表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

鴉の巣

支度が済んだ頃に、森鳥Pが迎えにやって来た。


「お、準備は万端?裏口にバスが停まっているから、業務用エレベーターで先に降りてってくれ。僕はまだ瑠璃と翡翠も迎えに行かなきゃだから」


森鳥Pは全身がげっそりと痩せていて、禿鷲みたいだった。ここ2年間オセウスの下部の下部とは言え、15人のメンバーのたった一人のマネージャーとして、怖いぐらい動いていた。グループ活動はもちろん、一人一人のソロの仕事も持ってきてくれる。その代償に心身を削っていたことは誰の目に見ても明らかだ。


「ちょっと!早く~」


森鳥Pに急かされて、私は足早にエレベーターに乗り、マイクロバスに駆け込んだ。程なくしてエースの二人、瑠璃と翡翠もやって来て、バスは発車した。



バスの中は複雑な空気だった。お互いに明るく喋ったり、冗談を言ったり、励ましたりするのだが、全体的に重苦しかった。


「ねえねえミツル!何位目指す?」


横に座っていた仲良しのツグミが明るく聞いてきた。ツグミは公私共に「ムードメーカー」で通していて、笑顔を絶やしたことがない。


「えっそれはもちろん……1位?」


「もー。そおじゃなくて、現実的な順位」


「そしたらー…100位かな」


「おっ……私と同じじゃん!これは勝負だね。勝ったらハーゲンダッツ!」


「えー」


むなしくなる会話だった。去年の大投票会で私は142位、ツグミは129位。知名度もなく実績も少ない。


ほどなくして、バスは会場のアリーナに到着した。外には黒山のような人だかりができている。


「*!!!!***!!!!*****!!」


「ー!ー!ー!ー!」


彼らは何かを必死に掲げたり、口々に叫んだりしていた。


「うわあすごい」


外を見て、ツグミがぽつりと言った。


「まるでからすの群れみたい」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ