第1章 第1話 再会
炎が見える。
ここはクォーツ王国のアラルヘルンという街の中心部の宿である。その宿の窓から、少女は二手から上がる炎を見ていた。
「街が…どうして…」
この世界には、五つの国がある。
平和主義の非戦争国であるクォーツ王国
同じく平和主義であり、非戦争国であるリベル共和国
魔物達の国、ロン王国。この三つの国は同盟を結び、お互いを守りあっている。建前だけだが。
そして、残りの二つの国
騎士と呼ばれる戦士達のフォード王国
魔術を扱うウィスマ王国
この二つの国は戦争中であり、クォーツ王国に戦争を手伝わせる為に、今日の襲撃を行なっている。
しかし…そんなことを少女が知るわけもなく…
「逃げないと…いけないの?」
独り言を呟く少女の前に、1人の少年が窓枠に乗ってきた。
「そりゃそうだろ。あれは、お前を捕まえるための襲撃だからな。」
「え…ルカ…なの?」
少女は驚きを隠せずにいた。
「少し、あいつらを抑えるのに手間取って、迎えに来るのが遅くなった。いまから、お前のことを連れ去るから、持っていきたい物があるんだったら、持ってこいよ?」
ルカと呼ばれた少年は、質問に答えずに少女に声をかけた。
「持っていきたい物はないよ。」
そう答えた少女に、ルカはお姫様抱っこをした。
「ちょっ…恥ずかしい…///」
少女の顔が真っ赤に染まっている。
「文句言うな。ほら、行くぞ!舌噛むなよ?」
そういうと、ルカはジャンプして建物の屋根を走る。