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プロローグ

彼女のことを、よく思い出す。剣使いの彼女のことを。彼女が私の住む村の付近で発見され、介抱された彼女が、最後、命を落としたその瞬間のことを、私は鮮明に覚えている。


彼女は魔法使いの国でなんらかの実験を受けていたのか、発見される以前の記憶を失い、剣使いでありながらその体にはわずかに魔力が宿っていた。そして何より私たちの興味を引いたのは、彼女が不思議な能力を持っていたことだ。


彼女の持つ力は、それまでに見たことのない、特殊なものだった。体に宿る魔力は少量ながらも、彼女は非常に遠くの魔力の数、質をほぼ完璧に見分けることができたのだ。村の中でも特に強い力を持つ魔法使いと同等、ある時は彼らでさえ驚くほどの察知能力を持っていた。


私たちは彼女を助け、そしてその対価として彼女の力を調べた。彼女はそれに快く応じた。


剣使いが、なぜそんな力を持ちうるのか。それは彼女がいなくなった今でも分からない。だが、私たちは未知のその力を、もっと深く知りたいと思った。それが脅威であるのかどうか、調べずにいることなどできなかった。


月日は流れ、やがて私たちはその力を調べ尽くした。もうこれ以上、知ることはないと思えるところまで。そしてその時には、私たちは彼女を恐れるようになっていた。


魔法を使えないからこそ、魔法使いと剣使いは絶対的な差があり、それが超えられることはない。魔法が使えるという、ただそれだけで、私たちは絶対的に優位な立場にあるのだと、これまではそう信じて疑わなかったのだ。だが、剣使いが魔法を、いや、魔法とは違うあの力を扱えるのだとしたら、それは魔法使いにとって脅威になる。私たちはそれを恐れた。彼女は殺すべきだ。そうした意見が出るまでに、そう長い時間はかからなかった。


身勝手なことだというのは、皆が分かっていたことだろう。未知の力を持つ彼女を助け、調べ、脅威と分かったから処分する。そんなことは、到底許されるべきではない。


私はそれを止められる立場にあった。だが、止めることはできなかった。それは、私が弱かったから。私に、その勇気がなかったから。私の一声で、彼女は助かったのに。あの時、それを分かっていたはずなのに。


恨みたければ恨めばいい。憎みたければ憎めばいい。彼女が死んだのは、ほぼ私の責任と言って過言ではない。ただ、それでもどうしても、分からない。


なぜ、彼女は最後に、『あんなこと』をしたのだろう。魔力を察知する能力とは違うあの力を、なぜ私たちに見せたのだろう。


それは彼女が隠していたものなのかもしれない。あるいは、殺される恐怖や裏切られた悲しみから偶然に発動させてしまったものなのかもしれない。彼女がいなくなった今、それはもう分からない。


ただ一つ言えるのは、私たちはあの力を再び見るために、そしてそれを調べるために、剣使いを集めているということ。彼女が記憶を失っていたように、記憶をこちらの都合のいいように書き換えて騙し、言葉巧みに言いくるめて観察を繰り返している。しかし、彼女と同じあの力を使うことができた者は、今のところはいない。


そのことを残念に思いながらも、どこかで安堵している自分がいることは事実だ。


あんな力は二度と見たくない。いっそ知らないままでいたい。私たちはきっと、力を調べ終えた後、その剣使いを殺すのだろうから。そして私は、それを止められない。過去と同じ罪を重ねるのだ。彼らを殺したくないと、そう思っているのに、その一声を上げるのが、たまらなく恐ろしい。私自身が彼らを恐れているのもまた、事実であるから。


だがもし、この恐れを振り切って、彼らと手を取り合えたなら。


その時は、きっと…。

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