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ディアーナの消息いずこ  作者: 倒錯一代ヒューマン
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第2節:さよならも言わずアセンション

 ある秋の寒い日のこと。ボクが道路を歩いていたら大型トラックが話しかけてきた。

 「どうも、突然ですが死んでください。」

 「エーイキナリ! 待て待て待て慌てるなボクよ!? これは典型的な理不尽展開じゃあないか? つまりこういうときは」

 「だが理不尽展開は待ってはくれない! 行くぞ佐々木!」

 大変だ。待ってくれなかった。ほんとうの理不尽は我々を置き去りにしてしまう。確か徒然草にもそう書いてある。大型トラックは佐々木と呼ばれたチェーンソーを取り出し、エンジンをかけた。まるで『13日の金曜日』のように見えるが、実際には『13日の金曜日』のジェイソンはチェーンソーを持っていない。それに今日は『31日の土曜日』だ。ここに新作映画が誕生する(なお、全米は泣く)。

 「ブルブルンブルブルン」

 「佐々木! 今日は調子がいいな!」

 調子ばかりでなく仲もよさそうでなによりである。しかし、なによりなところ悪いが、そのチェーンソーはボクの首を木材よろしく切断するために用意されたものなのだ。ボクは木材じゃないのに!

 「待って、ボクは木材じゃないよ!」

 それがボクの現世最後の言葉となった。

 「グワーン(エンジンの回転数が上がった音)」

 そしてボクは佐々木という名のチェーンソーに首を切られて木材になった。木材は最初から木材なのではない。チェーンソーに切られて、初めてモノは木材となるのだ。佐々木もそう言っている。

 「ところでなぜ大型トラックの私があなたを殺害せねばならないのか、話せば長いわけがあるのですが――――今ちょっとお時間いただけます?」

 「…………」

 ボクは聞く耳を持たない。すなわち木材に耳はない。この点で木材と死体は類似しているといえよう。

 「近年ですね、ご存知かわかりませんが、『小説家になろう』という小説投稿サイトでですね、ええ、素人の書いた小説をインターネットで共有できるというサービスですが、所謂『異世界転生』モノというのが流行しておりましてですね、はい、これは、簡単に申しますと、物語の主人公ですね、はい、主人公が一度現実世界で、何らかの要因で死亡してですね、はい、何らかの要因で、交通事故などですね、それで俗にいうところの『異世界』の、新たな住人として生まれ変わって、ですね、あー、その、主人公の同一性は、大体の場合ですが、保持されています、記憶などは引き継がれます、あるいは『主人公である』という事実も保ったままですね、それで、異世界で、ファンタジー活劇などをやるのですが、とにかくその、主人公が現実世界で死亡するという、その段階において我々、大型トラックというものがよく使われるんですね、使われる、といいますと、要はその、主人公を、交通事故で、まあ、端的に言えば轢殺という形になりますが、その、」

 

 

 木材に耳はない。だからその時ボクは何も聞いていない。そしてこれは、ボクの思い出せる限り最も古い記憶である。

異世界転生小説なんて真面目に読んだことないのにこんなこと書いたら怒られますね…… あと無意味に長いセリフで文字数を稼いだのはどうかと思う

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