてやろう。
用意したお椀に塩ラーメンを分け、フォークと一緒に渡すと嬉しそうに味見しだした。
「ますたぁ、おいしい!」
「初めて食べるのに妙な懐かしさを覚える味なんだよ。だからといって古臭いわけでなく、不思議と落ち着く味なんだよ」
お椀によそったラーメンをフォークで食べる二人が、弟妹可愛くあり息子及び娘可愛い。
見ているこっちも自然と頬が緩むけど、味見用のラーメンが伸びるし人数分のラーメン作りとレッドバスとタンポポシープの試食が控えているから、いつまでも見ていないで食べよう。
「普通にラーメン屋でラーメンを分け合う親子の図だな」
「イクト君とミコトちゃんがフォークで食べているから、なおさらそう見える」
「イ、イクト君がハフハフしながらフォークでラーメンを食べる姿……推せる!」
「ミコトちゃんがレッサーパンダグローブを付けたまま、ラーメンを食べる姿……もう悔いは無い」
「しっかりしろ、傷口は大きいぞ!」
騒がしいな。何かあったのか?
味見を終えて周囲を見渡すと、ほぼ全員がこっちを見ている。
ああ、ひょっとしてラーメンが羨ましいのか?
だけどこれは俺達の飯だから分けないぞ。
周囲の視線の正体は分かったから、同じく味見を終えたイクトとミコトから食器を受け取ってサッと洗い、人数分のラーメン作りを開始。
てぼに入れた麺を手早く湯切りしては丼へ移し、全ての麺が準備出来たらスープを注いで薬味と具材を乗せていく。
「妙に手慣れてる感があるな」
「手際がいい」
「なにより美味そう」
人数分のラーメンを作り終えたら温かいうちにアイテムボックスへ入れ、レッドバスとタンポポシープを試食するため準備を開始。
フライパンを二つ用意して火に掛け、油を敷いて熱している間に塩を振ったレッドバスを洗って塩と浮き出た水分を流し、乾燥スキルで水気を取ったらフライパンに乗せて焼く。
もう一方のフライパンにはタンポポシープの肉を乗せ、こちらも焼いていく。
どちらも両面をしっかり焼いたら塩を振り、皿へ移したらイクトとミコトも味見できるように三等分に切り分けて完成。
レッドバスの塩焼き 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:3 品質:6 完成度:89
効果:満腹度回復15%
器用+3【1時間】 知力+3【1時間】
ホクホクした身の食感と淡白な味わいが特徴
塩だけのシンプルな味つけなので、レッドバスの味がよく分かる
皮も美味しいので、皮ごとガブッといってください
タンポポシープの塩焼き 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:3 品質:6 完成度:86
効果:満腹度回復22%
体力+3【1時間】 運+3【1時間】
焼いて塩だけで味つけしたタンポポシープの肉
噛みしめると肉らしい味わいが口に広がる
クセが無いので、いくらでも食べられそう
情報を確認したら、イクトとミコトと一緒に一切れずつ口にする。
「ふぁっ!? おにくから、おいしいしるたくさん!」
「魚の方は淡白だけどちゃんと旨味があるし、ホクホクした身とジワッと微かに脂が染み出る皮も美味しいんだよ」
レッドバスは脂が少なめでいかにも白身って感じで、タンポポシープは美味い肉汁が実に肉らしい。
どちらも強烈なインパクトこそ無いものの、食べ飽きない感じがする。
前に食べた熟成オーク肉が年に数回のご馳走的な旨味なら、この二つは毎日食べても飽きない旨味だ。
「ますたぁ、これどうするの!」
「焼く? 煮る? 蒸す? 炒める? 揚げる? 茹でる? どうするのか気になるんだよ」
揚げもの出さない宣言をしたから揚げるは除くとして、どう調理しようか。
レッドバスはバターでムニエルにするか、それともオリーブオイルでソテーにするか。
いや、白身魚だし蒸籠があるから、蒸してネギやハーブを乗せてから味つけして熱した油をかける、清蒸にしてもいいかも。
だとするとタンポポシープはどうするかな。
そうだ。カチカチホースラディッシュがあるから、さっきみたいに厚めに切ったのを焼いてから皿の上で一口大に切り分けて、カチカチホースラディッシュを使ったワサビ塩やワサビマヨを乗せた小皿を添えて、好きな方で食べてもらうのはどうだろう。
それか泡辣椒を加えて野菜と一緒に炒めるか、ミンチにしてナスと一緒に調理した麻婆茄子と似てる魚香茄子を作ってみるか。
ああ、どれも作ってみたい。
「ますたぁ、なんかたのしそう」
「作りたい料理がたくさんあるんだと思うんだよ」
「なにつくるのかなぁ? おいしいのがいいなぁ」
「マスターの作った料理が美味しくなかったこと、あるの?」
「ない!」
よし決めた。
主食にラーメンを作ったんだし、レッドバスの清蒸とタンポポシープを使った魚香茄子を作ろう。
醤油と酒が無いから簡易版だけど、そこは他で調整して勘弁してもらおう。
それじゃあ、レッドバスの清蒸からいってみるか。
あっ、その前に水出しポーションを仕上げないと。




