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偉人とお味噌汁

作者: 高橋ひかり

「メインの料理は出来たから、次は味噌汁っと」

 座卓の上にできあがった料理のムニエルとハンバーグの皿を人数分置いていくと、私は味噌汁づくりを始める。

 味噌汁に入れる具は何にしようかな? 冷蔵庫の中を確認する。おっ、豆腐があった。もやしの袋も発見。これも味噌汁に入れようかな。そうだ余った鮭も入れよう。

 出汁から作ると時間がかかるので、出汁入り味噌で作ることにする。うちの同居人は、どんな料理を作っても、味噌汁を欲しがる。和食はもちろん、洋食にも味噌汁を欲しがる。グラタンを作ったときにも味噌汁を欲しがったのには驚いた。

 味噌汁ができあがり、メイン料理の横に置いていく。さて我が家の同居人に声をかけるか。


「ご飯できましたよー」

 

 返事がない。料理が置いてある部屋を出て、同居人がいる部屋に向かう。祖父母から譲り受けた家は不思議なことが起きている。最初は驚いたが、今じゃ慣れた。それは、奥の部屋の押し入れが過去の日本に繋がっているのだ。同居人がいる部屋を覗くと、

「ほれ、王手」

「うわっ!」

 窓際で新選組局長の近藤勇さんと、水戸藩の第2代藩主の徳川光圀さんが将棋を指している。その盤を見て、江戸北町奉行の遠山金四郎さんがニヤニヤと笑っている。

 卓袱台では、使い方を教えたノートパソコンで、ラフな格好をした紫式部さんが『小説家になろう』に小説を執筆している。名前は<ムラサキ>として執筆しているみたい。その隣では与謝野晶子さんがコンビニで買った三色ボールペンでキャンパスノートに何か書いている。あれは短歌? 


「ご飯できましたよ。冷めちゃいますよ」と声をかけると、同居人たちはいそいそと遊戯部屋から出ると、料理が置いてある部屋に集まってきた。

 いただきますの号令のもと食事が始まる。みんな示し合わせたように味噌汁から飲み始める。今日の味噌汁は評判がいい。金四郎さんは3回もおかわりしている。ここまで喜んでくれると作った甲斐がある。

 さて、明日の味噌汁は何にしようかな。

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