第6節:ランストラクト・ド・反理想郷
東京都内某所三丁目。空調の効いたコンクリートの直方体の中に多数の人間が監禁されている。しかし彼らは自らが監禁されていることにすら気がついていない。
彼らには数字の名前が与えられる。彼らには白い下着と白いシャツと白いジーンズと白い革靴と適切な食事が支給され、ほかには何も与えられない。そして、彼らはディストピアを創造する生き物である。
『Submit "ディストピア186-0452 《カプサイシン・ゲキカラ・ジゴク》"......』
彼らは白いコンピュータを貸し出され、各人思いおもいのディストピアを創造する。それ以外の活動は、生命維持に必要なものを除いて、許されていない。規律違反は発生しない。反乱は起きない。なぜならそれが自明だからである。(彼らは厳密な意味の人間ではなく、第2次ポスト・ヒューマンの精巧な模倣、あるいはシミュラクルである。最近の若者にはそれすら分かっていない奴が多すぎる。)
では、186氏の『作品』である、ディストピア186-0452 《カプサイシン・ゲキカラ・ジゴク》をみてみよう。
「アリゲータ、アリゲーター、アリゲーターア、アリゲーターアー……」
アリゲーターを伸長するのは簡単だけど、それをカプサイシンに耐えるように改良するのは大変なことだぜ。
このディストピアっちゅうのは要するに、唐辛子によりすべてが一元的に管理された社会の事だ。えらい話だろ? でも社会ってなんだ? 何を意味する単語なんだ? ソシアルか? あるいはコムュニティか?
だから、唐辛子によってアリゲーターは監視されることになったんだぜ。すげえよな。対外的には平等社会を謳っておきながら、実際にはエリート階級アリゲタだけが、真のカプサイシンコントロールを手に入れることができる。二元社会、権力バノプティコン設計だ。でも存在しない。どこにも。
ところが、あの四角い箱の中では、今日も明日もこれが存在しているというのだ。今、この瞬間さえも! This is なんという皮肉だろうか。反理想郷的実存非実存による円舞交響曲! アリゲトス(アリゲーターの最上級)! ああ、ああ!
ザー(チャンネルはそのまま!)
アリゲトス・レイディオのお時間がやってまいりました、どうも司会進行DJを務めさせていただきますナメリ・コムスと申すものであります。今日はゲストとしてジャン・ポール・サルトルさんをもお呼びしております。「人間は自由という刑に処せられている。」そうですか。要するにそれは、ひ
ど
も、特
問1.上の文章を4つの部分に分けよ。
問2.本文中繰り返し登場する『アリゲーター』という表現により、作者は何を伝えようとしたか。
問3.以上が第6節の全文であるが、その後『アリゲトス・レイディオ』は如何ようにして展開し、拡散し、崩壊するか。自由に考え、二百字以内で解答せよ。
三行で書きます。
ちょっと飛ばしすぎました。分かりにくいですがルート(基底界)での話です。
第5節よりも先に書きあがったのでこちらを先に投稿します。別にストーリーに連続性はないので。
最近のサイゼリヤはタバスコの代わりに、サイゼリヤ謹製の唐辛子フレークが置くようになったのですが、それで思いつきました。




