第3話 帰還
ひゅんっ。
そんな音と共に光で周りが見えなくなった。
ハルは気づくと見知らぬ場所に来ていた。
ここは、盗賊団の飛行船の帰還エリアだ。しかし、ハルがそんなこと知る由も無い。
「ルカ、ここは?」
ルカが握っていた手を離しながら答える。
「俺らの移動手段だ。飛行船。」
転移結晶で転移できる場所は一度設定した場所、さらに一定距離近づかねばならない。そのせいで飛行船が必要になる。
「凄いね…これからどこに行くの?」
ルカに問いかける。
「あぁ…」
ルカが答えようとした矢先。
バァンッ
部屋の扉が勢い良く開いた。
「ルカ!お帰り!ラックはもう上でご飯食べてるよ?どうする?」
と、少女がルカに少し早口で喋りかけている。
「ただいま。イリア、お客さん来てるから。ね?」
ルカがそう言うと、イリアと呼ばれた少女はハルの方を向き、
「よろしく。」
と、ハルに対して一言だけ喋った。
「よろしく。イリアさん?」
イリアは少し頷いた。
「モノとシャールは?」
「モノは訓練、シャールは寝てます。」
ルカの問いにそう答えた。
ルカは答えを聞くと、すぐに歩き始めた。
「ルカ、どこ行くの?」
ハルが不思議そうに聞く。
「食堂、そこで俺らが今していることを話す。だから、少し黙って付いて来い。」
素っ気ない態度でハルの対応をする。
(少し、冷たくなったな。ルカ。)
と、思いつつも昔のルカの事を思い出していた。