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あの衝撃的な出来事から半年が経った。
私は健康的な生活を心がけるようになってから、変わり始めていた。
今まで目標もなく、怠惰に過ごして来たが、目標に向かって動くことはこんなに楽しいのかと日々、生き生きと暮らしていた。
毎朝6時に起床し、屋敷をジョギングする。
そして、一日三食を心がけ、間食はしない。勿論、バランスの良い食事を心がけている。
日中は、メイドとして仕事をしている。
ハリーは余命が一年しかないのだから、そんな召使いのようなことをする必要はない、と言っていたが、断った。
少しでもハリーの役に立ちたい。その想いが私を動かしていた。
お陰で体重も減り、身体が軽くなった。
目覚めも良くなったし、体調もすごぶる良い。精神的にも安定している。良いこと尽くめだ。
そして、今日は吸血の日だ。
ハリーは私の血を飲むのを好まない。
最初の時がトラウマになったのだろう。
私としても申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
ハリーは二週間に一度しか私の血を摂らない。しかも、吸血ではなく、注射器で血を採り、水で薄めて飲んでいる。かなり虚しい。
私は頼み込み、半年経ったらもう一度ちゃんと吸血して味を見てもらう約束をした。
ハリーは複雑そうな表情をしながらも、了承してくれたのだ。
私は普段着ないような首回りの開いた服を着て、ハリーの元へ向かう。
ハリーは私に気づくと、椅子に座るよう促した。私はそれに従い、ハリーの近くにある椅子に座った。
「綺麗になったな」
ハリーが呟いた言葉を私は聞き逃さなかった。私は思わずだらしない顔をしてしまう。
首元に息がかかり、鋭い痛みが走る。
そして、酩酊感が広がる。
半年前は吸われる感触があまりなかったが、今はしっかりと感じる。
私は思わずハリーの背中に触れる。
無我夢中で血を吸っていたハリーは我に返ったのか、唇を首から離した。
「すまない、吸いすぎてしまったな」
僅かな貧血に襲われていたが、私は小さく首を振った。
ハリーは優しげに微笑む。
「凄く美味しかったよ。ありがとう」
私はハリーからの念願の言葉を聞き、達成感に包まれたのだった。
そして、ハリーが今まで食べた誰よりも美味しい餌になることを誓った。
今日から、またトレーニングを頑張ろう。
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